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49.準備

 とうとうやって来た、この日が。

 帝国の君主の座を、フウリから俺に移す。そして、これからのことについて皆に説明する。

 既に、フウリにはそのことを認めさせている。国民が認めた暁には玉座を譲る、と。

 まだ帝国内の者は誰も知ってはいない……わけでもないのか。一応、ディリアトップの奴らは倒してやったからもう分かっているかもしれないが、流石に外には伝えていないだろう。国のトップもいなかったわけだし。

 帝国民に、俺を認めさせる…………力ではなく、心と言葉で。帝国の仕組みを、一から変える。

 一人でなら、龍化を成功させるのはかなり薄い希望だっただろう。だが……今の俺には、ケイも、ユイも付いている。だから、きっと……上手くいく。

 現在、クレセント城に向け【飛行】中だ。もちろん後ろには、頼もしい仲間たちもいる。今回、ついてきてくれたのはケイとユイと、ミーナ姫だ。ついでにケイは、現在は一応昏倒させてあるフウリを背負ってきてくれている。

 まず、あのナギに国民や領主たちを集めるように言いつけて、少しだけ着飾る。そうした方が、影響力は増すはずだと考えてのことだ。その後、城のバルコニーに出て宣言する。恐らくは疑問、批判の声が多く上がるだろうが、そこで龍化を成功させれば、全て上手くいく。そしてフウリにも同じく宣言させ、正式に譲位を終える。

 緊張は、していない。こんなところで緊張などしていられない、きっとこれから困難ばかりにぶち当たるから。それを乗り越えていったとき、俺はまた、一つ成長できるだろう。


「着いたよ、カイリ」

 先導してくれていたケイが、そう伝えた。こちらからはしっかりと帝都の様子が見えるが、国民が空を見上げても、【隠蔽】されている俺たちは見えないだろう。

「ここが……帝都……。なんだか、どんよりしてるね……」

「あぁ、今のままではいけないんだ。帝都だけじゃない、帝国全体が……」

 昔と何も、変わっていない。ずっと暗いまま、いや、前より暗いかもしれないほどに。

「ひとまず、一旦バルコニーに降りようか」

「そうだな。……降りたら、俺はディリアの奴に色々と言ってくる。その間、客室を使ってくれて構わない」

「了解。……またあとでね、カイリくん」

 バルコニーに降り、3人を先に行かせる。俺は【隠蔽】を解き騎士団本部横、ディリアの訓練場へ向かった。


「……失礼する、ディリアは全員いるか?」

 ノックしながら呼びかける。

「いるとも。……其方、何者だ」

 声が返ってきた。これはナギの声だ。

「見れば分かる。……入るぞ」

 扉を開け、中へ入る。そこには、50人ほどの武装をした者たちが訓練を止め、こちらに目を向けていた。

「……俺は、カイリ・フォン・ディラシアという。何を意味するか、分かるな」

 直接相手をした5人以外にも分かるよう、名乗りを上げる。それを聞いて、こちらを睨む者、腰の剣に手を掛ける者、慌てて敬礼をする者、疑問の目で見つめる者……人によって、様々な反応が見られた。

 代表してか、ナギが前へ進み出て、口を開いた。

「……カイリ殿。姓名は確かに昔の帝国王子のものなれど、それは国を捨てた、愚者である。帰ってきたというのならば、その経緯の説明を求める」

「……俺は今日、この国を改革するため帝国の玉座を継ぐつもりだ。力と恐怖で支配する帝国を変える。それを先にお前たちに伝えにきた。詳しい経緯は、聞きたい者がいればあとで話そう」

 それを聞いて、ナギは一瞬目を伏せると、すぐに頷き、答えた。

「……理解した。ただし、譲位には現君主の許可、および宣言が必要となる。その辺りは、既に済んでいらっしゃるか」

「父上の許可は既に頂いている。そして、国民が認めれば、宣言もすると」

「……承知いたした。では、我々も殿下の即位に協力する。殿下、我に命を」

「まず、国民にこのことを知らせろ。出来るだけ城のバルコニーが見える場所に集め、帝都の西区、北区では【投影】にて様子を移せ。……領主たちにもできるだけ様子を見せろ」

 前もって用意していた命令を下し、ディリアの者に任せる。

「はっ。お任せください。…………精鋭の者達よ、聞いていたな? 我が指示を出す。第二、第三部隊、中央区へ、第四部隊は東区へ伝令に走れ。第五部隊は西区、第六部隊は北区へ【投影】の準備。第一部隊は、領主、領主代理に伝令。では、急いで取りかかれ!」

「「「了解!」」」

「我々、全員で殿下を支援いたします。では、また」

 全員、ナギが指示した各自の仕事をこなすため、訓練場から出て行った。最後にそうとだけ言って、ナギも去った。

 これで、あとは着飾って待つだけだ。

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