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17話 みぃちゃんと賢治
「宮澤賢治のうそつきー。正直者が報われて、強欲者が皆から非難される社会が来るって言ったじゃんかー。ばかばかばかー。うえーん。」
みぃちゃんが泣いていた。言っていることはわかるけど、何で文豪に八つ当たり、しているのかな。
「みぃちゃん、大丈夫。どうしたの?」
「うるさい、うるさい、うるさい。世の中は悪人ばっかで文豪は嘘つきばっかなんだよ。どうせあんたも、天才の嘘つきなんでしょ。どっか行ってよ、ばかばか。」
僕はばかばか言われた。文豪もばかばか言われてる。せつない。
落ち着いてもらおう。僕は、
「力こそ正義だよ。権力こそ正義だよ。お金こそ正義だよ。だから、強者が勝ったんだよ。賢治は負けたのさ。仕方ないさ。野生の世界だよ。理論も理屈も法律も、ほとんど誰も理解できないんだ。みんな独自に解釈するのさ。みぃちゃんみたいにいろいろ考えても、そんなこと何もかもが無駄なんだ。そうやって、色々考えたことが、作ったことが無駄になった人がいっぱいいるんだ。」
と言うと、みぃちゃんはうつ向いて黙った。
「そうなのね。じゃあ、あんたもあたしも無駄ね。無駄ね。無駄だらけね。」
そう言って、みぃちゃんは泣くのだった。
みぃちゃんのキャラクターも、ちから、かもしれない。僕はそう思って、なにか光が見えた気がした。




