君はリリー
ただ一つの汚れもなく凛と咲く花の名前は君だった。
風に揺れる細く長い黒髪、今にも壊れてしまいそうなほど華奢な身体、艶やかなミルク色の肌。
しかし、無垢で穢れを知らぬ純潔の心を持つ君も、流れる時間の中で汚れを知り、いつかは枯れてしまうのだろう。
だからせめてこのいつか終わってしまう時間だけは、その美しさを私に見せてくれ。
そう思っていたのに、君は枯れることなく私よりも先に逝ってしまったな。
身体はたしかに枯れていたのに、最後まで君の心は穢れなく白いままだった。
君は百合のように美しく生きたのだ。
ならば私も君の隣に咲けるよう、いつまでも純粋に君だけを愛し続けよう。
何年先になるかはわからないが、必ず君の隣にいくから、それまでは咲き続けていてくれないか?
ふわりと吹いた風は百合の香りがしていた。
百合の花言葉は、純粋、無垢、威厳。