テスト中はなぜか時間が短く感じる
雲一つ無い快晴の朝....それは突然やってきた
ガチャ
「おはようございます。剣さんファイル先輩...」
「おはよう罵否」
「おはようございます、傷我弥 罵否....」
「..........。」
分かる....きっと罵否は驚いてるんだろう....この状況に....
「二人とも...何で交番に学校の机があるんですか？」
そう、今俺らは国から支給された学校の机と椅子を使ってるいる。
「よし、二人揃った事だし...説明すると....これは学力検査だ」
「「は？」」
「分かる、分かるが聞いてくれ....最近この交番には二人の新人が就職してきた！ それを知った警察官どもが、ちゃんと警察としての基本がなっているか、警察の顔に泥を塗らない人材なのか.....学力検査をして欲しいということだ」
「いや、最後だけ分かんないっす」
「落ち着いて下さい、傷我弥 罵否、要するに、社会人の基本が試されてるだけです。」
よし、ファイルはちゃんと理解してるみたいだな
「じゃあなんで剣さんの分もあるんっすか？」
「ついでに....だそうだ」
ついでに俺もって、どんだけ信用されてねぇんだよ....
「ほらほら、各自席に座れ...机の上に問題用紙があるだろ？ それを解くんだ、ちなみにこの机はテスト開始と同時に監視マイクが起動する、テスト中に席を立つような音がした場合はカンニングとみなされ問答無用で0点とされる。 0点となった者は....何かややっこしい事が書いてあったが、要するに....クビって事だ」
「意外と、シビア...ですね。」
「問題内容は国語だそうだ....制限時間は40分.....ほらほら二人とも座れ」
そして、ファイル、黒沢、罵否の順番で席に着く
「よーし全員席に着いたな....問題用紙をめくれば机が起動する、それじゃ初め！」
三人一斉に問題用紙をめくる
「..........。」
30分経過...
分かんねぇ...どうしよう、１問も分かんね！ ん？....罵否がこっち見てる、アイツも分かんねーんだ！ 仲間がいた！
「...........」
なんだアイツ、プリントに何か書いて...
【俺も全問分からないっス】
「............」
【だよな！】
黒沢も罵否と同じようにプリントで会話をする....
【ちょ...剣さん見てください】
....？ 見ろって何を......は！？
サラサラ....
【ファイル先輩メッチャ解いてます！】
嘘だろ！？ この問題ってあんなにサラサラ解ける物なの！？ あんな茶漬け感覚でサラサラいける物なの！？
【だがラッキーだ、これでファイルにカンニングさせてもらえれば俺らの0点は避けれる！】
【でもどうするんっスか？ 不審な音はカンニング対象っスよ】
【俺に任しとけ！】
今での会話を消しゴムで消し、その消しカスを練り合わせ一つの練り消しを完成させる
気付け、ファイル！
「うっ！！」
親指で弾き飛ばした練り消しはファイルのこめかみに激突...ファイルの頭が揺れる威力だった
【何してんすか！！ ファイル先輩メッチャキレてますよ、瞳孔ガン開きッスよ！】
こうなりゃもうダメもとだ！
【ファイル、答案見せてくれ】
それを見た瞬間ファイルは即座にシャー芯を抜き出し、軽やかにぶん投げた
ザクッ
あまりの激痛に「ぎゃぁぁ！！」という叫びを必死に堪える
【剣さん！？ 大丈夫っスか！？】
【アイツ....シャー芯を的確に俺の頸動脈に...】
【どうするんっスか！？ 他に策は？】
【ファイルにはもう頼れない、なら二人で協力するしかないだろ！】
国語１問:次の漢字の読みを答えなさい。
『餃子』 『常緑』 『猿人』 『雑魚』
【分かるか罵否！？】
【もちろんッス、よく見たら簡単でした
『餃子』 『常緑』 『猿人』 『雑魚』】
何でドラゴンボール推し！？ ヤムチャに何か恨みでもあるの！？
【もういい、次だ次！】
国語2問目：次の四時熟語の意味を答えなさい。
『天真爛漫』
【次は剣さんが答えて下さいッス】
俺！？.......ん～
【『天真爛漫』：中国代表の筋肉マンのキャラ】
【ふざけてるんスか？ 中国代表はラーメンマンっスよ、それに中国代表にするなら漢字は『天津』っスよね？】
【何でこういう時だけ博識！？ マン付いてりゃだいたい筋肉マンのキャラみたいだろーが！】
ピッ！
【剣さん、あと5分きったっス！ 次いきましょう！】
国語3問目：次の漢字はいつを表してるでしょう。1月から12月の内、どれかを選びなさい。
『如月』
分かるか！ そもそも何て読むか分かんねーよ！
【まだです剣さん、これは選択問題...12分の1に賭けるしかねぇっス】
【いや...もういい】
【どういう事っスか！？】
【悪いな...面接のときには偉そうなこと言ってたくせに....こんな常識問題も解けない....不甲斐ないリーダーでよ】
【剣さん.....】
ザクッ
「..........！」
再び『ぎゃぁぁ』を必死に堪える
【何すんだ、ファイル！】
.....っ！
ファイルは頬杖を付き、そっぽを向きながら、さりげなく自分の首の部分に指を指していた
それを見た黒沢は自分の首を触ってみる.....まさか....
