32.練習終了
「……しまった、もしかしてユイは魔力も使ってたのか? だったらもうやめにしよう、また魔力切れで倒れてしまう」
そっか、やけにさっきから身体が重いと思ったら……魔力切れが近いのか。よし、それならここでやめにしよう……。
「ギブアップ……」
「すまない、魔力切れの可能性を完全に忘れていた。大丈夫か? しっかり休んどけよ?」
「こっちこそごめん、私も考えてなかった……まだギリギリ、だけど倒れるほどではなさそうだから大丈夫。しばらくゆっくりしてれば、直ると思う」
「そうか、なら一旦休もう。10分くらいはのんびりするか」
「賛成―……」
さっきの魔法練習で、ここら辺の魔素はあらかた使っちゃってたのかもしれないなぁ。気付かない内に自分の魔力使ってたみたい。
「それにしても……魔素が無くなるの、随分と早いな。この感じだと、【防御】をかけた辺りでもう魔素は大体無くなってたんじゃないか?」
「もしかしてそれ、魔力切れになりかけたのに関係ある?」
「大アリだな。なんてったって、【防御】は魔素の消費が多い……変換効率も、メジャーな実用魔法のなかではトップレベルだ。特に魔力を変換して使う場合は、消費量も効率も最悪だ」
「それ、使えなさすぎない……?」
体を守れるとはいえ実用魔法だから、発動に時間が掛かる。よって、咄嗟に身を守ることは出来ない。じゃあ携帯してずっとかけておけばいいかというと、魔素の消費が激しい……どこで使うんだ、この魔法……。
「まぁ、空気中の魔素を使う場合は他の実用魔法との差も気にならないからな……使えるときは使える。あと、今回の場合は練習、つまり実戦のつもりで行ったわけではないからいいが、本来この魔法は剣の勝負ではマナー的に使わない方がいい。フェアじゃないから、ちゃんとした決闘にならないだろ?」
「なるほど……」
「それに、基本この魔法はあまり使われない。言ったように不便な魔法だし。何気に馬鹿にならない消費量だから、気を付けてないとさっきのユイみたいになる」
「次からは気を付けます……」
まぁ、次なんて……明日以降もやるのかな、これ……?
「それと。ユイはまだ、やっぱり変換が下手だな。もっと練習が必要だ。ただ……」
「ただ?」
「剣の打ち込み、踏み込み方、力の入れ方なんかはバッチリだった。初戦にしては、褒めていいレベルだ。ユイ自身の才能もあるだろうし、何より剣の実力もあるんだろうな……さっき剣の辺りに、勝手に魔素が集まってた。ユイは意識してやったわけじゃないんだろ? あれ」
「そりゃそうだね……むしろ気付かなかった」
恐らくコクがやったんだろうけど、私はカイリくんの動きに集中していて、全く気付かなかった。今言われて、初めて知ったくらいだ。
「戦闘中は、周りに気を配るのも大事なことだ。覚えておくといい」
「うん、分かった。それで……どうする? この後。まだ続けるか、練習をやめてどこか出掛けるか……」
「いや、もう続けない方がいいだろう。まだ全然ユイの魔力も回復してないしな。一旦ここは出て、市街の方へ出掛けるか?」
「そっか、そうだね。……うーん、市街をブラブラするもいいけど、ちょっと行ってみたいところあるかな」
昨日市街を周っていて、気になるところがあった。
「ほう、どこだ?」
「えっとね、本屋と学校……」
「本屋……書店か。書店なら大通りやサファイア通りにもあったはずだが、学校となると……入れるか分からないな。見学するには少し……手続きやらが面倒だ」
「そう……じゃ、書店には行くとして、学校は……外から見るだけでもいいよ。外観だけでも気になるし」
表世界の学校と、どう違うのか……知りたい。何でも学校は様々な種類があるそうだが、その種類によって違ったりするんだろうか。学校のある場所はレイラちゃんが教えてくれたけど、どんなところかまでは聞けなかった。書店は、ただ単に並んでる本がどんなものかっていうのと、あとどのような本が人気、不人気なのか、なんてのも訊きたいと思った。
「分かった、じゃあ早速行くか。書店は王都にもいくつかあるが……どうする、全部見て周るか?」
「うーん、流石に時間なくなりそうだし、やめとくよ。一番大きな所と、市民に人気の所でお願い」
「了解。せっかくだし、途中で説明しながら向かうか」
「お願いします!」




