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支配ウイルス収束 虚偽

 この時の設定として葉山は決まった位置に呼び出されてそこで暗殺される予定であったという事を補足します。尚、物語では友永と竹島がそれを理解した上で話しています。

 葉山礼輔は非常に困惑していた。何故竹島は此処に居るのだろう。それも見知らぬ女性を連れて。

「竹島さん、その女性はどなたですか?」

「知り合いの教授の助手です。今は訳有って私と一緒に行動していますが、赤の他人です。そして、私の方からですが、葉山さん、申し訳ないですが、今日、神戸にそのような行事はありません。恐らく優しい貴方は生徒の供養のために訪れたのでしょうが、これは罠であると私は確信しています。」

「どういう事ですか。」

「これは巧妙に仕組まれた事件の計画の一環なんです。其処まで複雑ではないんですが、一連の事件の犯人、ああ、もう言ってしまいましょう。佐伯雅孝は貴方を殺すためにこのポートピアに呼び寄せたんです。実は京都大学に彼による犯行予告がもう来ています。その舞台も時同じくして神戸です。偶然ではないんです。これから向かう場所でもう一度あの島と同じ悲劇が繰り返されます。」

 葉山はまるで幼児の戯言を聞いたかのような素振りを見せた。

「何を言っているんですか?佐伯君はあの時島で自殺したんです。そうやって私の証言を集めて書き残したのは貴方自身ですよね。」

 竹島は同じ調子で続けた。

「ええ、そうです。私は貴方の証言を小説として執筆した時に佐伯が生きて私の前に姿を現すなど考えもしませんでした。信じないなら信じなくても結構です。ただ、これだけは一つの証拠としてお伝えします。あの後の大規模な海中探索にもかかわらず、未だに佐伯の死体は発見されていません。私達は今日、いずれにしてもポートピアに行きます。もし、貴方の言った遺骨の運搬が行われるなら祈りを捧げましょう。しかし、私の言う事、つまり、佐伯による罠が本当なら今日は屍生島同様の地獄を味わいますよ。」

 竹島は小声ながらも捲し立てるように言った。友永がそれに補足した。

「死体が此処に機密で運搬されることは無いでしょう。やはり、竹島さんの言うとおり、佐伯による罠の線が高いです。何故ならあそこで感染して死んだ遺体は解剖や調査に使われています。失礼な事を捲し立てて申し訳ありません。そういえば名乗り遅れましたね。私、大学生の友永飛永と申します。」

「トモナガヒエイ?随分変わった名前ですね。」

「そうでしょうか、それを言うなら竹島さんの本名の方が変わっていますけど。」

「友永さん、私の本名を知っているんですか?」

「当然ですよ。他にも色々教授から聞きましたよ。」

 竹島は少し頭を抱えてこう言った。

「私はあまり自分の本名が好きじゃないんですよ。呼ばないで下さいね。」

 へぇと舌を出して彼女は竹島の顔を見た。


「今はそんな場合ではないでしょうに。全く竹島さん、何を知っているんですか?私は一応事件の関係者で、あの島の事は貴方に全部話したのに何で教えてくれなかったんですか?」

 不機嫌そうな顔で葉山は言った。

「それは二つ理由があります。こうなった以上話さなくてはなりませんね。これから此処に居る全員を巻き込んで大規模な事件を起こそうとしている黒幕が居るんですから。

 一つは貴方を無関係のまま終わらせたかったからです。実は随分前に佐伯が犯人だろうと見当をつけていました。その時佐伯の島で死んだ遺族や貴方達を傷つけたくなかったんです。一応彼の肩書は教師ですから。あまり大声でも言えないんです。それなら貴方にこの段階でお伝えするのは酷かなと思いまして。

 二つ目はウイルスに貴方が予測しているものとは異なる作用がありました。あれは佐伯が開発したものです。まだ大学も政府も解明途中ですが、事件を起こした佐伯本人は当然、大変精通しています。これもまだ機密にしておきたかったんです。

 そしてもしポートアイランドでバイオハザードが起これば、この交通機関は閉鎖されるでしょう。また人間がウイルスの作用で暴徒化します。そしたら貴方には酷な思いをさせてしまいます。葉山さんもう少しで目的地、市民広場に到着します。もし、もう悪夢を見たくないなら、此処で降りて引き返す事を提案します。佐伯と暴徒に立ち向かう勇気があるなら、御武運を。としか私には言えませんね」

 葉山は納得したような表情でこう言った。

「なら私もお二人についていきます。何があってももう逃げません。あの時の私は生徒を踏み台に自分だけ助かりました。今でも激しい後悔に苛まれています。それに区切りをつけるなら、どちらにしろ今日以外にないと思うんです。」

 竹島は無言で頷くと電車を降りて、階段を下った。その口元には先程までの笑顔が消えていた。

 前書きに小説内の情報を累加したことを謝罪します。

 お付き合い頂き有り難う御座いました。

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