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現代ファンタジア 第1章  作者: 草野 雅
現代ファンタジア
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最近、鏡ヶ丘高校は平和ではなかった。

一つ 関わり合いにならない方がいい3人のうちの2人が、どうやら恋仲になったようだ。

一つ なぜだか、関わってはいけない人が4人に増えた。

最後に――――由月 茅、鏡中の帝王の機嫌が、ものすごい勢いで悪い。

以上が、鏡ヶ丘高校が平和でない理由である。

ある者はなぜこの学校に来たのかを嘆き。

ある者は真剣に学校を転校することを決めかけている。

まぁ、それは一般人の話である。

ちなみに、関わり合いにならない方がいい3人以外の極道関係の人たちはなぜだか平穏である。

何故だ?何が起きている。

わけがわからない一般の人は、やはりなぜこの学校に来たのかを延々と悩む羽目になる。

では、解説しよう。

1つ目は、まぁ前述の通りだ。茅と央が恋仲になった。

それは言わなくとも察してくれるだろう。

では、2つ目と3つ目。

4人に増えた謎と、茅の機嫌がなぜ悪いか。

実はこれ、本人たちの間ではつながっていることだったりする。


始まりは1か月ほど前。

央が茅の姐候補として認められたその日。

央が帰るのを送っていた茅と帰る央は、ある一つの光景を見た。

それは女の子が複数の男に囲まれている場面で、カツアゲはなく、ナンパらしい。

だが、女の子はしきりに嫌だと言っている。

茅は、完璧に無視した。

あれを止めても、彼の利益にはまったくならなかったし、敵と言われている他校の生徒が何をしていても別に関心などなかったからだ。

むしろ、自分の組員でも手を出していなかったら無視するつもりだった。

だが、央は違う。

央は、茅が行こうと前を向いた瞬間に、その男たちにやめろと声をかけたのだ。

結局、茅はそいつらを蹴散らす羽目になり、後で央に感謝されたとはいえ、微妙な感じになってしまった。

まぁ、そこは央のかわいい笑顔と感謝に免じてあきらめてやったのだが。

問題は、その助けた女。

次の日、その女は現れたのだ。

央と茅の教室に、転校生として。

そしてその女の子は央が気に入ってしまって、央に話しかけるようになり…。


「まぁ、つまりは自分にかまってくれないからすねてるんですよね?若」

「飛竜、なげぇ前置きと解説、有難迷惑なんだよ」

「えぇ~。俺は若のためを思って」

よよよと泣く真似をしても、別にかわいくなんてない。

むしろ、気持ち悪い。

「あの女、どうにかなんねぇのか」

「普通の堅気だったら、一発でひるんだと思うんですけどね」

茅のイライラとした声に、飛竜が間髪入れずに答える。

光の速さのごとくのその言葉は、一体何回言ったかわからないぐらいなのだ。

この一か月、茅は飛竜にそれしか言っていない気がする。

それぐらい、この言葉ばっかり聞いているのだ。

「あー!ストレスたまる」

「若にもストレスってあったんですねぇ」

「お前には一生ねぇよ」

軽愚痴の応酬。それもいつもの事だった。

そう、彼女が普通の堅気なら、こちらも脅すなりなんなりできたものを。

彼女は、高条 リルは脅しかけた茅に笑顔でこう言ったのだ。

『あなたが由月君ですか?後月会の次期6代目の?わぁ、本当に会えると思わなかった。

私、高条 リルっていいます。あなたの事は引っ越す前に昭ちゃんから聞いてます。あ、昭ちゃんって、蒼秀会の次期8代目なんですけど』

蒼秀会そうしゅうかい

それは聞いたことないなどとは口を避けても言えないところだった。

後月会とは一応友好状態にある、極道だ。

友好状態であるからこそ、敵に回してはいけないところ。

蒼秀会の次期8代目は、茅の10歳ぐらい年上で、もちろん茅は何回も会ったことがある。

寺島てらしま 昭栄しょうえいが、次期8代目。

昭ちゃんとはつまり、その人の事で間違いないだろう。

そういえば、隣に住んでいる10歳年下の堅気の娘を、妹のようにかわいがっていると聞いたことがあった。

しかも高条 リルはあろうことか由月 茅にあったらこれを渡しておけと言われていたらしいものを茅に渡す。

それは蒼秀会次期8代目直々に書いた、「リルをよろしく」という内容のものであった。


これで、茅は仲良くなる女子2名を見なくてはいけない羽目になったのであった。

「くそ、普通の堅気であれば」

「後月会の掟以内でやってくださいよ?」

「当たり前だろうがっ!俺は次期6代目なんだから」

そう、だから茅は手を出さない。

後月会にある掟『堅気には手を出さない』を忠実に守っているから。

自分が守らないと、示しがつかないから。

そしてもう一つ。

何より央が笑っているから。

その笑顔を見ると、どうしても何もできなくなってしまう。

所詮、茅は央が笑っていればそれでいいのだ。

ただし、央が笑っていないのならば、央が泣いているのならば。

もちろん、それが誰であれ、茅は許す気なんてないのだけれど。

茅が席を立つ。

そして、ふらりとどこかへ消えた。



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