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第22部 女傭兵奇談前日話

 ジルバニア王国の城で門番の兵士にリリン王子に依頼された話をすると、

「ああ、お聞きしております。お待ちを」とすぐに王室執事がやってきて、クリスタルたちを招き入れた。

 王室執事「ビシュヌ王国のリリン王子さまより、錬金術で作られた魔法の鏡で、連絡がありましたので、お待ちしておりました」

「リリン王子より王室執事さんから詳しい話を聞くようにと言われたのですが」とクリスタル。


 執事「レネット王女さまのお部屋で、信頼できる侍女3人も、その幽霊の姿を見ているのです。しかしレネット王女さまは、--バカバカしい、気のせいヨーーとおっしゃるのです。それでわれわれはレネット王女さまがその女の幽霊に魅入られているのではないかと判断いたしました。どうか王女さまの隣の部屋をご用意いたしましたので、そこでその幽霊を現れ次第、退治してくださいませ」


 クリスタル「わかりました」


 執事「しかし本人の王女さまご自身はーー余計なことはするな!ーーと言っておられるので、隣室で待機するのは深夜になってからにお願いいたします。昼間は夜、寝ずの番をしていただかなければならないので、わたくしがご用意した、お城の中の使用人部屋で御休息なさっててくださいませ」


「わかったぜい」とハミル・ガウ


 案内された王室の地下にある使用人部屋は明り取りの窓がある以外は、薄暗いほとんど地下倉庫のような部屋だが、椅子が四脚と長椅子が置かれ、木のテーブルには温かい四人分の食事が用意されていた。四人は温かい食事をいただいた。贅沢な山海の珍味で作られたブイヤーベースとパエリヤだった。それに白パンとオレンジと葡萄とリンゴが籠に山盛り。


「さすがは、お城の食事だなぁ。豪勢だね」と食い意地の張ったハミル・ガウとリユ


 ベッドは四つあって、真ん中を大きな衝立で仕切られていたので、右の二つのベッドでリユとステラが休むことにした。

 クリスタルとステラが同時に「あの、風呂に入りたいんだけど」というと、この地下の使用人部屋の廊下の突き当りに小さな使用人用の風呂が在りーー夜の当直の召使用にいつでも風呂は沸いているのでご自由にお入りくださいーーとのことで、先にステラとリユが入り、次にクリスタルが入った。ハミル・ガウは入らないようだ。

「きたねーな!」とクリスタルが言ったが「風呂に入らなくても死にゃあしないすよ」と答えて、そのままベッドで眠ってしまった。


 しかし、ハミル・ガウのイビキがすごい。

「すーぴーがるるるるーごるるるるーぐああああああー」まるで魔物の吠え声だ。

 するとステラがリユとクリスタルにコルクで作った耳栓を「これいいよ」とくれた。

 実際、耳に詰めてみたら、ハミル・ガウのイビキは聞こえなくなった。


「こりゃあ、いいわ。さすがステラは機転が利くなぁ」とクリスタル。

 四人はそのまま、ぐっすりと休んだ。


 やがて夜になり、召使が四人を起こしに来た。

「幽霊退治のハンターさんたち、お時間ですので王女さまの隣の部屋においでください」

 その召使について行く。

 召使は蝋燭立てに蝋燭を灯して、三階の王女の部屋へと案内する。


「この部屋は王女さまの使われていないクローゼットです。王女さまの部屋の中をドアについている木の格子戸で覗くことができます。幸い何事も無ければ明け方になったら、日の出の直前に、この部屋を出て、先ほどお休みになられた使用人の休憩室に各自でお戻りくださいませ」と召使は言うとそそくさと出て行った。


 部屋には背もたれの無い木の椅子が4脚置かれていた。

 召使が出て行くと、あたりは暗闇になり眼が慣れてくると、隣の王女の豪華な部屋の様子が、クローゼットの格子戸を越して見えて来た。月の明かりだけが王女の部屋を煌々と照らしている。


 だんだん夜が更けて深夜になった。

 草木も眠る丑三つ時である。

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