36.学校再開
「ふわぁぁ……」
朝だ。眠い。まだ少し肌寒いから、思わずお布団にリターンして二度寝したくなってしまうけど、我慢。今日はもう、登校日だ。
あの日から約2週間、私は訓練場で毎日訓練した。結果、かなり制御がかなり出来るようになり、精度も上がって訓練は無事成功。3日前、もうすぐ冬休みも終わってしまうということで一旦私たちは表へ帰った。そして今日からまた、学校が再開する。
下へ降りると、見慣れた光景が。海莉くんが作った朝食をテーブルに並べているところだった。
「おはよ、海莉くん」
「おはよう。……確か今日から学校再開だったな」
「うん、そうだよ。今日は3学期初日」
答えてから、椅子について朝食を食べ始める。
「いただきます」
うん、美味しい。どんどん箸が進む。
「ごちそうさまでした。……海莉くん、朝一緒に行く?」
「あぁ、いいのか? 支度なら済んでる。ただ、片付けの終わったあとでもいいか?」
「大丈夫、そう変わらないよ。こっちこそ、支度に少し時間掛かっちゃうから」
いつも通り支度して、出発。下に降りる頃には、もう海莉くんが先に待機していた。
「ごめん、ちょっと待たせた?」
「いや、そんなに待ってない。それじゃ、行くか。……っと。結衣、待ってるやつがいたぞ」
海莉くんはドアノブに手を掛け、そう言った。気配で察したのか……。というか、待ってるやつ……?って、誰だろ……。疑問に思いながら、ドアを開けると。
「やっほ~結衣ちゃん、それに海莉も!」
「え、玲良ちゃん? ……えっと、なんでここに?」
目の前には、玲良ちゃんが。朝っぱらから、なんで私の家まで……?
「決まってるじゃん、一緒に登校するの! せっかく結衣ちゃんも海莉もいるんだったら、一緒に行かない手はないでしょ?」
「そういうものなのか……?」
「別にいいんじゃないかな。そうと決まれば出発!……なんてね」
私と玲良ちゃんは、早速学校へ向かって歩き始めた。
「……ま、たまには賑やかなのもいいか」
「……海莉くん、早く来ないとおいてくよー?」
「……そう言いながら、おいてかないのが結衣なんだよなぁ。今行く」
その日は三人でわいわい話しながら、楽しく登校した。
「今日も一日お疲れ様。じゃ、解散」
「さよならー」
「さよなら」
初日、終了……。はぁぁ、疲れたぁ。学期初め、始業式の先生たちの話が長いことと言ったら。正直、ずっと固い床に体育座りしているのは、ほんとにキツかった。歩けなくなりそうだよ、もう。
「結衣、確認なんだが……今日放課後って何もないよな?」
「うん、ないよ。ってことで、帰ろ、もう疲れた」
「同感~。ほんっと、床に座ってる生徒の気持ちも考えてほしいものだよ~……。お腹空いたし、他の皆も帰っちゃったし。さっさと帰ろ~」
教室には、私たち以外誰もいない。先生すら、暖房の効いた職員室にもう戻ってしまっている。今日の帰りもまた、3人かな。楽しいから、私はその方がいいけどね。じゃ、帰りますかぁ。
校門の辺りを歩いている途中。
私が魔力切れで寝込んでいた間、なにやらレンが普段の感じからして意外なことをしたらしいけど……。
「それでさ、レン従兄様がね~……ね、海莉も見たでしょ? ……って、海莉? どうしたの?」
「…………?」
「海莉くん?」
何だか海莉くんは、黙り込んで辺りを見渡している。
「……ん? ……あぁ、すまない、ちょっとな」
「何かあった?」
「いやまぁ、少し気配が。あと、少し揺れたような気が……」
気配? ……それに、揺れ? 全然私には気付けなかった。まだまだだなぁと力不足を実感する……。
「………………?! ……っ、危ない!」
「えっ、何?!」
そう反応したのも束の間、私と玲良ちゃんの身体がふわり、と浮いた。おかしい、【飛行】は発動してないし、というか魔方陣も見えなかったのに……。
「―――、―――!」
海莉くんが何か叫んでいたが、ノイズが入ったかのようになり、上手く聞き取れなかった。
「あ、あれ……今……何、が」
何が起こっているのか把握しようとするも、視界にも靄が掛かったようになり、何も見えない。これ……絶対、何かの魔法だ!
急いで思考を巡らそうとしたけど、無理だった。思考にも霧がかかり、なぜか物事が繋がらない。混乱してきた、もう無理だ……。
「――、―――」
誰かが、何か言葉を、発していた。もう今は、それくらいしか外の様子が分からない。
そのまま私は、気を失って倒れた。




