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第7部 ウィルガルド大陸伝奇

 辺りを見回すと 

 クリスタルは、大事なアナスタシアが封印された

 ルビーの首飾りを自分の服で外から見えない様に隠した。

 妖刀ダイモスを普通の魔法剣のモード2に変えて、背中に背負うと、

 ーーこれからどうしようかーーと思案した。

 あたりは一面の黄金色に実った収穫間近の米の田んぼだった。

 家々のたたずまいは少し西と違う。遠くを歩いている人の格好もどこか違っていた。

 なんて長閑な風景だろう……クリスタルは眺めていたのだが、

 とにかくお腹がすいた。

 自分のもっているお金はここで通用するかな?

 などと考えていると、彼の背負っている大剣をだれかがグイと掴んで引っ張る。

 いきなり、後ろから彼に「スリープ」と魔法をかける声がきこえた。

 とっさに、気でその魔法を跳ね飛ばした。

「だれだ?」後ろを振り返ると

 目の前に、可愛いピンクのスカートをはきフードをかぶった7歳くらいの女の子がいて、

 クリスタルの大剣を引っ張ったまま

 また「スリープ」と唱えた。


 クリスタルはその呪文を自分の銀の呪文の彫刻板のついた皮手袋ではじくと


 女の子に聞いた。

「お前、なにしてるんだ」


「あら、あなた、眠らないの?せっかく昼寝させてあげようと思ったのに」


「その手はなんだ?」


「ああ、あんた、腕はへっぴり腰のいまいちな剣士なのに

 もってる剣はものすごい剣みたいなので、

 持つのにふさわしい人にあげようと思って」

 と女の子は普通の魔法剣モード2のダイモスから手を離さない。

(ふつうの剣のモードだとクリスタル以外の人が触れても生気は吸われない)


「あんたみたいな、へっぽこ剣士が持つより、

 ふさわしい勇士が持った方が剣も喜ぶわ」

 とさらに剣を引っ張る。


「あのな、痛い目に合わないうちにおうちに帰りな。

 お嬢ちゃん。それともケツぺたひっぱたいてやろうか?

 おまえの親はどこにいるんだよ?」


「あたしは盗賊で自活してるのよ。親なんていないわ。

 なんせ見かけは人間の女の子だけど、これでも200歳こえてるのよ。

 だって私、魔族だもの。

 魔法もつかえるんだもの。フリーズ!」と魔法攻撃した


 クリスタルは銀の皮手袋ではじくと

「おいこら。いい加減にしろよ」と少女にデコピンした。


 とたんに「わーーん、だってお腹すいてるんだもの。

 このおにいちゃんがいじめたーー‼」


 少女は大声で泣きわめき始めた。


 まわりには誰もいないが、クリスタルはすごくバツが悪くなって

「泣くなよ、飯ぐらいおごってやるからさ」とつい少女にいった。


「ほんと?」少女の目がキラリと光った。


 そのまま、クリスタルは村にある食堂に、少女にひっぱって行かれた。

 食堂のメニューはウーロン茶と天津飯と肉マンしかなかった。

 少女は「天津飯、大盛で10杯ね!」と大きな声で、

 水をもってきたおばちゃんに言った。

 クリスタルはおばちゃんに、

「西の大陸のお金しかないけど、ここで通用する?」ときくと、

「ここいらは、西からしょっちゅう隊商がきて泊まったり、

 泊まってる間に数日バザー店を開いたりするので、通用しますよ」

 といったので安心した。


「じゃあ、ぼくも天津飯大盛2杯。」と頼んだ。

 女の子は「つぎは肉まん20個ね、

 あと喉が詰まるのでウーロン茶ください」


「はーい」


 クリスタルもたらふく食べた。

 追加でクリスタルも肉まん10個食べてウーロン茶もお代わり。

 お勘定は 天津飯大盛12杯 (銀貨1枚+銅貨10枚)×12=銀貨13枚銅貨20枚

 肉まん  30個  銅貨10枚×30=銅貨300枚= 銀貨6枚

 ウーロン茶はサービスにしてくれた


 しめて銀貨19枚銅貨20枚


(ヴィルガルドの交換レートは   金貨1枚=銀貨200枚

 銀貨1枚=銅貨50枚である)


「あーーありがとね。ひさしぶりに腹8分目に食べたわ。

 あたしはリユ。魔族よ。見かけは人間の7歳位の女の子だけど200歳越えてるわ。

 職業はコソ泥よ。よろしくね」


「よろしくって、どういう意味? まだ俺にたかるつもりかよ?」


「これからはあなたはあたしの保護者よ。イヤ!ってのは認めません!

