ひとつだけ言っておく
「ここが交番って知ってる?」
「...うっす」
「なら何で履歴書なんて持ってきたの?」
「交番に就職希望っす」
バカなのか.....
「交番の仕事はそう簡単には勤まらなの! 何より人手は足りて....」
あれ? 思えばこの状況って前に殺そうとしてた奴と一緒に仕事してるってことだろ......それって普通に考えてヤバいよな...居眠りしてた所をナイフでグサッ...とかあり得る訳だろ....
「とりあえず面接しようか」
「....あざっす」
「急に、考えが、変わった、なぜ?」
テメェのせいだよ
「えっと...名前は傷我弥 罵否、18歳で宮根高校を中退...」
宮根高校?
「この高校って最近、乱闘があったんだけど...もしかして居た?」
「...うっす、俺もその場に居ました」
あ、居たんだ
「じゃあ中退したのって昨日の事なの?」
「...うっす」
なるほど、なるほど
「兄弟が一人いて、趣味はバイク、特技は....ケンカ...」
ケンカ?
「...うっす、自信あります」
「そうか、じゃあ何で交番に就職希望なのか理由を言ってくれるかな」
「...最近、自分の大切にしてる人が大勢危険な目に遭いまして、今の立場じゃ守りたい奴も守れない事に気づいて、そう考えた時この交番が真っ先に頭に浮んで、ここに就職したいと思った....です。」
うんうん、なるほど
「じゃあ最後の質問、宮根高校の事件はどう思った?」
「...うっす、すべては族長である俺が招いたことで....でも....事件は丸く収まったけど俺はまだ『白猟団』は許せねぇっす」
うんうん.......ん?
「は?何!?ふぁ!? 族長だったのお前!? えっ何代目?」
「51代目っす」
歴史長ぇな、オイ!
「昨日は親父がお世話になりました」
「あ....うん....ん? 親父?」
「....? 昨日抗争止める為に依頼したって言ってたっスけど...」
「あれ親父さんだったの!?」
と......その前に、『爆列怒』の51代目族長!? ファイルとのman-to-manは阻止しなきゃだけど交番に族長を入れるってのも.....どっちだ....どっちだ.....どっちだ.....どっちだ.....
「頭抱える程、悩んでる、そんなに、なぜ?」
だからテメェのせいだよ! ......................はぁ
「.......ここは人を守るための交番だ、族長なんて危険な奴は、法を守る警察からしたら真逆と言っていいような人材だ」
偏見かもしれない、だがこれだけは言っておかなければならない
「でもまぁ、俺は国から危険物扱いされてるし、あの金髪女に至っては本職は殺し屋だ、こんな交番に族長の一人が増えたぐらい何の問題もねぇよ」
言っておかなければならない、元々交番は化け物揃いの集団だということを
「傷我弥 罵否 ここは最も危険な街、戦乱街の交番だ、覚悟はあるか?」
「...望むとこっす」
その目に濁りは無く、ただ真っ直ぐこちらを見ている、嘘偽りのない覚悟を持った目だった
「今日からよろしくな....罵否」
頑張ります、お願いします