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第31話

  クリスタルは半分寝ぼとけながら歩いている。

 グリシュがクリスタルに「追尾プロセキュティオ」と魔法をかけた。

 クリスタルは、寝落ちしたが体が勝手に歩いて追って来る。

「便利ネ」とステラ。

「お前もかけてやろうか?」「お願イ」

 グリシュのあとを寝落ちしたステラとクリスタルが歩いてついて来る。

 石の通路が開けている場所があった。

 その開けている場所に、いきなりドラゴンが二匹現れた。


 グリシュは夢遊病状態の二人を連れながら、戦った。


 焼肉のいい匂いがする。「くんくん」とクリスタルが眼を覚ますと、そこはホールでグリシュが最強炎呪文でドラゴンを二匹こんがりローストにしたとこだった。

「いいにおいね」ステラも眼を覚ました。

 クリスタルとステラは持っていた小刀でドラゴンの皮を剥いで、焼けた肉を切り取って食べている。

「おい、ダイモスでとどめをさせよ!」とグリシュが言うが、「ちょい待って」と言うと、クリスタルとステラは焼けた肉を切り取って革袋に入れて持って行く気の様だ。

 めぼしい肉を着り取ってから、クリスタルが「じゃあ、ダイモスを突き立てるぜ」といって、ダイモスをドラゴンの一匹に突き立てたが、全く反応がない。「ダイモスでとどめを刺さないと吸収できないのかもしれない」

 グリシュはあさっての方を向いて、「知るか。勝手にやってろ!」とお怒りモード。

「あの、もう一度追尾魔法かけてくれる?」とステラが言うが、グリシュは無視して、ずんずん歩き始めた。

 クリスタルとステラは慌ててグリシュの後を追う。

 今度は、らせん階段。そこを降りると、今度は、迷路が待っていた。

 人がようやく、一人通れる位の通路が幾度も、二股に別れ行き止まり。

「はぐれないようにしないとネ」とステラが言う。

「そう言えば、グリシュ、お前、壁とか、透過できるんじゃないの?」

 とジルバニア城での戦いを思い出して、クリスタルが言う。

「ここの壁は透過魔法の封印がかかってる」とグリシュ。

 三人は、行きつ戻りつを繰り返しながら、慎重に進んだ。

 途中で、お腹が空いて、ドラゴンの焼き肉を食べながら、歩く。

「グリシュさん、水まだありますか?」「うん?」グリシュは、自分のポケットから水筒を二個出すと、クリスタルとステラにくれた。

「これで、ジョイと合流できるまでもつように飲め」とグリシュ。ところが、会話中にいきなり、周りの壁が壊れた。

 そして、三人の目の前に、ケルベロスが1匹現れた。六メートルはある三つ首化け物犬が、いきなり、三人に襲い掛かって来た。

 ステラがとっさに、グリシュにドラゴンの肉を渡すと、「肉を見せて挑発して!」とクリスタルとグリシュに言った。

 自分もドラゴンの肉をだして、犬に「はーい、これをあげるわよー」と言って見せた。

 クリスタルとグリシュもステラと同じことをした。

 三つの頭がそれぞれに、眼の前の肉を手に入れようとして、前進しようとして、三すくみになって動けなくなってしまった。

「それを足元において逃げましょう」とステラ。

 三人はケルベロスの三つの頭がそれぞれ目の前の肉を食べようとして、にっちもさっちも動けない間に逃げ出した。奥の出口に入ったところで

「うふふ。ワンちゃんは食いしん坊だもんネ」とステラ。


「器用なやつだな」とグリシュ。






 落っこちた二人の方は


 穴を真っ直ぐ進むと目の前にホールの入り口が見える。

 しかし、その入り口をまるでネズミの穴を覗くように、巨大なオーガが入れ代わり立ち代わり、ギョロ目で覗いている。

 二人の姿を見つけて、オーガたちは大騒ぎしだして、持っている鉄のこん棒で、ホールの入り口を壊し始めた。ーーオーガは人狼並みに目が良いようだ。人狼のジョイは松明がなくても辺りが見えるようだが、人間のハミルには真っ暗闇だ。

 そのせいで石組が壊れて通路が埋まってしまった。

 オーガたちはがれきでこちらが見えなくなり、しばらく騒いでいたが、やがて静かになった。

オーガが崩したがれきは1個1個がとんでもない大きさと重さだ。オーガの怪力がわかりゾッとする。

 崩れた石組の隙間から向こうのホールを見ると、ホールの中央にオーガのたき火らしいものがありそれに照らされて、ホールの様子が見える。オーガたちは居眠りを始めたようだが、全員が眠ったわけではないようだ。

「ハミルさん、音をさせないように、この崩れた大岩をゆっくりでいいので、全部取り除いてくれますガウ?」

 力持ちのハミルがすべての崩れた石をそっと通路から片すと、

 ジョイがホールの中めがけて光魔法を放った。

フルゲオけ!!」

 輝く光の玉がホールの中に現れた。

 起きているオーガはすべて眼がくらんだ。そのホールにはニ十匹もの巨大なオーガがいた。十匹ほどは眠っていたが十匹は起きていた。

「さあ、行きましょうガウ」とジョイが懸命に走って向こうの出口に着いた。がなぜかハミルが来ない。

 ジョイが後ろを振り向くと

 ハミルもあの輝く光の玉を見てしまい、眼がくらんで動けなくなっていた。

「仕方ないガウ!」とジョイはまた走って戻ると、ハミルの手をぐい!と掴み、「さあ、こっちへ走って」と、また全力でハミルと走ってホールの出口に辿り着いた。

「ハアハアハアハアハア」とハミルは全速力で走り肩で息をしている。

「少し休まして!」「……体力ないガウね」「そう言うなよぉ」

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