第18部 まとめ・総括(ネタバレですのでご了承ください)
彼の名はクリスタル・ブラスター
彼はこの世に生を受けて間もない赤ん坊の時、父親が世界征服を悪魔に願い
生贄として何の穢れもない赤子であった我が息子の魂と身体を悪魔に捧げた
それがために、彼は世界中を流離い自分の身体を集める果てしない旅を続ける
悪魔に捧げられた赤ん坊の彼を拾い
代わりの身体を作ってくれた女錬金術師の名前はマダム・ブラスター
彼はその女錬金術師を、おふくろ、と呼んで育った
彼の本当の父親は…………世界を統べる覇王ジョー・デウス
その王太子アドニス・デウスは彼の弟ということになる
皇后のアルテミシアは気がふれて久しい
彼は呪われた妖刀 戦慄を駆使し、自分の身体を求め、
世界を流離う流浪の傭兵だ
どれだけ不可能であろうと
彼はドウルガとなったアナスタシアを取り戻す意思を持つ
コソ泥で魔法使いの人間の幼女の姿をしたパピヨンゴブリンのリユと共に
クリスタル・ブラスターはかって、ハルモニアという王国の騎士だった
彼の育ての母マダム・ブラスターはハルモニアの
王室お抱え錬金術師だった。
彼が父に捨てられ葦船に入れられて川に流されたのを拾いあげてくれた
マダム・ブラスターはこの赤子のために
錬金術で本来ゴーレムの秘術を使い、失われた目、手足、耳、口、舌などの
人造器官をまがいものでも作ってくれた。
育の母は彼の魂につけられた『恐怖の呪い』を自らの呪力で封印し、
それのおかげで彼は、幼い頃から少年時代を他の子供と変わらない生活を送ることができた。
クリスタル・ブラスターはハルモニア王国の騎士となり、
王女アナスタシアからの愛の告白を受けた。
母から自分のむごい運命は聞かされていた彼は
だから王女の愛を受け入れることをためらったが
つい母から他人に語ることを禁じられていた自分の身の上を王女に打ち明けてしまった
すると王女はそれを承知でクリスタルを愛すると言ってくれた。
彼も心から王女を愛するようになっていた
その矢先、王女アナスタシアにヴィルガルド大陸の覇王ジョー・デウスの
王太子アドニスとの政略結婚という悲劇の運命がもたらされた
それは王女を新たにアドニスのための生贄にする罠であった
ーー王女はジョー・デウスの息子のアドニス・デウスの手によって、
大魔王デス・ダークネスの寄りまし(依り代)とされ、
王女アナスタシアはその身をこの世に降臨した
おぞましい悪魔に乗っ取られ
地獄の炎に包まれた巨大な食人鬼女ドウルガとなった
ジョー・デウスは我が子王太子アドニスのためにその妻と定めた王女アナスタシアを魔界の王デス・ダークネスに捧げた
捧げる際に、犠牲が大きいほど成果も大きいので、王女の祖国ハルモニア王国をも生贄とした
そのため、賢王ガウス・ハルモニア王も優しく美しいレナ王妃も、
親しく頼もしかった王室騎士であった彼の部下たち、
エイドス副隊長、レウス兵士、ドナ兵士、家政婦のミルルさんたちの命も失われた
彼の育ての母のマダム・ブラスターは自分の命と引き換えに
彼の魂につけられた呪われた刻印を封印してくれた。
そして息子の平安と引き換えに我が命を失った。
クリスタル・ブラスターは、きょうも一傭兵として生きて行く
いつかアナスタシアを救うため。
父親にいけにえにされた彼の身体を取り戻し、父と弟に復讐するために
呪われた妖刀の巨大な大剣 戦慄を背中に背負い……
彼の持つ妖刀 戦慄を狙い盗もうと、コソ泥で魔法使いで魔界の小悪魔パピヨンゴブリンの変化した幼女リユが付いてくるが、
そのコソ泥リユのせいでいざこざに巻きこまれることもあるが……彼はリユのことをなぜだか憎めない
彼は体を集めていつか、父親に復讐することを意思している
ジョー・デウスは聖王として今の世に知られる。
その息子 王太子アドニス・デウスも聖王子として
今日すべての人々の称賛を得ている。
***
クリスタル・ブラスターは自分の過去の話をすべてルド女大公に打ち明けた。
彼女はクリスタルの身の上話に親身になってくれた。そして協力することを約束してくれた。
ルド女大公の言葉
「私の言うこと聞かない我儘息子が、この世界のどこかにいるんだけどね。
今どこでどう過ごしてるかは母親の私にもわからないけど……あいつに手紙を書いてあげるよ。
天才魔法使いとか持ち上げられて、すっかりうぬぼれてるバカな息子だけど、バカな子ほど可愛いのが親の性だね。
グリシュ・ルドって言うのさ。あんたに手紙を持たせてあげよう。ーークリスタル・ブラスターに絶対協力してやりなーーて書いておいたから、どこをほっつき歩いてるかわかんないバカ息子だけど、会えたら、この手紙を渡すといいよ。
そのとき、妹のレミルナも元気だって、言ってやっておくれ」