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8月2日

8月2日


愛する婚約者 様


8月に入り、ついに夏休みが始まりました。

学園の友人とも別れの挨拶を交わし、私は自分の家へと馬車で向かいました。

道のりは半日が掛かりますが、昨日の夕方領地に無事に到着しました。


今日は朝から家の使用人や街の人にも挨拶をと考えていたのですが、

突然、仕立屋が訪問してきたのです。

私が小さい頃からお世話になっている仕立屋の方々です。



私は何も聞かされていなかったので、

大人しく言われるがままに従っていました。


聞けば私の新しいドレスを仕上げる為にお父様から呼ばれて来ていたようです。


『また少し身長が伸びたようだね』

『マリー嬢様は本当に華奢な体だねぇ、ちゃんと向こうでも食べてるのかい?』

『社交界デビューなら華やかにしなくちゃ』


私も久しぶりに話すことが出来て楽しい時間だったのですが、

なんと新しいドレスは夏に開催される私の社交界デビューの為だと言うのです。



私はお父様の書斎へ一目散に向かいました。


『おかえり、マリー』


父は以前と変わらない姿で私を迎えてくれました。

再開の挨拶も早々と切り上げ、新しいドレスの訳を聞きました。




『毎年招待状が届いてたんだが面倒で断っていたんだ』

『マリーは公式な社交界でお披露目はまだだっただろう』

『今回はそれで参加しようかと』


私のお父様宛の王室の印が押された金色の招待状を私に見せてきました。

現国王様が招待した人のみ参加できる特別なダンスパーティ。


ダンスパーティ自体は知ってはいましたがまさかお父様が招待されていたなんて初めて聞きました。


参加者は国王様とこの国を動かしている重鎮や貴族です。

社交界デビューをする令嬢や令息はどのパーティでも最初に踊ることになります。

名誉なことだとは思いますが、

ダンスもまともに踊れない私には荷が重すぎます。


”お披露目ならもっと小さなパーティで”と私は必死に訴えました。


『これも貴族の古い伝統』

『それに、もう出席の返事を出してる』



”ダンスの相手だってどうするんですか”

招待状に書いてある開催日まで2週間ほどしか時間がありませんでした。


『どこぞの男などに任せられるか』

『私が相手をする』


ダンスの相手は婚約者や、未婚の男性、兄弟、父親でも問題はありません。

ですが、社交界デビューの相手が父親は聞いたことがありません。


『大丈夫だ、こう見えてダンスは失敗したことがない』


お父様の事が大丈夫でも私が全然ダンスがダメなんです!


私は本当に嫌でお父様に抗議していますが、特に意見が変わるような雰囲気ではありませんでした。

夏休みはゆったりと過ごすつもりで帰ってきたのですが、

これから慌ただしくなりそうです。


マリー

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