26.魔法練習
翌日。今日も、カイリくんを連れて訓練場にやってきていた。ちなみにレイラちゃんは、貴族や国の偉い人たちに挨拶に行く用事があるとのことで、今日はここにはいない。何でも裏側に戻ってきたのは久しぶりらしく、挨拶でもしないと色々と噂が流れる可能性もあるとかないとか。
早速、昨日渡され説明された練習メニューをやり始める。まずは、輝石生成。これは宿でレイラちゃんに聞いた話だが、輝石生成については周りの魔素が尽きるまでなら何回やってもいいんだそう。確かメニューには30回と書いてあったものの、それはあくまでも最低基準で、できればそれ以上やった方がいいらしい。魔素を感じ取ることができれば魔法の腕は一気に上がる、とはカイリくんの言葉。
とりあえず今日は練習初日……一応昨日も入れれば2日目か。だから、手始めに50回やってみようかな。
スムーズに素早く、どんどん輝石を作っていく。ちなみに輝石一個を生成するのに使う周りの魔素はほんの少量で、それこそ通常の攻撃系統の魔法を使うよりも、輝石20個を作る方が魔素の消費が少ないほど。
ほんの30分ほど経った頃、全部で50個の輝石が私の周りに転がっていた。これで輝石生成は完了。
次、魔法連発。これはただの反復練習みたいなものだから、集中してささっと済ませる。もちろん、できるだけ魔素の変換効率を高めるよう気にかけながら。
意外と早く終わった。20分もかからなかっただろうか、思っていたより簡単にできた。
その次は、耐石破壊。奥にある棚から耐石を取り出して、早速開始。いい感じの威力に調整したいところだが、これがまた難しい。やはり、一発では破壊しきれない。何回か撃ち込み、やっと一つ壊す。そのときそのときで変わるが、大体2、3発あれば壊せる。10個壊して、終了。
そして最後、小的当て。これが一番難しい気がする。昨日もらったアドバイスの中に、小的当てはだんだん大きめの弾の魔法から、細かめの魔法にしていくとさらに練習の効果が期待できるんだそう。ただ、まだ私には細かい魔法をあの的に当てられるだけのコントロール力がないので、まずはそこからやらなくてはいけないが。
奥の方に見える小的を狙って、魔法を放つ。狙いの定めやすい氷の矢だ。昨日、少し色々試してみたけど、やはりこれが一番当てやすいように感じられた。しっかりと矢は小的に当たり、砕け散った。どうやらあの的はかなり魔法に強く頑丈な素材で作られているようで、少し強めの魔法が当たっても、全くビクともしない。それこそ、私とレイラちゃんの必殺技のあの魔法でも喰らったら壊れてしまうかもしれないが、そんなことをしたら的どころか訓練場そのものが崩れてしまうだろう。
1回でも難しいのに、これを50回続けてやれというのだから、本当に大変だ。これにはどうしても時間がかかる。この練習は、当たって始めて一回に数えるので、当たらなければやり直しだ。別に一からやり直すわけではないが、それでも意外と当たらないのでかなり苦戦した。一発目はちょうど当たったけれど、百発百中というわけでは全くなく、だいたい40%くらいの確率で外れてしまう。まだまだコントロール力が足りないので、ここは重点的に鍛えていきたい。
そんなわけで、小的当て50回が終わるのに1時間ほどかかってしまった。それでも、このメニューを全てやりきるのにかかる時間は大体2時間と少しくらいと、そこまでかからない。まぁ、手馴れた人ならもっと早く、それこそ1時間もかからないのかもしれないけれど。
「お疲れ、ユイ」
ずっと訓練場の隅で見守ってくれていたカイリくんが、水の入った水筒を持って歩いてきた。
「ありがと……それにしても、疲れたぁ……」
「ま、始めて通したにしては随分とスムーズにできていたんじゃないか? 改善点はまだまだあるが、すぐに直せると思う」
「改善点かぁ……どのくらいあった?」
「そうだな……十数個だからそこまで数はないが、一つ一つがそれなりに大きいからな……でも、2週間も練習すれば改善できるはずだ」
「頑張ります……」
十数個。それでも十分多いよね……。しかも、大きいのかぁ……。改善、できるといいなぁ。
「とりあえず魔法練習は終わったが、どうする? ……剣もやってくか?」
「うーん……そうだね、やる。ただ、ちょっと休ませてー……」
「当たり前だ。流石に休まずに続けたら、身体が持たないだろう……しっかり休め。俺も待つ」
「うぅ、ありがと……。5分くらいゆっくりする、ね……」
眠いなぁ……。初めて通したのが身体にきたのだろうか……めっちゃ疲れた。5分、5分だけ……ちょっとだけ、寝ちゃおう。私はそのまま訓練場の床に寝転がり、重いまぶたを閉じた。




