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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった一人の勇者編

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勇者は回復を学ぶ

日向迅視点

 街に入ったあと、まずは服屋に直行し、数着を買う。そしてオレが奴隷から解放した人々に向けて向き直すとフォルトゥナはマジックバックをまさぐった。



 「盗賊の村で手に入れた資金は被害者たちで分配でいいよね」



 フォルトゥナはオレに確認を取ってきた。盗賊の村は村レベルに成長しているだけあってたくさんお金を蓄えていた。



 「いいんじゃないか?」



 盗賊たちが貯めたお金は元はと言えば、被害者のお金だ。別に返さなくても良いらしいが、この先生きていく上でお金は重要だ。安全の為ではあるが、みんなでここに向かってしまった以上、故郷とは少し遠くなってしまった人もいる。残念ながら、オレたちは先を急がないといけないし、そこまでは見てやれなかった。故郷に帰るなら、他にも方法はあるからそのための手段が取れるようにお金を授けておこう。オレたちはオレが奴隷から解放した人々が困らないように盗賊の村ででた戦利品を分配していく。



 「嬢ちゃん! ありがとうな」



 「いえ、キマ教の信者たるものこれくらい当たり前! おそらく、この街にも教会があると思うから困ったり、気が向いたらいくといいよ。助けになるから!」



 フォルトゥナは愛想よく振る舞っている。



 「フォルトゥナってそんなに信仰深かったんだな」



 オレが何気ない一言を発するがフォルトゥナはその言葉を見逃さなかった。



 「私はこう見えて熱心にキマ教を信仰しているんだよ? そもそも神聖魔法もキマ様を信仰しているから発動できるんだから!」



 「えっ? どういうこと?」



 オレはその言葉の意味がわからずに聞き返した。



 「神聖魔法って・・・傷を治すときに使ってる魔法だよな」



 「そうだね。でもジンの言い方は少し間違っているかな。確かに神聖魔法は傷を治すけど、その本質は()()()()()()魔法なんだよ」



 「奇跡を起こす魔法?」



 オレはフォルトゥナの言葉に首を傾げた。フォルトゥナは間髪入れず説明してくれる。



 「私は()()()()()という奇跡を起こして治療をしてるの。回復魔法を使っているわけではないの」



 「ん? 回復魔法と神聖魔法ってそもそも何が違うんだ?」



 「回復の違いについてよくわかっていないようね」



 フォルトゥナの指摘の通りオレは回復についてよくわかっていなかった。フォルトゥナはそれも丁寧に説明してくれる。



 「いい? 旅に出るなら絶対に必要な知識だからね? いい? まずこの世には神聖魔法を除いてメジャーな回復の手段が二つあるの。一つ目はポーション。ダンジョンとかで出てくるビンに入った液体で飲んだり、かけたりすると回復ができるやつね。効果が強いものほど素材が貴重ってところがデメリットかな? それで二つ目は回復魔法なんだけど。これは文字通り回復をする魔法のこと」



 フォルトゥナはさらに回復について説明していく。



 「それでね。この二つの回復方法では問題があるんだけど何が問題だと思う?」



 フォルトゥナはオレに問題を問いかけるがオレがわかるはずがなかった。



 「わからないな。教えて、フォルトゥナ先生」



 オレは元気よく手を挙げながらフォルトゥナに答えをせびった。



 「それはね。治療可能な範囲と利便性の二つ」



 「それってどう言うことなんだ?」



 「えっとね!治療可能な範囲っていうのは例えば欠損の治癒とかかな」



 「欠損の治癒!?」



 「そう。回復魔法はあくまで傷を治すための魔法だから失ったものは治せないの。あっ!でも切断面をくっつけることはできるけどね。・・・ともかく、失った箇所がないと復元は出来ないんだよね。それに対して神聖魔法は奇跡を起こす魔法だから適正にもよるけど欠損にも対応してるんだ♪ ちなみに私は時間はかかるけど欠損は治せるよ。あと先天的なものを治せるかの違いもあるかな」



 フォルトゥナは魔法ごとの違いを教えてくれたが、なるほど。こうして聞いてみると神聖魔法の方がやれること多いんだな。フォルトゥナはさらに神聖魔法の利点を教えてくれる。



 「さらには利便性についてはポーションのように入手難易度が高くないっていうのもあるかも。ポーションの場合は高位のものだと欠損とかも治せるものはあるけど。そういうものは大体レアな薬草を使っていたり、ダンジョンでも全然出てこないからね」



