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11.王都アルフェン

「……イ、ユイ。大丈夫か?」

「……?」

 視界が安定しない。ピントが合わないのか、ぼやけているみたいだ。

「ん……うん……?」

 だんだん、はっきりと見えるようになってきた。どうやら私は、倒れ込んでいたらしい。前を見ると、カイリくんが心配そうに私を見ていた。

 ……ここは、どこだろうか。少し、直前の記憶が抜けている。確か私は、海莉くんが使った【転移】によって、一緒に飛んできたはず……。世界の狭間の出口に飛び込んだあと、何も起こっていないなら、ここはきっと裏世界のアリッシア王国……か。

「ご、ごめん。ちょっと、意識と記憶、とんでたかな……」

「……もう戻ったか?」

「うん、それで……ここ、どこ?」

「……ここは、王都の路地裏だ。まぁ、誰かに見られる可能性もあるからな、一時的に【遮音】と【不可視】を貼らせてもらった」

 当たり前のように二つ使うのかぁ……助かるから、いいんだけど。

「えっと……とりあえず今からどうする?」

「そうだな、ひとまず王宮に向かおう。……寄り道してくか」

「寄り道って、どこに?」

「決まってる、王都の市街だ」


「……王宮って、どんな感じなの?」

「……まず、正式名称はルミナント城という。約300年ほど前、この国を建国したテイが、光の城の意で名付けたそうだ。ちなみに……ここは王都アルフェンってとこだ。もう少しで王宮も見えてくる」

 王宮に向かうついでに、せっかく通るのだから、ということで市街を少し見て回ることにした。

「うわぁ……凄く綺麗な街……!」

「確かに、恐らく裏側じゃ一番綺麗な都だと思う。環境保護と生活の両立は、姫様が一生懸命にやっていたから……」

 カイリくんの言う通り、ゴミも全く見当たらないし、人々も楽しそうだ。……裏側には、スラムなんかはないのかな……。

「……ほら、見えて来たぞ。あれが王宮、ルミナント城だ」

「わぁぁっ……!」

 何ていうか……凄く綺麗としか言い表せない。光の城というから、白や黄、金色ばかりが使われているのだろうと、そんな風に思っていた。けれども実際は、空色を基調として、白をアクセントにしたり銀の飾りをあしらったりした、美しい外観だった。

「この城、実は……人の手で作られたものじゃないんだ」

「えっ、じゃあどうやってこんな大きな城を……?」

「……あー、違う違う。簡単に言えば……そうだな、魔法……に似た何かで、作り出したんだ」

 魔法に似た何か……? 名称がないんだろうか。

「建国したテイの昔話は前にしたよな? ……そのテイがこの城を一から作った。魔法のようだが、魔素や魔力などを使わなかったらしいから、魔法には当てはまらない。何かの術で、一夜にしてこの城を建てた、と歴史書には記されている」

「こんな大きな城を、一夜で……?!」

 平面状の広さで言えば、軽く家が20個くらいは入りそうなくらいで、高さは大体5階建てのビルくらいはある。こんな大きな、しかも細かな装飾の施された建物を、一夜で建てたと。普通に建築しようとすれば、現代の機械を使っても、2,3ヶ月はかかるだろう。マジか、ありえない……。

「テイは様々な研究もしていたらしいからな……きっとその時に、見つけたんだろう。それだけ、テイが恵まれた天才だったということだ」

「分かるような、分からないような……」

 ……それにしても、何だか城の方が慌しいように見える……。おかしい……いや、もしかしてこっちじゃこれが普通なのかな?

「ねぇ、カイリくん……城の方って、いつもあんな風なの?」

「……確かにいつもと、城の雰囲気が違う……何かあったのか? 俺のいない間に……」

 カイリくんも何か、思うことがあるようだ。

「違う……どんな風に?」

「普段よりも慌てている。国民たちには悟られぬようにしているのだろうが、これは何かあったに違いない……」

 やっぱり、そうだったか。確かに周りを行き交う人々は、何事もないかのように過ごしている。うーん……。

「……これ、急いだ方がいい?」

「いや、きっと意味もない。別に俺たちが少し早めに行こうが遅めに行こうが、結果として変わることはないだろうし……」

 一応気にして聞いてみたのだけれど、返されてしまった。まぁ、確かにカイリくんの言う通りだ。権力として見れば、私にそこまで大きな力があるわけではないんだから……。

「……そっか。じゃあさ、この街のお店でおすすめとか、ある?」

「あぁ、もちろんある。……例えばあそこの……」

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