少し前の出来事。
森を抜けようと歩みを進める私達。そんな時木こりでも住んで居たのだろうか、小屋を見つけることに。幸い川も近くしばらくは野宿になる、なんてことは無さそうで手当ても出来るだろう。
念の為人が居た場合でも迷惑にならないように、と心掛けて中を覗く。
「失礼しまーす…。」と静寂の空間に声が響く。
中は埃臭く少し換気が必要そうなものの荒れた様子も無いのでお借りする。
カノンを寝かせる為にベッドを叩いて埃を払い、横になってもらう。
窓を開け換気をしつつ、飲み水を汲んでくる。
カノンに飲ませようとするが、痛がっており飲める状態ではない。
まずは鎧を脱がせ、傷を濡らした布で応急手当ての薬を拭き取り水で洗い流す。
出血自体は止まっているものの、腕を一切動かしていない。
カノンは、洗い流すといくらか楽になったようで眠りについた。
私は、この部屋で何かないか探してみる。
机の上には日誌が見つかった。
最近のものを手に取り読んでみる。
『ここを訪れた者へ。
この森に住んで居たゴブリンが色喰みから活性化しており、知能も数段上げてきたようだ。
奴らは神経性の毒を使うらしい。もし攻撃を受けたら解毒剤を作って擦り込むんだ。私はもう遅いからここに予備を一つ置いていく。場所は言うまでもなく今この日誌を読んでいるであろう机の上に置いておく。レシピは一般的な解毒剤と対して変わらないだろうが毒素を抜く成分が強くなっている。
木こりなんてやっていたら危険になると思い、私は故郷へと戻る。』
これかな…と瓶に入った粉薬を見つける。
日誌の通りなら、これで治るはず。
と思い私はカノンへ解毒剤を使う、粉薬でこれを傷に塗すらしい。試してみると一気に吸収されていくので全て使う。これで様子を見てみよう。