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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった一人の勇者編

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勇者は検問を突破する

日向迅視点

 「ねえねえ、おはなししようよ」



 オレたちはあれから少しずつ歩いていき、ポリシアの誘導もあって街が目視できる範囲にまで迫った。



 「お前おしゃべりが好きだな」



 ポリシアとの連絡をお願いした小精霊は連絡を終えた後もオレのまわりを回るようにぷよぷよと浮いている。



 「ここらへんにはぜんぜんなかまがいないからね。おしゃべりができてうれしいの!」



 小精霊はさらにぷよぷよと飛んでみせた。



 「ねぇ! そろそろ着くよ」



 小精霊と話をしていると街に着く。



 「あっ! そういえば、フェリシアをどうしよう」



 フェリシアは昔は騎士団総長をやっている。今から行くところは結構大きな都市だった。それならフェリシアを見たことがあるものがいてもおかしくはない。



 「そこのお前ら! 止まれ!」



 大人数できたオレたちを対応するために衛兵が近づいてくる。



 「まずい!」



 オレはフェリシアをどうしようかフォルトゥナと超特急で相談した。



 「どうしよう! 完全にそのこと忘れてた! 衛兵が来ちゃうよ!」



 フォルトゥナは慌てているとフェリシアから声をかけられた。



 「まずは縄を解くところからだろう。この状態のわたしを見られたら説明がつかんぞ」



 そう言うとフェリシアは縄を引きちぎる。



 「確かに、そうだけど・・・。ナチュラルに縄千切るのやめてもらっていいですか?」



 なんか絵面がシュールだった。



 「いや、縄解いたところで状況は何も変わってない!」



 だが、フェリシアは策があるようだった。



 「ジン。一つよろしいか」



 フェリシアはオレに聞いてくる。



 「わたしがカラクにやられたとき大きな怪我をしていたはずだ。それが次起きたときには何事もなく治っていた。もしかして、高位の回復魔法の使い手がいるのではないか?」



 フェリシアの推測は見事に当たっていた。



 「私が神聖魔法を使えるの」



 フォルトゥナが名乗りを上げる。



 「神聖魔法。薄々気づいていたが、キマ教の者か」



 フェリシアは驚いたようで驚いていないような反応をみせる。そしてそのまま表情を崩さず行動に移った。そこでオレたちは彼女の異常さを目撃する。



 「メリッ」



 「え?」



 そしてフェリシアは上からローブのように布を被せた。ちょうどそのとき衛兵が話しかけてくる。



 「この人数でフレイモアに何の用だ!」



 衛兵はこちらに進んでくる。フォルトゥナが前に出て対応していく。



 「ちょっとハプニングがあってね。人を保護してるの」



 「魔族!? ここに何のようだ!」



 衛兵はフォルトゥナに対して剣を向けた。オレはフォルトゥナの間に割って入る。



 「ちょっと待った! オレたちは本当に人を保護したからとりあえず、大きな都市まで送り届けるだけだ」



 「ヒューマンか。最近では珍しいな」



 それから衛兵はまわりの人の反応を見た。まわりの保護した人々はそれが正しいと言うようにうんうんと頷く。



 「お前たちの服装的に保護した奴らはこいつらか」



 それからも質問が続いていき、とうとう、身元確認に入った。



 「お前たちに何か身元を保証できるものはあるか」



 オレは冒険者カードを探す。



 「あれ? 無いな」



 「漂流したときに落としたんじゃない?」



 どうやら無くしたようだ。でも、確か冒険者カードには・・・。



 『戻れ』



 その言葉と共に転移したように手元に冒険者カードが戻ってくる。冒険者カードから濡れた感覚が伝わってくる。どうやらさっきまで水の中にあったみたいだ。



 「はい、これ」



 オレは衛兵に冒険者カードを渡す。



 「確かに確認した。次!」



 そして順番に顔や体など怪しいところがないか見られている。



 「どんな奴でも身分証明がない奴は金が必要だ。ルールだからな。払えるのだろうな?」



 衛兵がそう言っているが問題はない。盗賊村を出るときに金になりそうな道具や金は全て回収してある。



 「フォルトゥナは銅貨を人数分払うと衛兵は何も言わなくなった」



 そして、とうとう身分確認もフェリシアの番になる。



 「おい! そこのお前! 顔を見せろ!」



 衛兵はフェリシアに対して強い口調で命令した。フェリシアはローブのように纏った布のフードの部分を捲る。



 「ぐっ! これは!?」



 フードを取るとそこには顔の皮膚が剥がれ顔面がめちゃくちゃになっているフェリシアがいる。



 「だ、大丈夫そうだな」



 衛兵はその顔を見てギョッとして、よく見ずに審問を終える。フェリシアは無事に関門を突破した。そして、全ての人の確認が終わりオレたち全員の通行を許される。



 「通ってよし!」



 オレたちに通行許可を出したあと衛兵は注意事項を説明してくれる。



 「くれぐれも王権勢力のやつは刺激してくれるなよ」



 それは衛兵からの忠告だった。



 (王権勢力に気をつければいいんだな)



 オレは素直に衛兵の忠告を受け取る。オレらに関しては王女もいるのでもっと気をつけないとだな。



 オレは衛兵の言葉を胸にしまいこみ、進んでいった。



 ・・・



 門を通過した後すぐにフォルトゥナはフェリシアに駆け寄る。



 「『神聖・・・」



 「今はいい! ひとけがないところでやってくれ」



 フェリシアは顔の回復を断る。



 「でも・・・」



 「わたしは奴隷になってからどんなに辛いことも耐えてきた。騎士の誇りを胸に壊れそうな心を必死に繋ぎ止めながらここまで生きてきたのだ。これくらいの痛み、耐えられぬほど弱くはない」



 自ら傷つけたその顔からは血が滲み出ていて痛々しかった。いったい奴隷のときにどれほどの経験をしたのだろうか? ともかく。拒絶されたら回復はできない。ただ早く回復させてあげたい。オレたちはまずどこかに安全そうな場所がないか探すのだった。

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