 どこまでもついてくからね。あたしにご飯をおごってくれさえすれば、

 けっこう役に立つんだから」

 というわけで、いきなりクリスタルには扶養家族ができてしまった。


 食堂のおばちゃんが、

「あれが村長さんだよ。物知りだから、困ったことあったら

 色々聞くといいよ。親切な人だから」


 目の前をおばちゃんが村長と言った老人が歩いてきたので、

 クリスタルは話しかけた。

「あの、つかぬことをたずねますが、ここは、どこですか?」


 老人はにっこり笑って、深々と頭を下げてから親切に答えてくれた。

「ここは、天子様の治める大西華帝国の一番西の端の町で張臨村だよ。

 どこから来なすった?」


「皇帝ジョー・デウスのラフレシア王都へ行くには、

 どういけばいいですかね?そこからきた者ですが」


「おお、めちゃくちゃ遠いとこからきなすったんだね。

 西へいけば行きつくだろう、としか言えないね。

 第一、あの大天竜山脈は高さ4000メートルある山々だからねえ。

 ああ、そういえば、西から来た商人が、山を越えて西に帰るそうだが、

 山にいる魔物が強くて用心棒が逃げ出したそうで、

 強いやつはいないかって募集してたね。いまそこの村の宿に泊まってるよ。

 宿の前で店を出してる人がその隊商のリーダーだよ。

 女たちが群がってるからすぐわかるよ」


 クリスタルの目の前に、おばさんたちがキャーキャー群がっていた。


「さあ、大バーゲン、在庫一掃処分市だよ!」

 と派手な格好のおじさんが叫んでいる。

 使用人らしい若い男が二人手伝って叫んでいる。

「さあお買い得だよ~!」「さあ安いよ~!」


 クリスタルはバザー店が混んでて商人たちが忙しそうなので、

 もう少しあとで話すことにして木陰で様子をみていると

 食堂のおばちゃんが、


「沢山食べてくれてありがとう。お菓子サービスしたいからおいでよ!」


 それを聞いて、リユが

「はーい」(((o(*゜▽゜*)o)))


 クリスタルを引き摺ってまた食堂に入った。


 おばちゃんが、ニコニコしながらウーロン茶と

 点心にゴマ団子を2個づつ出してくれた。

 リユがニコニコと上機嫌ですぐにゴマ団子を食べてしまって、

 クリスタルに聞く


「ねぇ これいらない?」


「いる!食ったらボコるぞ!」


 リユはシュンとした。


 クリスタルが何気なく、横にある鏡を見ると、

 リユのいる場所には

 うさぎと子熊を合わせたような毛玉のもふもふの紫の小動物が映っていた。

 動きが同じなので、どうもリユの様だ。

「おまえ、これなんだ?」


 クリスタルが親指で鏡のリユを指さした。


「ああ、あたしは魔界で魔族の中でも

 パピヨンゴブリンていうレアなゴブリンなのよ。

 千年位生きるわ。今203歳ね

 魔界の魔障石から産まれるの。

 魔界でもあたしの群れ1つしか知らないわ。

 80匹ほどがいるだけよ。

 魔界の魔障の沼の畔に広大な化石の森というとこがあるの。

 そこに住んでるのよ。

 パピヨンゴブリンはその可愛さに油断した魔界のお偉いさんの

 家なんかから物を盗んで暮らしてるコソ泥ね。

 普通は少ししか魔法は使えないけど、

 あたしはパピヨンゴブリンの天才でね、

 一族始まって以来の天才魔法使いなのよ。

 みんなあたしをチヤホヤしてくれてたわ。

 あるとき変身の術を覚えて人間の女の子に変身したんだけど

 元に戻れなくなったの。

 そしたら、みんな、ニンゲン!ニンゲン!て呼んで

 手のひら返していじめられて

 ……しくしくしく。

 仕方なく人間界に来たのよ。

 どう? あたしのこと分かった?」


 もうクリスタルはおばちゃんと世間話していて、

 ぜんぜんリユの話を聞いてなかった。

 リユはクリスタルの銀の皮ブーツをおもいっきり踏んずけた。


「いてぇ!」


 クリスタルは少し怒って、

「てめぇ!なにしゃがんだ!」


 おばちゃんは楽し気に西の国の世間話した。

 アドニス・デウス王太子がアナスタシア王太子妃と

 王都ラフレシアで結婚式をあげた話だった。








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