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お茶会

始めて私が帝国のパーティーに出席してから二日がたった日、それまでは何事もなくのんびりと与えられた部屋でのんびりとしていた私は、今日1対1のお茶会がある

場所は私が今いる離宮の庭園

そしてそろそろ、そのお茶会の時間である


お茶会は皇子との1対1な為に、40人いる姫を順番に昨日から行われている

皇子も忙しい身なために、行われる時間は一人一時間で一日に三人

事前にお茶会の日にちは侍女を通して知らされる

四十人を一日に三人で二週間と少し、皇子も大変だろうとしみじみと思ってしまう


私は午前中にやると昨日の夜に言われたので、朝早く起きてソフィアの手伝いの元ドレスに着替えた

今日も前の時の歓迎パーティーと同じ黒色のドレスだ、私のこの黒髪とよく合う色だしそれ以外の色だと微妙になってしまう


そんな事は今は置いておいて、あと少しで庭園につく

ソフィアは私の後ろに待機する形となり、私を先頭に庭園へと続く長い道のりを歩いていく


「緊張してきたわ、ちゃんとお話できるかしら」


「大丈夫です、リーナ様は場の空気に飲み込まれずにきちんとお話できる方ですよ」


「ありがとう、でもこの一時間で王妃へと一歩届くかの大勝負でもあると思うと胃が痛くなるわ」


「皇子に良い印象を与えればいいのですから、リーナの今まで通りに会話をすればいいと思います」


「そう? そう言ってくれると安心するわ」


「頑張ってください」


「うん」


今の目標は、皇子に良い印象を与えること

そして少しでも話をすること、相手は【無表情皇子】らしいから話とかもあまりしない方だと思うし

できることなら会話したい


庭園に入る手前で、警護の兵士がいた

ソフィアは入ることが出来ないだとかで私一人で、庭園の中央にあるテーブルの椅子に座る

皇子は少ししたら来るそうだ


庭園は花が咲き誇っていて見事なものだった、庭師も優秀なのか色が揃っていたし何よりリラックスできる花の香りが漂ってきて心地がいい


「あまい香りで和むなぁ」


ここは楽園でしょうか、なんて心の中で思ってしまうほど綺麗でのどかな場所だった

そして不覚にも手を上に伸ばして盛大にあくびをしてしまったのであった


「そうですね、私もたまにここにきますが和みますよ」


との言葉で、現実へと戻ってきた

め、目の前にいたよ・・・・皇子がさ


「こ、これは失礼しましたヴェザイン様!! って痛っ」


慌てて立ち上がると膝がテーブルの足に当たってしまって地味に痛い

でもそんな事よりも、なんて醜態をさらしてしまったんだ私!! 

他人にあくびを見られてしまうなんて・・・恥ずかしい!


「大丈夫か?」


「はい、なんとか」


「今度から気をつけなさい」


ヴェザイン皇子はそういうと、慌てて立ち上がった私に座るよう促す

そんな銀の瞳に目がいった私はなんだかメルヘンな世界へ来たかと思うほど神秘的で華麗なその姿に驚き不覚にも心臓がバクバクとなっていた

得に髪の色は今まで見たことがなかった銀であったので何度も目がそちらへといってしまう

そんな私の視線に気がついたのかヴェザイン皇子が自らの髪を触りながら質問をした


「珍しいですか?」


「はい、今まで銀の髪をしている方は見たことがないものでして、不快でしたでしょうか?」


「いえ、私もこの髪の色は気に入っていますし、むしろ皆に注目されると言うならば喜ばしい事です」


なんとも清々しい声でそういいきる彼は、声とは裏腹に表情に変化は見られず、いまいち気にしたのかしなかったのか分からなかった


これが、無表情皇子の所以なのかな? まったくここまで表情に変化がないとは・・・・


しかし、すこし分かったことがあり、表情に変化はないが声はその場その場で変化がわかりやすかった

単に表情が出にくい方なのだろう


「もうし遅れました、私はカサリア王国からまいりましたリーナといいます」


「はい、聞き及んでいますよ。 たしか母国ではいろいろな物を作り出したりしたとか」


「いえ、作ったというより気がついたのでそれを話したと言う感じですよ、例えば料理とかで辛い物などを作るために唐辛子という物を粉末化してスープなどに入れると辛いものが出来たり、あとは海水から塩と呼ばれるものを作れる事を自分でやって広めたと言う位です、言ってしまえば料理のレシピを増やしたというほどのことです」


「それだけでもすごい貢献だと思いますよ、ここでも塩などはカサリア王国から毎年何トンも輸入していますからね」


「そうなんですか、ありがとうございます」


「リーナ姫は日常で何をして過ごしていますか?」


「そうですね、昨日は読書をしながらのんびりと過ごしました、母国ではたまに下の兄妹達とピクニックにいったり城下町の見学、孤児院の訪問などをしていました、すいませんこれは日常ではありませんでした」


「なかなかゆったりとした生活を送っていたんですね、私は主に小さいころから帝王学や最近では天文学なども学んでいます」


「へぇ、なかなか勉強家なんですね」


「それが取り柄、なのかも知れませんけどね」


少々かしこまった会話ではあったけれど、それでも一時間それぞれ趣味の事や今まであった事などを楽しく語らう事が出来た

彼の性格は、探求心があり思いやりもあってしかし鈍感な面もある人だと長年の経験から分かりました

私の前の世界に居たときに聞いた、今学会で議論となっているらしい天動説と地動説など彼が熱く語り出したときに思わず笑ってしまった

彼が私が想像したような冷たい性格の人ではなく心が熱い一人の男性だと思えたからだ

たとえ感情が顔に出ていなくとも声が彼の表情を教えてくれた


私もビックリとするほどに楽しい時間を過ごしたと思う


「そろそろですね、ありがとうございましたヴェザイン様」


「失礼でなければヴェーと呼んではくれないだろうか?」


「ヴェー様ですか?」


「親しい者には未だに呼んではくれないが、呼ばれてみたい」


「・・・・・わかりました、ですがその他の方がいるまえでは」


「わかっている、人前ではヴェザインで構わない」


そういうと、ヴェー様は私に手を伸ばしてきた


「長くなると思うが、妃が決まるまでよろしく頼む」


「はい、こちらこそ。 そしてもし私の事が好きになったのならよろしくお願いします」


そうして、私と彼の初めての二人の一時は終わりとなった

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