第24部 女傭兵奇談前日話
クリスタルは空中に浮かんだ美女を見て、ぞくっと来た。
こんなゾッとするほど美しい女を見たことがない。
「ふうっ」と女の美しさにため息をついた。
女は黒い瞳が銀色に光り、獣の眼になった。
「いくぞっ!」と美女
呪文の詠唱を始めた
「永遠に消えること無き地獄の業火 たゆたう炎と血の海より出し者 悠久の時の流れに抗いし なんじに問う 我が前に立ち塞がりし 愚かなる者 地獄の王より与えられし我が力にて滅びよ」
「業火!」と最強の炎呪文をぶつけた。しかし妖剣ダイモスが、それを吸収してしまう。
「器用な剣だな」と女
「こっちからいくぞっ」
クリスタルは空中の美女に向かって妖剣ダイモスで渾身の力で斬撃を放った。
女はそれを簡単に避ける。つぎつぎと剣で斬撃を放つ
女はそれをすべてよけ切る
ハミル・ガウが三階の王女の部屋のベランダから中庭に飛び降りた。
「クリスタル、いくぜっ!」と城の中庭からハミル・ガウが叫んだ
ハミル・ガウは辺りの大きな庭石を何個も力任せに空中に投げた。
「ありがとよ」と、クリスタルはハミルの石を飛び石のようにジャンプして空中に浮いている美女まで近づくと、「食らえっ!」と妖剣ダイモスで切り付けた。
女はヒョイとかわすが、ハミルはつぎつぎと庭石を投げ上げる
その庭石をジャンプして、クリスタルはまた女に切りかかる
クリスタルは非常に素早い
すごい速さで重い大剣のダイモス振り裁く
すんでのところで、女の服の裾をかすめて切り裂いた
「あぶないなっ!」と女は空中のはるかな高見に難を避けた。
「いくら俺でも、その剣で切られたら一貫の終わりだ。あははは」
「くそっ、あんな高いとこじゃ、いくら俺が力自慢でも、大石を投げても届かねえっ」とハミル・ガウ
「これならどうだ。鏡反射!」美女の前に氷の鏡が現れた
「おまえバカじゃねえか? 戦士相手に自分に魔法呪文反射かけてどうすんだ?」
とクリスタルが嘲笑した
「こうするのさ」
そして自分にむかって呪文を唱えた
「業火!」
最強の炎呪文は氷の鏡に反射して、防御できない最強呪文となりクリスタルを襲った。
クリスタルは剣でその炎呪文を払いのけようとしたが何故か払えない。
炎呪文はまともにクリスタルに直撃した。
「はっはは。骨も残さず燃え尽きるがいい」と女が嘲る。
しかし最強の炎呪文はクリスタルが胸から下げているルビーのペンダントに吸収されてしまった。
「……お前、そのルビーの中に鬼神を封印してるのか」と女はあきれ顔。
女は百合の花を大きく一振りする。
振った飛跡から鋭い氷の剣が何本もクリスタルめがけて大量に飛んでいった。
女は幾度も百合の花を振る。氷の剣がクリスタルめがけて数限りなく飛んでいく。
しかし氷の剣はすべてその呪いの妖剣ダイモスに吸い込まれて行った。
女は百合の花の魔具を一振りすると、氷の竜を出した。
氷の竜はクリスタルに襲い掛かる。
クリスタルはその氷の竜をジャンプすると一刀のもとに切り捨てた
氷の竜は粉々の氷の塊になって散ってしまった
女は幾度も百合の花を大きく振った
そのたびに氷の竜が現れて、つぎつぎにクリスタルに襲い掛かる
氷の竜に攻撃されたクリスタルの身体のの箇所は凍傷になったような痛みが走り、そのまま凍り付いた。
美女は何十匹もの氷の竜を出し、その竜がつぎつぎにクリスタルを襲う。
剣で切り裂き、切り捨てクリスタルは氷の竜を粉々の氷に粉砕していくが、だんだん身体は氷に包まれて動けなくなってきた。
「ふふふふ。これで最後さ」と女が笑う
空中に浮いている美女は
自分の下めがけて左手の掌を広げた。
小さな6人の氷姫が現れた。六羽の白鳥の背中に乗って飛翔しながら笑って雪の結晶を撒いていく
瞬く間にクリスタルの身体は凍り付いた。
そのままクリスタルは凍り付いて動けなくなった。
そのとき城の向こう側の屋根の上からステラが美女に向かって
「きゃあーー!素敵ーー!最高の魔法使い様だわ! 胸きゅんきゅんしちゃう♪ かっこいいーー!」
と美女に向かって投げキスして黄色い声を張り上げた。
「ふっ」と美女はポーズをつけた。
「素敵な方。私からのチョコレート受け取ってー!」とステラが女に向かって何か投げた。
美女は、ステラの投げたそれを受け取った。
「げっ!」美女はいきなり投げ捨てた。
「バーカ! それはウンコよーっ♪」とステラ
女の顔が引きつった
「ふん」とステラめがけて右手をあげて何か魔法攻撃を発した
ステラはタイミングよく鏡を出した
「ふふっ」
美女の発した魔法攻撃は、ステラの鏡で反射された
美女は自分の魔法でウンコになってしまった。
空中にウンコが浮かんでいる。
「だっさー」とこの戦いの様子をベランダで観戦していたレネット王女が叫んだ
「あなたなんか、もう鼻白んだわっ。わたしたちこれで終わりよっ!」
美女が化けたウンコにむかってそう叫ぶと、
自分の部屋に引っ込んでしまい、
ベランダには鍵をかけてしまった。
空中のウンコはポトンと中庭に落っこちた。
五分ほどで魔法が解けて、クリスタルは氷が解けた。
その騒ぎで王宮中の人々が眼を覚まして窓から観戦していた。
王室執事がウンコから元に戻った美女を見て、叫んだ
「あれはルド公国の王太子、グリシュ・ルド殿下だ」
執事は叫んだ「王女の部屋にお通いだったのはグリシュ・ルドさまだったんだ」
女顔の王太子もお城の中庭に元の姿に戻って呆然と立っていた。
「ふむ、振られたか。まあいいさ」
「えっ、グリシュ・ルドだって?!」とクリスタルは叫ぶと
グリシュに向かって叫んだ
「きみへの手紙をルド女大公から預かってるんだ」
「何? 母上からの手紙?」とグリシュ
クリスタルはうって変わって笑顔で城の屋根から飛び降りて、グリシュに走り寄るとポケットから手紙をだしてグリシュに渡した。
グリシュはその手紙を読んだ。
「母上はお前に絶対に協力するように言ってる。仕方ない。お前に力を貸してやろう」
とグリシュが仕方なさそうに言った。
クリスタルはルド公国でのルド女大公と会った時のことを思い出した
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クリスタル・ブラスターは自分の過去のことをすべてルド女大公に打ち明けた。
彼女はクリスタルの身の上話に親身になってくれた。そして協力することを約束してくれた。
ルド女大公の言葉
「私の言うこと聞かない我儘息子が、この世界のどこかにいるんだけどね。
今どこでどう過ごしてるかは母親の私にもわからないけど……あいつに手紙を書いてあげるよ。
天才魔法使いとか持ち上げられて、すっかりうぬぼれてるバカな息子だけど、バカな子ほど可愛いのが親の性だね。
グリシュ・ルドって言うのさ。あんたに手紙を持たせてあげよう。ーークリスタル・ブラスターに絶対協力してやりなーー会えたら、この手紙を渡すといいよ。
そのとき、妹のレミルナも元気だって、言ってやっておくれ」




