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43.真髄、解放

「そのようなことを言うのはよせ。繋がりを持つ者同士ではないか」

 前までは、親子という関係。確かにそうだったのかもしれない。だが今はもう、そうではない。

「……やめろ。お前とはもう縁を切ったはずだ」

「……私とお前には、縁を切ろうが血を断ち切ろうが変えることの出来ない繋がりがある…………それは分かっているだろう?」

「何があると言う。血族以外の繋がりなどどこにも……。……っ?!……いや、俺は……!」

 ……繋がりは、ある。そうだ。俺は、あいつと同じ……!

「やっと気付いたか。私もお前も、同じ『龍人』なのだ。その事実だけは、どう足掻こうが変わることはない……!」

「確かにそうだ…………だが、だからといって、お前に付く気は全く無い!」

 龍人のトップに立つあいつには今、全ての龍人を従えることの出来る力がある。それは、俺も例外ではない。それでも……突破できないわけでは、ない!

「……それは残念だな。自ら我の元へ戻ってくれれば、と思っていたが、こうなれば仕方がない。無理やりにでも、こちらへ来てもらおう」

「……悪いが、例え無理やりでも俺はそちらへ付くことはない。全力で抵抗する」

「無駄だ。お前が龍人である限り、私に逆らうことは出来ない! …………出でよ、そして我が力を喰いつくせ。レイン・グローリエ!」

 フウリが腰から一振りの直剣を抜いた。あれが、全てを治める龍人にのみ従うという神聖なる剣、レイン・グローリエ。この国の建国当初からずっと受け継がれてきた、国宝であり、代々の王の剣。

「ここでも世話になる……。頼むぞ、アルジェ。…………甦れ、そして大いなる力へ立ち向かえ。エテルナ・フュテール!」

 ……久しぶりに、この名を呼んだな。真の力まで引き出して、本気で迎え撃つ。

『それでいいよな、アルジェ』

『えぇ……もちろんです、カイリ。貴方はフウリになど、負けない』

 本来なら気を休めなければ会話など出来るはずもないのに、確かにアルジェの声が聞こえたような気がした。本当に頼もしいやつだ、よし、やってやろう。

「木剣ですら操ることのできなかったようなお前が、どれだけ成長したのか……しっかりと見せてもらおうか」

「剣は操るものじゃない、絆を結び、共に高みを目指すものだ……。いざ、勝負! ……せやぁっっ!!」

 まずは一発、強く打ち込む。フウリも剣で受け返してきたが、気にせず押し切る!

「ほう。中々力強い打ち込みだな……。だが、そんなもの生温いっ!」

 直後、物凄い力で押し返され、距離を取られる。

「……ッ!」

 何とか踏ん張り、壁に叩きつけられるのは阻止する。まだまだ、反撃の準備を……!

「その程度か、どうした? お前は何も成長していないのだな…………ふんっ!!」

 今度はフウリから打ち込んできた。一瞬で体制を立て直し、斬撃を受け流す。それでもかなりキツい。あと何回耐え切れるか、怪しいところだ。それまでに、反撃体制が整えられるかどうか……。

「っぐ……!」

 一撃が、想像以上に、重い。膝を付いて、身体を一時的に魔法で強制回復させる。……受け流してもこの有様だ。打ち合っているだけでは絶対に勝機はないが、あれなら、きっと……!

「それで終わりか? ……この娘の力を【奪取】で奪う準備は整っている。お前が倒れれば、これはしばらく目覚めんだろうな。さあ、どうする。お前のことだ、まだ続けるのだろうな?」

「ユイに……手は出させない。俺が……守る」

 無駄話の間にも、こっそりと組み上げていく。完成してタイミングが合えば……いける。

「……最近暇だった分、このくらいで終わってしまってはこちらとしてもつまらないのだ。…………ふはははっ、楽しませてくれるか?」

「……生憎、俺にはお前を楽しませる余裕もない。せいぜい苦しませるくらいしかな」

「ふむ、余裕そうじゃないか。面白い、その余裕までも打ち砕いてみよう」

 また、フウリが打ち込んできた。先程より、力が増している。やはり初撃は、手加減していたか。

 しかし、今ならもう問題ない。正面から、まっすぐ受け止める。

「ほら、どうした? 威勢だけ張って、実際はこんなものか」

「いや……」

「ん?」

 絶好のタイミング。今なら、フウリも油断しているし、こちらの準備も整った!

 イメージは、復活。この日のために、何度もアルジェと一生懸命練習した甲斐があったというものだ。

『古より甦りし、伝説の古龍。我を主とし、力を解放せよ』

『汝を認め、我が力を授けん。受け継がれられし、誓いをここに』

 アルジェと共に、ひっそり帝国皇家に受け継がれていた式句を唱える。声には出さず、アルジェと対話するときのように。そして組み立てた魔法の構成を……。これで、十分。

「…………真髄、解放!!」

 俺の力も、アルジェの力も、これにより20倍以上は増したはずだ。これこそ、本気の一撃。

「ふん、変わらぬ……」

「……はぁぁっっ!!」

「なっ……?!」

「……ルガン・サージュ!!」

 これもまた、受け継がれてきた魔法の名称。名称付きの魔法の、生み出される効果は…………他の何より、強力。

 今ここに、賢者、つまり龍の輝きが甦る。この輝きは、フウリの持つレイン・グローリエよりも古く強い、龍と龍人を屈させる力のあるもの。アルジェの持つ、真の力……!!

「……っ、ぐわあぁぁっ」

 その光を直撃させられたフウリが苦しみだした。膝を付き、心臓を押さえている。アルジェの元は、はるか昔にこの地を支配していた、帝国皇家の祖先でもある龍そのもの。力だけでも甦ったその龍の、圧倒的な力に苦しんでいるのだ。もちろん、主となっている俺には何の影響もない。

 ここまでは、大体予定通りに進んだ。ここからが、本番だ。最後まで迷ったが…………交渉を、持ちかけることにした。

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