理沙 気づいた気持ちは
ブックマーク3件も来ていた……だと……
ありがとうございます!
もしかしたら、運命なのかもしれない。
そう思ったのは由実と会ってから、もう一か月ちょっと経って、学年が上がってから始めての席替え。そこで、由実とまた隣同士になれた。
あの時からずっと、「友達」と「好きな人」の間を、心の中で行ったり来たりだった由実。この気持ちが「恋」ってわかったのは、このときからだったのかも。
試験が近づいて、勉強を教えてもらうのを口実に由実といっぱい話すようになる。由実の教え方は本当にわかりやすくて、ありがとう、って言うと顔を真っ赤にしてうつむくのがとってもかわいい。テストは嫌だけど、由実といっぱい話しができるのは、そんなことなんて吹っ飛んでしまうほど嬉しかった。
普段でも、放課後はおはなしできないから、休み時間はずっと由実とお話していた。他愛もない話も、どんどん膨らんでいって、あっと言う間に授業が始まっているなんてことはしょっちゅうで、気がついたら授業開始の号令がかけられてるとこだった、なんてこともあった。
わたしは、由実の事をどう思っているのか。どんな公式でも解けない答え。気がついたら、そればかりがいつも気になっていた。自分の心の中にしかない答え。由実の事が好き、というとこまでいって、―――何もつかめなくなる。この「好き」はどんな「好き」なのか。友達として?尊敬して?それとも、他の何か?ぐるぐると頭を回って、何も踏み出せない。
あの手紙の字は、いつも見る由実の書いた字と、よく似ている。おとなしそうな見た目からは信じられないほどかわいくて、丁寧な字。
ちょうど、日直の順番が回ってきて、学級日誌が渡される。もう3週目に入っているから、由実の書いた日のも絶対にある。家の鍵がかかった引き出しに、そっとしまった手紙を持ってきて、見比べようとした。
由実の書いた所を見つけて、手紙と、日誌を見比べる。
わたしの心臓が、ときん、と高鳴った。
―――嘘。信じられない。
パズルのピースのように散らばった心の中で一番大きかったのは、「嬉しい」というかけら。
わたし、由実に、恋してたんだ。ようやくつかめた答え。
意識すればするほど、胸の中のどきどきは抑えられ泣くなっていった。身体が熱いのは、暑さのせいじゃなくて、どきどきしてるから。
でも、うちは、どうすればいいんだろう。
うちの持っている「好き」はわかった。でも、由実の「好き」は、まだわからない。友達とか、親友としての「好き」かもしれないし、もっと違う「好き」かもしれない。知りたい。知りたくない。反対の気持ちが、どっちも、ふくらんでいくのに、一歩も動けなくなる。
由実の顔を見るだけで、なぜか、顔中が熱くなってしまう。そんな顔を見られたくなくて、由実と話す時間はどんどん減っていった。
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