五章1
「先輩一つききたいことがあるんですけど」
「何だ?」
「先輩はどうやって伊藤先輩が103号室で死んでいるってことを知ったんですか?」
「沖田を探しているときに一階を探そうと思ってな。それでこの近くを通ったら異臭がして、どっから臭ってくるのか探していたら一階の客室全部のドアが開いていて、103号室の中を見たら伊藤が死んでいたんだ」
「全部のドアが開いていた…?」
誰が一体何の目的でそんなことをしたのだろうか。
式は、他にも気になることがあったので、聞いてみた。
「今更なんですけど、他の人たちはどうしているんですか?」
「わからん。沖田を探しているのかもしれない。そういえば、お前たちはさっき何を見て驚いていたんだ?」
「あ、そうだった。あの大きな紙灯篭から謎の焼死体が発見されたんですよ」
「なんだと!?」
「詳しい話については皆がいる場で話したいと思うんで、まずは皆を集めましょう」
「ああ。じゃ一緒に探すぞ」
「はい」
全員を食堂に集め、式は今日起こったことを話した。
「そんな…伊藤くんが、殺されたって…」
佐倉先生は青ざめている。
「くそっ、何で…何でなんだよ!」
松田は言葉にできない感情をあらわにしている。
「沖田さんもまだ見つかってないのに…それに謎の焼死体も現れるなんて、どうすればいいの?」
吉野も冷静さを失っている。
「ところで皆に提案なんだが」
神藤が話をきりだす。
「さっき式と話たんだが、この事件の犯人を俺たちであばいてみないか?」
「え…?」
「俺は、伊藤の仇をとりたい。とはいえ、警察が来た時に捜査ができなくなっては困るから現場を見たり考えたりするだけだがな。仮に犯人がわからなくても、もしかしたら事件を解決できる手がかりが見つかるかもしれない」
「俺は賛成ですよ」
松田が声をあげる。
「伊藤を殺した犯人をとっちめてやる。必ずな」
「私も。少し怖いけど、仲間の仇はとりたいから」
吉野も賛成する。
「でも、沖田さんの件はどうするの?」
佐倉先生が疑問をあげる。
「もうわかっているでしょう?先生」
「え…?」
「これだけ探しても見つからない。そして、紙灯篭の中から出てきた謎の焼死体。この二つを結びつければ答えは出てきますよ。あの焼死体が沖田先輩の変わり果てた姿です」
「そんなわけは…ないと思うわ。まだ遺体の身元だってわかってないんですもの、少なくとも警察が検査するまで私は信じないわ」
佐倉先生は信じない。いや、信じようとしていない。
「わかりました。一応その可能性もありますし、先生はそのままの考えで大丈夫です」
「ええ。ごめんなさい」
「謝る必要はありません。むしろこっちが…」
「式様、こちらにいらっしゃいましたか」
と、不意に角田が式を呼んできた。
「あ、角田さん。警察はどうでした?」
「はい。一時間ほどで到着するとおっしゃってました」
一時間。
式たちが自由に現場を見れるのはそれだけだ。
「とりあえず、いくつかにわかれようぜ。そのほうが効率もいいだろうし」
「どうして?」
「現場を調べるなら手分けしたほうがいいだろ。だけど、一人で行動はダメだぜ。証拠隠滅をする可能性もあるからな。二人なら大丈夫だろ」
松田の提案はもっともだと式は思った。確かに二人一緒なら殺人は起きにくいだろう。片方が殺されればもう片方が犯人だと疑われるからだ。
「でも、いいんですか角田さん。俺たちが自由に現場に入っちゃって」
「ええ。禁止しても入ってしまいそうですし。ただ、絶対に何も触らないでください」
「それはわかってます」
すでに触ってしまった式だが、それは言わないことにした。
「それで、組合せはどうするんです?どんな感じに分けるんですか?」
「じゃんけんでいいだろ」
というわけで、全員でじゃんけんをした。




