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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった一人の勇者編

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86/93

勇者は漂着する

日向迅視点

 「・・・い」



 「お・・・い」



 「おーい! 聞こえてんのか?」



 それはオレが目を覚ましたときの最初に聞いた声だった。男の声が繰り返し聞こえる。



 「おーい・・・やっぱ死んでんのか?」



 その男は困り果てたような様子だった。



 オレはおぼろげに目を開ける。



 「おお! やっぱこいつ生きてるじゃねぇか」



 オレは痛みに耐えながら体を起こした。



 (ここは砂浜?)



 そうか。オレは確かウィンドエンシェントドラゴンに襲われて。



 オレは目の前の男を見る。ボサボサで無精髭が生えた猫耳のおっさんだった。



 「獣人か?」



 その言葉を聞き猫耳のおっさんは気怠げに喋り出す。



 「なんだ? 種族差別か? 文句あるならその指をへし折ってやるが・・・」



 猫耳のおっさんは腰に携えた剣に手を添える。



 「いや! そういう意図で言ったわけじゃない」



 オレは猫耳のおっさんに弁明する。



 「そうか・・・ならいいんだ」



 猫耳のおっさんは悪意がないことがわかると剣を取る手を解除する。オレは周囲を見渡した。



 (フォルトゥナとアナシスは!?)



 オレはおぼろげな足取りで走り出す。



 「いない!」



 オレは当てもなく海岸の砂浜を走る。



 「あそこだけ残骸が集まってる!」



 オレはその場所に向かった。そこには船の破片らしきものもあった。



 「いない! アナシス! フォルトゥナ!」



 しかし何も帰ってこない。いないのは見ても明らかだから当然なのだが、オレは現実逃避するように叫ぶ。



 「おい! どうしたんだ?」



 猫耳のおっさんもこちらを追いかけてきた。オレの様子に心配する。



 「フォルトゥナ! アナシス! いたら返事をしてくれ! いたら・・・」



 オレはさらに走る。



 「フォルトゥナ! アナシス!」



 だがどちらからも返事はなかった。



 「オレのせいだ」



 オレは自分自身を恨む。オレの不運に二人を巻き込んでしまったんだ。



 「オレは・・・オレはぁ!」



 オレが無理にでも船なんかに乗らなかったら。こんなことには・・・。



 「うわあああああああ!」



 オレは砂浜の上で叫んだ。



 「砂浜で重要な何かでも落としたか?」



 猫耳のおっさんはまだついて来ていたようだ。



 「猫耳のおっさん・・・オレ以外に誰か・・・ここに漂着していなかったか?」



 オレは猫耳のおっさんに聞いてみる。



 「そうだな。俺はお前以外見てないな」



 猫耳のおっさんは頭を掻きむしりながら返答した。



 「そうか・・・」



 オレは絶望しながら俯く。



 「もしかして、お前は船で漂着して、その仲間を探しているのか?」



 「そうだ」



 オレがそういうと猫耳のおっさんはまた頭を掻きむしって困ったような反応をする。



 「確かにここら辺に流れやすいが生きているかどうかは保証出来ないぞ」



 猫耳のおっさんの言葉にオレはさらに絶望する。



 「そんな・・・」



 オレはそこからさらに目的もなくトボトボと歩く。



 「おい! お前、その体であんまり動きすぎるものじゃないぞ」



 そんなのはわかっていた。今の体はボロボロだ。だが、何としても二人を見つけるまでは倒れるわけにはいかなかった。



 「あ! あれは!?」



 砂浜をさらに歩いているとある後を発見した。



 「血の付いた布・・・」



 オレはその布を手に取る。それはフォルトゥナの衣服の一部だった。その切れ端が落ちている部分から森へ複数の足跡がのびていた。



 「これは! もしかしてフォルトゥナは生きている?」



 オレは喜びの念を顔に出す。フォルトゥナが生きているかもしれない。それだけでもオレは嬉しかった。



 オレは森へのびた足跡を辿る。しかし森へ入ると生い茂った草が足跡を消していた。



 「そんな・・・」



 オレはさらに絶望した。せっかくの手がかりなのに。



 「これは新しそうだな」



 猫耳のおっさんは足跡を見ながら言った。



 「じゃあフォルトゥナも生きてるのか!?」



 オレはおっさんに詰め寄った。



 「落ち着けって。確かにこれを見た限りだと、そのフォルトゥナって奴は生きてる可能性が高いか。ただ・・・」



 猫耳のおっさんはフォルトゥナが生きている可能性を示す。だが、そう簡単なものではなかったらしい。



 「この複数の足跡。明らかに一人のもんじゃねぇな」



 猫耳のおっさんは足跡について言及する。



 「なんだよ」



 「お前のつれ? フォルトゥナって奴は女か?」



 猫耳のおっさんは質問する。



 「ああ、そうだが・・・」



 「なら、案外状況は良くないかもしれないな」



 猫耳のおっさんは険しい顔をした。



 「言っちゃあなんだが、ここはお世辞にも治安は良くないからな。女が一人なんて状況は格好の的だぞ?」



 その男の言葉にオレは動揺を見せる。



 「ここはシアンテールで現在一番荒れている国。ファングロアだからな」



 オレが漂着した場所はとんでもない場所だったようだ。

 ダンジョンの遺物④



 名前 奴隷の首輪

 分類:危険品

 個人で許可なく持つと犯罪になる可能性があり、ダンジョンで出現した場合、冒険者ギルドに持っていか必要がある。冒険者ギルドで買い取ってくれ、多くは犯罪者などに使われる。

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