戦いは準備から始まっている
「で? 何で倒れたの?」
「それは.....え~....何処から説明すれば...」
なんだ? 歯切れが悪いな...
「取りあえず依頼内容だけでも言ってみろよ」
「実は近くで族どうしの乱闘が起きてまして、こちらでは手に負えなかったので交番に依頼を...」
「族同士のケンカ? ほっとけよそんなもん」
そもそも警察が出たところで族のケンカは止まらねえよ...
「ですが乱闘している人数と武器の規模が大き過ぎまして、一般人にも被害が及んでいるんです」
「は? それは気にくわなねぇな......そもそもどこの族達だ?」
「ケンカを仕掛けたのは『白猟団』で、そのケンカを買ったのは『爆列怒』という集団です」
聞いたこと無いな
「どこの集団だよ....」
すると.....依頼人の目は.....輝いていた.....
「知らないんですか? どちらとも名のある集団何ですよ....特に『爆列怒』っていう集団は宮根高校という学校の生徒だけで構成されてる集団で、長い歴史のなか学生だけで戦っていたにも関わらずまだ一度もケンカに負けたことのないっていう伝説の集団です!」
急に饒舌になったぞコイツ
「.........何でそんなに詳しいんだ?」
「はい....私....自分で言うのも何ですけど...マニアでして...」
族マニア? 新種のマニアだな....流石戦乱街、変人ばっかだ....
「そんな2チームの戦いに水を差すのは忍びないですが.....どうかあの騒ぎを収めてください.....では私はこれで」
「おい、報酬は?」
..........なんだその顔は
「交番なのにお金取るんですか!?」
「あったりめーだろ! ここは周りとは違うんだよ、私立交番なんだよ、ビジネスでやってんの!」
「は.....はぁ? 私立交番....?」
「そうっ! ここは俺が立ち上げた交番だ.....でも大丈夫、俺自体は、れっきとした警察官だ! 警察手帳あるぞ? 見るか?」
「いえ....結構です....あの....ちなみに報酬の相場は....」
報酬の相場.....そういや考えた事無かったな
「相場は無いけど...依頼内容と金が釣り合ってるって俺が思ったら、依頼は受ける....族のケンカを止めるってなると....そうだな...10万ぐらいかな...」
「10万...ですか...それで良いんですか? それで止めてくれるんですか!」
依頼人はやけに熱心に語る....なぜだ?
「おい、アンタ....何でそうまでして族どうしのケンカを止める? アンタが族マニアだとしても...払う10万だって結局は縁もゆかりもない他人に使ってるようなもんだ....」
「.........理由なんて要りますか? 男が.....守りたい者を守るのに、止めたい者を止めるのに....そこに理由は要りますか?」
目つきが変わった....さっきまでのひ弱さはそこには無かった.....なるほど、訳ありってやつか
「...........悪い、野暮だったな.....よし依頼内容はそれだけか?」
「え?」
「族どうしのケンカ止め、この黒沢 剣太郎が引き受けた!」
コンッ コンッ
「あ? 誰だタイミング悪いな....」
ガチャ
「おい黒沢! 場所代の徴収にきだぞ!」
「誰ですかこのパンクなおばちゃんは!?」
確かに...長いチリチリの髪にしわのある顔、ここまではいいが革のジーンズに革のジャケット......肘当に膝当てという年齢ガン無視の服装.....
「なんだい、客がいたのかい....すまないね依頼人....すぐ済ますから」
「婆さん、いつ見ても凄いなその服装」
「テメェに言われたくねえんだよ! 今時和服に十手なんて時代を考えろ!」
「で? 場所代の徴収にしては早くないか?」
「うるせぇ、テメェには関係ないだろ早く金出せ」
恐喝じゃねーか......ちょっと待てよ、金をせびるってことは
「おいおい婆さん、まさかまた拾ったのか?」
「......」
図星だな、でたよ婆さんの悪い癖
「拾ったって...何をですか?」
「あ~...人だよ」
頑張ります、お願いします