表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/54

20.遊び

「……あ、ちょっと待った」

 開始寸前、レンが口を挟んだ。

「……ちょっとー。何かあったの、従兄様」

「いや、今気付いたんだけど……流石にここでやるのはちょっと、ね?」

「う~ん……それもそっか。分かった、異空間でいいかな?」

「異空間……?」

 ……また聞いたことのない言葉が。

「えっと。異空間っていうのは……世界の狭間みたいなものだよ。周りを気にする必要がなくなるから、便利だね」

「……自分で作れるものなの?」

「もちろん。今回は僕が作るよ。広めでいいかな?」

「おっけ~! じゃ、早速行こ」

 レンが地面に知らない魔方陣を描く。これが異空間に入るための魔方陣……まぁ、なんとなく【転移】に似ているところはあるかも。

 地面に降り、【飛行】を解除する。完成した【異空間】(仮)は光を放ち、【転移】と同じような扉を作り出した。その中に、まずレイラちゃん、レン、サナ、カイリくん、と、皆入って行く。私も付いて、入った。

 確かに感覚は狭間と同じだ。だが……雰囲気は違う。紫っぽい感じではなく、群青や紺に近い色をしている。不思議な、飲み込まれてしまいそうな感じではなくて、無機質な、なんというか宇宙のような感じだ。実際、【飛行】はもう解除したのに体が浮いている。

 ……なんだか、方眼のように線でも引いたら、それっぽい空間になりそうだ。

「じゃ、改めて……始めよっか!」

『ユイ、剣はなるべく使わない方がいいよ。今は鞘にしまっておこう』

 開始前、またレンが今度は耳につけたものから声をかけてきた。

『……何かあるの?』

『いや、特には……ただ、こちらが剣を使わなければあちらも使ってこない。あくまで遊び、フェアルールだからね』

『なるほど……。わかった、魔法だけで頑張ってみる』

「……うん、おっけー。剣なしルールだね! よしっ、それいけ~!」

 わわっ。いきなり電撃が飛んできた。何とか空気を蹴って避ける。

 イメージを集中させて……っと。とりあえず距離をとりたいから……行けっ、暴風っ! レイラちゃんを、吹き飛ばす勢いで……!

「おぉ~……! やるねぇ、ユイちゃん。もういっちょ行ってみよ~!」

 軽くかわされちゃった……残念……。心の中でがっかりしてたら、間髪入れずに炎が。うわっ、危なぁ。でも、意外と楽しいかも。ここで試してみようかな……?

 ちょっと考えが浮かんだので、炎に合わせて氷塊を飛ばしてみる。すると……相殺された。氷塊は炎に解かされ消え、炎はそれで力尽きて消えた。……計画通り。

『あはは、これは僕らが口を挟む必要はなさそうだね。……くれぐれも、無理だけはしないように』

『う、うん……分かった』

 レンの今の言葉は、言い換えれば「何も言わないから、一人で頑張れ」ってこと。うへぇ。

「相殺も出来るんだ! ……これ、表で沢山議論したかいあったかも」

「あれって、このためだったんだ……?!」

「よそ見してると、やられちゃうよっ!」

「えっ? ……うわっ!?」

 なんと、始めの電撃が背後から迫ってきていた。なるほど、ずっとイメージしてたのか……それなら。

「び、びっくりした……」

「へへ、そうでしょそうでしょ? 私ね、不意打ちは得意なの! ……あれっ?!」

 レイラの背後からも電撃が。ただし、先程の電撃とは少し様子が違う。隠密に特化した、静穏型だ。もちろん威力はかなり下がるが、確実に当たる可能性が高い。……またかわされたけど。

「ふむふむ……そっか、こんなやり方もあるんだ……! ありがと、また新しい技術を手に入れた気がする!」

「そ、そりゃどうも……」

「まだまだ行くよ~! ……えいっ!」

「い、いつまでやるの……?」

「どっちかが疲れて倒れるまで、かな?」

「…………」

 ……私、もう倒れそうな気がするんだけど。会話をしながらも、同じように魔法の打ち合いは続いている。そして、その分だけ空間の魔素と私たちの魔力は減っていく。加えて、おそらく今残ってる魔力量は、私よりレイラちゃんの方が圧倒的に多い。……つまり。私の方が先に倒れるだろう。魔力が何もない0の状態になれば、人は気を失う、と聞いた。あと……2分くらいは持つと思うけど……どうだろう。

 今のところ、二人とも全てをかわし続けている。だから、体に直接的な傷はない。けど……魔力が減って、ふらふらした状態ならそうもいかない。絶対、いくらか被弾してしまう。そうすると、少し厳しい。

 遊びとは言えど、負けたくない。変なところで対抗心が燃えた。意味もないのに。……よし、もう少し、もう少しだけ、頑張ってみよっと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