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第13部 ウィルガルド大陸伝奇

 酔ったクリスタルは夢を見た。


 王室警護隊隊長を任じられた次の日、

 旅の商人より盗賊の被害報告があり、

 クリスタルはさっそくガウス王より盗賊討伐を命じられた。


 マダム・ブラスターの家の自分の部屋のベッドで

 目を覚ましたクリスタルは

 お馴染みの家政婦のミルルさんにたたき起こされた。


「おぼっちゃま、朝食の用意ができましただ。早く召し上がってくだせい」


 ミルルさんは不器用な上に空想家で調理中も何か集中していない。

 夢想がはじまって、目玉焼きは焦げている。

 洗濯物は洗濯の途中でほっぽりっぱなし。

 掃除もごみを集めたっきり、塵取りでとっていない。

 そんなことがしょっちゅうある。

 しかしマダム・ブラスターは彼女の焦げた目玉焼きを

 ニコニコ文句言わずに食べている。

 この家政婦のミルルさんがお気に入りなのだ。


 焦げた目玉焼きに、焦げたパン、不器用にカットしたオレンジに、

 吹きこぼれて半分になったミルク、の朝食を食べて、

 新しい騎士服を着てマントを付け、

 銀でできた呪文の彫刻板のついた皮の手袋と靴を履き、

 モード1の片手剣のダイモスを装備すると、

 馬小屋へ行き自分の馬を自分で引き出して、

 鞍をつけ馬に乗り、王宮へ向かった。


 エイドス副隊長、ドナ女兵士、レウス兵士、以下、

 彼の部下はすでに揃っていた。

 王様も、待っていた。少し待たせたようである。

 遅刻した訳ではないのだが、クリスタルは王様にお詫びすると、

 兵士の点呼をとり、「いざ、盗賊討伐へ!」と声をあげると、

 部下たちも一斉に気勢を上げる。


 ハルモニアの王宮から全員が馬に乗り、盗賊討伐軍が出発した。


 部隊は30名だが盗賊の斥候に3名が、

 盗賊のアジトの近くに待機していた。


「盗賊は昨夜からの酒盛りでまだ眠っています」


 という報告を受けて、20名が一斉に盗賊を捕縛する。

 切り込み隊10名が、抜刀して構えながらアジトの小屋に入り、

 調べる。中で眠っていたはずの首領がいない。

 小屋の裏で叫び声が起こる。

 クリスタルの隊で最強メンバーのエイドス副隊長、

 ドナ女兵士、レウス兵士が駆け付ける。

 レウス兵士が素早く切りかかり、

 慎重なドナ女兵士が確実な援護をし他の子分たちを引き受ける、レウス兵士に

 切り付けられた首領の剣を素早く剣で受ける、隙をついて、

 エイドス副隊長が喉元に剣を突きつけ、首領を降伏させた。

 クリスタルが捕縛の指揮を執るのに手間取って、

 加勢に現場にかけつけたときには、

 もう首領は3人に縄でぐるぐる巻きにされていた。

 クリスタルの次に強いエイドス副隊長は38歳地味だが豪快な性格、

 男やもめで2人の小さな男の子と女の子の父親。


 次に強いドナ女兵士は勝気で快活な姉御肌27歳、エイドス副隊長が好きなよう。


 無口なレウス兵士は26歳。ドナ女兵士のことが好きなよう。


 この3人はクリスタルに次いで強く、ほかの兵士より群を抜いている。


 盗賊28人を捕縛して帰途に就き、

 城門で王様が被害にあった商人や村人たちと共に現れ、

 被害者の言い分と盗賊の言い分を聞いたうえで判決を下した。

 全員、ピリ鉱山での労働10年だそうだ。

 ハルモニア軍の他の部隊と護送を交代する。

 王宮で王様からお褒めの言葉とクリスタルと部下全員に

 報奨金が銀貨20枚ずつでた。


 解散になると、アナスタシア王女がふくれっ面して待っていた。

「森へピクニックに行きたいのに、どこをほっつき歩いてたのよ!」

 若い女召使たちと弁当を作り、6,7人でワイワイキャッキャ言いながら、

 森の美しい泉があって花の咲き乱れる場所、

 アナスタシア王女が『木漏れ日の花園』と名付けている

 お気に入りの場所へピクニック。

 ……盗賊討伐の休憩もなく俺はその警護……


 うつうつと、そんな夢をクリスタルは見た。


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