 「へー。そうなんだ」



 「誰でも使えるしね!」



 フォルトゥナはにっこりと笑顔を見せてオレに言葉を呟いた。だが、待てよ? 一つオレは気になる点があった。



 「全員に適正があるなら全員神聖魔法使えばいいじゃん」



 それなら回復魔法やポーションなど使われなくなるだろう。それにオレも使ってみたい。



 「オレ使えるかな?」



 「出来ないと思うよ?」



 「なんで?」



 全員に適正があると言った側から矛盾を発生させていた。



 「神聖魔法って結構扱いが難しいの。ちょっと特殊でね。お姉ちゃんに教えてもらわないと発動は難しいかな」



 「ん? オレは身体強化とか想像をするだけでできるんだが、神聖魔法はそうじゃないのか?」



 前にアナシスが想像がどうとか言っていた気がするが神聖魔法も魔法なのだからそれに当てはまるのではないだろうか。



 「想像するにも限界はあるでしょ? 元々この魔法はお姉ちゃんが神から授けられた魔法を解析していて、お姉ちゃんが使ってる魔法の感覚を共有して真似たものなの。だけど、まだよくわかってないんだけど、能力も劣化しているし、奇跡と言っても回復をする能力以外の能力は欠落してるんだよね。だから、正確には本来の神聖魔法とは少し違うから想像で神聖魔法を使おうとしたら真の神聖魔法の方を発動することになっちゃうんだよ。こっちの場合は高度すぎて発動出来ない。さらには神聖魔法の劣化でさえも何も感覚がない状態では理解出来ないから元となるお姉ちゃんから直接教わらないと神聖魔法は使えないんだよ。まあ、お姉ちゃんに会えるのはごく一握りだからほとんどキマ教の人しか使えないけどね」



 だからフェリシアは神聖魔法が使えると言ったときにフォルトゥナをキマ教の人間だって見抜いたのか。



 「あれ? じゃあ全員適正があるわけじゃないじゃないのか?」



 やはりそこに議題は着地する。



 「いや、適正自体はみんな持ってるよ? 現にキマ教の人はお姉ちゃんに教わったら練度は違えど使えるようになるしね。神聖魔法は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からね」



 つまりはやろう思えば誰でも適正は伸ばすことはできるがそれまでが大変ということか。



 「というか、ちゃっかり言ってたけどマルタ様は人間には扱えない魔法が使えるの?」



 「お姉ちゃんが神様から授かったときは魔法をスキルとして与えられたからね。それが神聖魔法発動のための想像を補助してくれるらしいよ。他人には使えないユニークスキル、憧れるよね」


 

 マルタ様すごい。美しい。



 「マルタ様はやっぱりすごいな・・・」



 「なんか、ジン。お姉ちゃんに毒されてない」



 フォルトゥナの言う通りオレから見ても毒されている気がするが、逆に言うがマルタ様に毒されないなんてやつ存在するだろうか。美しく、優しく、動作一つ一つが洗練されている。でも・・・結婚してるんだよな・・・。オレはフォルトゥナの子供であるテオを頭に思い浮かべる。



 「あれ? なんか。浮き沈み激しくない? 大丈夫?」



 オレの態度が変わったのを見てフォルトゥナは心配してくれる。



 「大丈夫だ。フォルトゥナ。なんでもない」



 「本当に大丈夫?」



 フォルトゥナはガチで心配しているがこっちは勝手に妄想して勝手に傷ついているだけなのでフォルトゥナの心配する様子に申し訳なくなる。



 「ならいいけど・・・一応神聖魔法をかけておくね『神聖魔法』」



 フォルトゥナの神聖魔法がオレに直撃する。なんかポカポカした気持ちになった。



 ・・・



 物資の分配も終わり、すぐにオレたちはひとけのない路地裏へと身を隠す。路地裏に来たのはもちろんフェリシアの顔の傷を治すためだ。



 『神聖魔法』



 「感謝する。フォルトゥナ」



 「もうこんなことしないでね!」



 フォルトゥナはフェリシアが自ら傷をつけたことに怒りながらも治療をし、フェリシアの顔のひどい傷はみるみるうちに回復していった。



 「すまない。なるべくこれからはこのようなことが起こらないように善処しよう」



 「善処じゃダメなの!」



 フォルトゥナはフェリシアの言葉にさらにきつく叱りあげた。



 「うっ! すまない」



 フェリシアのピンッと立っていた耳が下がる。フェンリルの獣人だと聞いたが犬みたいで可愛かった。



 「ここは誰かに盗み聞きされないかな?」



 「さあ? 誰か通るかもしれないし、まだ見つかってないからいいが、多分長時間路地裏なんかにいたらチンピラの格好の的だぜ」



 「そうだな」



 フェリシアは相槌を打った。



 「ならばどっか宿屋を取ってそこで話し合うのは?」



 「その方がいいかもな」



 フォルトゥナの案に賛成するとオレたちは宿屋を探しに歩き出した。

ユニークスキルについて



 人間の処理を超えたものをスキルで補助し、使えるようにしたもの。たまに生まれつきユニークスキルが付与されていたり、ダンジョンの宝箱のスクロールで本当にごく稀に入手できることがある。スキルが魔法の場合はスキルを解析して、それを適正のあるものに伝授すると魔法の一部を使えることがある。種族の固有スキルもユニークスキルに分類される。

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