修練の日々。
私達は森を進みつつある程度進んだら休んで、いざという時の短剣の使い方を練習していた。
攻撃範囲が極めて狭いので振りの大きい武器相手には有利なこと、何本か持っていれば投げつける等も有効な事、紐を括り付ければ様々な手段に使えることなど。
カノンは元騎士とだけあって、武術について経験も知識も比にならない程豊富だ。
実際に模擬戦もしたけれど、攻撃が当たる気配すら無く木の棒で打ち負かされてしまった。
殺気?というものなのだろうか、全然相手に向き合う時の威圧感が違うのだ。
カノンに「どうしてそんなに威圧感が出せるの?」という答えが出た。
すると「ただの殺気ならその辺のゴロツキにだって出せるけれど、こればっかりは場数を重ねるしかないんだよ。ただの殺気ではなく相手を如何に憎み、絶対に殺してみせる。という事を自然のうちに切り替える…みたいな感覚かな。」と言っていたけれど難しい。私もそのうち出来るのかな…。
そんなこんなを話した後、交代で見張りをしてる時に私はある気配を感じ取ってしまい、即座にカノンを起こすと技量の差なのか
「アリス!流石に遅すぎる!!!」
と言われ剣を抜くカノンに合わせて短剣を握り、辺りを見渡すと白の夜に似合わない異臭をさせた影が現れる…
「これは!?」と聞くと「奴らはゴブリン、群れで行動する厄介な連中だ。絶対に離れるなよ…」と言われる。