表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

支配ウイルス収束 収束

 この話にて「支配ウイルスシリーズ」は完全に完結します。此処まで読んで下さった方々に改めて感謝の意を示します。また、第一部と第二部に完全完結を報告する文章を載せます。

 広島平和記念公園が原子力以外の式典で使用されることは珍しいと聞く。今回は事件の最初の現場となった島が広島の一部で会った事と神戸の公園が今も閉鎖されている事から広島市が特別に許可したらしい。支配ウイルス、マーズ・コントローマが生物兵器として認定され、国際的に使用が禁止されたことが原爆と類似している事も影響したと思われる。


 この式典はあくまで追悼の為の物であり、研究の進捗や解決への経緯には触れられなかった。触れてはならないと決められているとも聞いている。しかし、式典への参加者の顔ぶれからこの一連の事件の重大さが理解できる。壇上に居る人物の詳細が書かれたパンフレットが渡された。ざっと見ただけでもWHO代表、内閣官房長官、内閣総理大臣、京都大学教授、名古屋大学教授、遺族代表、広島市長、香川県知事、神戸市長とこの式典の規模が窺える。

 友永によれば、この京都大学教授というのは宝井教授らしい。正直これには驚いたが、あの論文を翻訳した事と調査への協力が認められたらしい。名古屋大学教授と書かれているのは元々政府に依頼されて調査に当たっていた方である。

 因みに友永曰く

「壇上に上がる事が無ければ教授は今日も白衣ですよ。」らしい。いくら教授でもそれは無いだろう。


 此処に演説の内容を書くスペースは無く、また書く必要もないと思われる。この式典は公園の周りで群れを成す報道陣が一斉に生中継しているようで、此処に一言一句並べて記す事は無意味に思えたからだ。ただ最後の政府長官からの発表の内容はいくつかまとめておきたい。

・被害者遺族に政府の援助が出される事

・この日発表された広島の慰霊碑の他に同様の物が香川と神戸に設置される事

・神戸で感染した後にドミトリー状態になってしまった人達(通称ウイルスドミトリー)への公的援助

・事件で破壊された建造物に対する援助(これは極めて少ない)

・一部遺族に対する公的援助

・一部研究者に対する感謝状授与

・日和村の開放

・屍生島の長期封鎖とWHOの調査介入

・WHOによる使用禁止生物兵器への認定

・神戸ポートアイランドの開放

・公的殺人、感染後止むを得ず殺された人達の遺族に対する国からの謝罪


 そして内閣総理大臣は式典の終わりにこう告げた。

「多くの尊い人命を奪ったこの事件とウイルスが完全に収束した事をここに宣言いたします。」

 追悼の灯火に橙色の炎が光った。儚く散った全ての人々に追悼の意を示す黙禱が行われた。後で知ったことだが、これは全国でも放送を通じて行われていたらしい。特に香川と神戸では多くの祈りが捧げられた。短いながらも負の歴史の一幕、悪夢の一篇とも言えるこの数か月はこうして幕を下ろした。隣で佇む葉山の目には大粒の涙が溢れていた。

「本当に終わったんですね。」

「ええ、教え子を失った葉山さんに掛ける言葉が見つかりませんが、今日終わったんです。」

「本当に佐伯君が犯人だったなんて、信じたくないです。」

「でも、最後に奴は自白しました。それに確固たる証拠も沢山出ています。死んでいるのでもう追求は出来ませんが、事実である事には変わりないでしょう。」

「竹島さん、お世話になりました。」

「それは此方から言うべきことです。葉山さんに協力していただいたからこその解決ですよ。」

「それでも...私は。」

 言葉に詰まった葉山を慰めるのはきっと私の仕事ではないだろう。私は彼を理解してあげることは出来ない。また寄り添う権利すらない。ただ彼が自分で立ち直っていく事を祈るばかりである。

 広島で完成したばかりの慰霊碑に多くの関係者が祈りを捧げている。その中には教授と友永の姿もあった。私も静かに祈りを捧げた。

 

 この3篇の記録の終了における重要な挨拶を此処には書かなくてはならないのだが、上手い言葉が見つからない。上手いという表現は聊か不謹慎だが、不謹慎でないこの気持ちをどう伝えればいいのかという事に今、パソコンの前の私は戸惑っている。前回の様に記録終了にあたってのような文を書く気にはなれない。

 長い迷いの末に此処にはこの事件の詳細を小説という形式で発表する経緯に関して書くことにした。悪魔の死者、第二の原爆とも呼ばれる邪悪な生物兵器をはじめとする科学の発展と技術の進歩が生産した人類の被造物が地球上の生命に与える甚大な影響は私達の想像を遥かに超える物で、21,22世紀はその被造物と生産者たる人類の長き戦争の幕開けの時代となることだろう。

 私がこの小説を書いたことはそんな未来に何かを残したい。小さいながらも闘いの記録としてこの事件を記録したいという強い要望、自分自身の願望を受けたことに始まる。此処に登場する人々にはそれぞれの戦いがあった。それが何と何の戦いであったか、佐伯対竹島か、警察対感染者であったかという事は私の言う事ではない。ただ繰り返して特筆したいのはそれら全てがこれからの人類対生物兵器の長い歴史の本格的な幕開けであったという事だ。それは恐ろしく長い暗黒の時代である事と推測される。ただ、その中に一筋の光を見つける人類の兆しとも言える者が現れると信じてこの小説の後書きとしたい。最後に改めてこの事件で感染し苦悶の果てに死んでいった命に追悼の意を示す。    竹島 兆


 この物語は此処で完結しています。相変わらずまだ一話も書いていないので次回作をいつ投稿できるかは未定です。どうか気長にお待ちください。改めて此処まで読んで頂いた方、前作を読んで頂いた方、誠に有り難う御座いました。本当にお疲れ様です!


※一連の作品に登場する固有名詞の中には一部実在するものがありますが、リアルにおけるそれとは一切関係ありません。また登場人物に現実のモデルは存在しない事を改めて述べさせて頂きます。途中何回か触れていますが、作中の竹島はリアルの作者と全く異なる人物であることをご了承ください。また竹島を含め、全てのキャラクターには実在、該当する人物が存在しないように作られています。もしかしたら同姓同名が存在するかもしれませんが、それは全くの別人であることもご理解願います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