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サプライズ的な


パーティーが始まってから一時間は過ぎた19時皇帝様が会場入りをした事で、先から騒がしかった会場内が静まり返った


このアデイル帝国は、皇帝を頂点としたピラミッド型の身分分配となっている

皇帝の下を皇族、その下を公爵と司祭様、そしてその下が貴族と平民

さらに下が商人となっているが、別段身分格差があるからといってそれほどまでに差別などは起こっていないそうだ

その原因の一つが貴族と平民が同じ位にいるからである

司祭様はこの国の固有宗教の頂点にいる方で、公爵とはアデイル帝国を支える四大公爵家のことである

商人を最下層にしたのは、反乱などを防ぐためらしい


「異国の姫君諸君、遠いところからよくここに来られた。 私は第49代皇帝であるアザイル=アデイルである! 今回は直皇帝となるであろう我が息子ヴェザイン=アデイルの王妃を決めるために姫たちに集まってもらったしだいである、王妃が決まれば即戴冠式を行いヴェザインを皇帝にすることは諸君も知っているとは思うが、王妃としての政務をまっとうしこの国の代表の一人としてふさわしいものがなって貰いたいと私は思っている。 なんにせよ今は今宵のパーティーを楽しむがよい」


皇帝様の挨拶が終わると数分後には先ほどの騒がしい雰囲気に会場が戻ってきた

四大公爵様達はそれぞれ皇帝様のそばにきて挨拶をしているところ

ヴェザイン様も皇帝様のところに行ってしまわれたので挨拶が出来ない


「どうしようかソフィア、暇になっちゃったね」


「皇帝様の挨拶が終わればもう退場してもよろしいとは言われておりますが、殿下に一言挨拶に行かなくてよろしいんですか?」


「うん、大丈夫でだと思うよ。 それに三日後のお茶会で話せばいいしそこまで焦る必要もないでしょう」


とりあえず疲れたから部屋にいって休みたい

そう思って退場しようとした私だったけれど、私のすぐ目の前に変わった人がとおりすがるのが見えた


「・・・・ソフィア、私なんだか疲れているみたいだわ。 目の前でウエディングドレスを着た女性が通りかかるなんてありえないもの」


そうだ、このパーティーでお目にかかるはずのない衣装を着た女性が目の前をとおり過ぎるはずがない

そうだ、私は疲れているに違いない


「私にも見えます、どうやら本物見たいですね、おたずねしましょうか?」


「なんで場違いな服を着てるんですかって? そもそもそんなへん恰好をした女性と知り合いたくないんですけど私」


さっき見かけた限りではとても美しい女性だったけれどこんなところであんな恰好をしている女性だ

どうみても変人の部類だろう


そう思って、目で先ほどの女性を追ってみたがすでにどこにもいなかったのでちょっときになった


「いいや、ソフィア帰りましょうか」


「はい」


そうして、淡々と歓迎パーティーから私たちは退場していった


それにしても、ヴェザイン殿下って本当にかっこいいね

表情さえしっかりしてればもっとすごいことになってたかもしれないな



~SIDE ヴェザイン~


父上が会場入りを果たすと、その場は一時静寂して静かになった

さすが皇帝とも思ったが、あまりこういうパーティーに出たことがない俺としては突然静になると気持ち悪いと思った

俺も少しすればあんな風な立場の人になるのだろうけれど、からさまに静にされるとかえって嫌だなとも思ってしまう


父上が挨拶を終えて皇席と呼ばれる場所に腰をかけると、会場内がまた騒がしくなる

俺の回りにいた姫君たちのそれぞれ散らばってようやくフリーな状態になれた


「たしか、カサリア王国のリーナ姫だったな」


門番の言っていた彼女の名前を繰り返し覚える

不思議と何度も名前を繰り返すと彼女の姿を想像できて胸が温まる気がしてきた

これは本当なんだろうか?

いままでにない感情だったのだ


「まだ、この会場内にいるか?」


皇帝が入場すれば会場を出ることを許されるため、もしかしたらもうかえってしまっているかもしれない

あの目立つ黒いドレスを探すが、なかなかそれらしい人は見つけられなかった

皇子たる俺から彼女に話しかける事はしてはいけなかったが、もう一度見てみたい

そんな衝動にかられていた

そんな行動をとっていた俺にすぐそばで警護の指示をだしていたザリーアが話しかけて来る


「どうした兄貴? そんなキョロキョロと」


「いや、ただ見つけたい人がいてな」


「見つけたい? もしかして気になる人でも出来たとか?」


「いやそうではないんだが、始めてみたときになんだか心を揺さぶられるものがあってな」


「へぇ」


兄貴、多分それは恋だろうよ

あまり感情が出せない兄貴がそんなことを言葉にだしたんだ、そうに違いない

いいなぁ一目惚れってやつだなそれ

兄貴、恋愛結婚したいって言ってたしよかったよかった


「どこかの姫なんだろ? だったらまた今度お茶会で会えばいいよ。 こんな大観衆の中で兄貴からその姫さんに話しかけたら他の姫さんに目ぇつけられる可能性もあるしな」


「ああ、それは俺も分かってる。 ただまた一目見ようとしただけで・・・・・・」


そう言うと、なぜか急に黙り込んでしまったヴェザインにザリーアがどうしたのかと聞く


「なぁザリーア、もしこの会場にウエディングドレスを着た人物を見つけてしまったら俺はどうすればいい?」


「はぁ? そうだな、そんな変人がいたなら無視すればいいんじゃねぇか? 巻き込まれる危険があるし」


「それで知人や知り合いまたは家族だったとしたらどうすればいい?」


「そ、そりゃぁ、捕まえて着替えさせるとか・・・・・」


「そうだよな、ちょっと捕まえてくる」


そういうとヴェザインは速歩きで人ごみの中へと入って行った


「どうしたんだ、兄貴は?」


残されたザリーアは理由がわからないまま取り残されてしまった




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