22.練習開始
「へぇ……って、えっ!?」
なんでもないことのように言ったし、つい聞き流してしまうところだったけど、付いてくことにしたって……。……でも、裏でも一緒に行動かぁ、まぁ楽しそうかな。
「ここにいてもどうせ暇だしね。こっちの方が面白そうだな~、って思って」
確かにそうかもしれない。レイラちゃんは一応、国王の義理の姪という立場にあるから、暇でもしているんだろう、きっと。
「まぁ、当分何もすることはないと思うけど……そうだね、ユイの魔法の練習に付き合ってもらおうか。カイリとレイラに任せてもいいかな?」
「おっけ~! 楽しみだなぁ~」
「構わないが……お前はどうするんだ? レン」
「僕は一応、城に戻っておくよ。公務が増えてるかもしれないからね。あと、何が起きるか分からない状態は変わらないし」
そう言いながらレンはカイリくんの方をチラッと横目で見た。何かを伝えてるんだろうか……?
「……分かった。……ただし無理だけはするなよ。今この国を治められるのは、もうお前しか残ってないんだからな」
カイリの方も、今の一瞬で何かを理解したようで、警告の意味を込めてか強く言った。
「……そんなこと言いながら、本当になってしまえば君がやってくれるんだろ?」
「……俺はもう、人の上に立ちたくないんだ。一生やらない」
「……そうか。気をつけるよ」
今のやり取りは、何の意味があって、何のことを言っていたんだろうか。カイリの「もう人の上に立ちたくない」という言葉。それはつまり、昔に人の上に立ったことがあるんだろう。でも、カイリくんの立場は上下で言ったら下。しかも、それは望んだ立場であるように思える。疑問しか浮かばない。なぜ……?
「ユイ?」
「……え? ……あっ、どうかしたの?」
「いや、なんかユイがぼうっとしてたから、どうしたのかなって」
「ううん、別に何でもない。それより……」
ぐうぅぅ、とちょうどお腹が鳴った。……そう、私はお腹が空いているのだ!
「そういえばユイは昨日の夕食、食べてなかったね……」
「……とりあえず、飯にするか!」
「それなら、ひとまず王都に戻って屋台飯でもどうだ?」
「屋台! じゃ、私はアル焼き食べる~」
……なんか皆盛り上がったなぁ……。っていうか……。
「アル焼き……?」
「うん! 見れば分かるよ~、すっごくおいしくてね、やみつきになるんだ!」
うん、それじゃ何にも分かんない。見たら分かるってそれほど変わった見た目でもしてるんだろうか。
「それじゃ、王都に戻ろうか。この時間なら、着くころには屋台も多く出ているはずだしね」
「賛成! そうと決まれば……レッツゴ~!」
そういうとレイラちゃんは【飛行】を使って、屋内や人ごみの中であるにも関わらず、器用に間を通り抜けて飛んで行った。声をかける間もなく、一瞬で飛び去ってしまった。
「あっ、ちょっとレイラちゃん! ……そのまま先に行っちゃった……」
「まぁ、レイラなら王都まですぐ飛んでくだろうし。それにあの子はああ見えて賢いから、ちゃんと【幻影】も忘れずにかけてくと思うよ」
「そうだな。ま、私たちも付いていこうぜ!」
「よし、じゃあ早速始めるか。とりあえず……そうだな、変換の練習をした方がいい。レンも言ってたが、ユイはまだ変換の効率がかなり悪いから、そこさえ鍛えれば強くなると思う」
あの後私たちは、王都の屋台飯を満喫した後、もう一度訓練場へやって来た。ちなみにレイラには、城の中に顔を知った者も多いだろうということで、【幻影】をかけた。
あ、アル焼きは結局、王都の観光グルメみたいなもので、なぜか時計の形をした焼き菓子のようなものだった。中には具材としてお肉と野菜がいい感じのバランスで入っていてアツアツ、ハンバーガーに似た味で、とても美味しかった。菓子って言うか、これは昼食にピッタリだ。うん、実際これはやみつきになりそう。
他にも、屋台飯と言いながらカップに入った丼ものなんかも食べていた。屋台で丼もの売ってるんだなぁ……。
そして訓練場に到着した私たち、私とカイリくんとレイラちゃんは、早速練習を始めることにした。そういえば、練習方法って聞いてなかったけど……。
「うん、そうだね~。練習方法は~とりあえず今日は、とにかく魔法を撃ちまくる! 以上!」
単純。それでいいのか、練習……。まぁ確かに、反復練習は大事かもしれないけどさ。
「えっ……?! ……わ、分かった、とりあえずやってみるよ」
何事もまずはやってみる。それが大事。……それじゃ、頑張りますか。