【おい罵否、答え分かったぞ！】
罵否に答えを教えたと同時に、二人は尋常じゃない速さで問題用紙に答えを書く
ピピピピッ！
───瞬間、机から『止め』の合図が入り、青白く光ったと思えば机の上に置いていた問題用紙のスキャンを始めた...
「ハイテク過ぎだろ...この机」
「にしても最後の問題、よく答えが2月って分かったっスね」
あぁ...アレか
「ファイルが教えてくれたんだ......俺の首に付いてる傷の数が答えだってね....」
「答え合わせる為にもう一本首に刺したんっスか....じゃあ...もし答えが12月だったら...」
「あと10本は刺さってたな」
そう考えるとファイルの教え方って怖いな....
そうして二人はファイルを見るが、ファイルは未だにそっぽを向きながらナイフの手入れをしている
「...........給料、貰えなくなるのは、困った、だけです」
「お前日本語変だぞ.....さては照れてるな」
「......」
「ゴメン、感謝してるから、とりあえずそのナイフ降ろそ.....」
それ刀身が発射するから洒落にならねぇんだよ！
「でも本当に助かったっス、ファイル先輩。」
ピピピピッ！
「おっ！ 結果が来たぞ....」
三人の結果はそれぞれ机に書かれていた
ファイルの机：100点 合格
黒沢の机：0点 クビ
罵否の机：2点 合格
「な.....！」
絶句する黒沢をよそに二人は黒沢の解答用紙を見る
「黒沢さん、書く場所、１問、ずれてます」
「ケアレスミスっスね...」
「ベタ過ぎるだろ！」
あの時急いで書いたからだ！！ ちゃんと見とけば良かった！ 最悪だ～！ 俺の机だけ赤い光で『クビ』って書いてあるよ、超恥ずかしい！
「取りあえず、この交番、戻りたいなら、面接、しましょうか」
「良いっスね....この際色々聞き出しましょう、ファイル先輩」
なんでこうなるんだ！！
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一方....ここはロシアのクレムリン....
「.......これはこれは....また豪快に殺しましたね」
「そんな『雑だなぁ』みたいな言い方やめろ、こうやって全部燃やせば....証拠も痕跡も消えてお得だろうが」
この二人はファイルの所属してた組織のリーダーとその右腕
「....それよりも...ファイルの嬢ちゃんは見つかったのか？」
「いえ、見つかっておりません。 捜索に『キール』を向かわせましたが連絡が付かなくなりました....ファイルは見つけ次第射殺するつもりです。」
「.......お前な....もし見付かったとしても数日閉じ込めるぐらいで勘弁してやれよ」
「おや、良いのですか？ 飢餓で死んだ方が苦しいと思いますが？」
「何で死ぬまで閉じ込める前提なんだよ.....ったく、実の娘にまで容赦無しか....恐ろしい父親だぜ」
「実の娘？ そんなものこの道に足を踏み入れた時点で無いも同然ですが？.......それにファイルは裏切り者....生かす必要は無いとかと思います」
「まぁファイルの嬢ちゃんは何かと父親のお前に反発する所があったからな......それを端から見てた俺としちゃ今回の組織から抜け出した件は....反抗期だと思って多めに見たいが....」
「.........えぇ仰りたい事は分かります、抜け出す際にファイルがピストル、ライフル、グレネードなどを持ち去った件ですね...」
「いや....それだけならまだ可愛いもんだが....ちょいとばかし、危険すぎる玩具まで持って行ったらしいからな...」
「では全勢力でファイルを殺しに行きますか？」
「いや、まだ泳がしとけ....ファイルの嬢ちゃん.....使い道ならまだあるぜ」
