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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった1人の勇者 旅立ち編

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勇者は港町を探索する

日向迅視点

 「見えてきたな」



 あれからオレたちは何日か道を歩くと海辺が見えてくる。



挿絵(By みてみん)



 現在地はシアンテール大陸とメメント大陸に挟まれた海に面した港にいる。



 「ラピスの街が見えたぞ」



 オレらの最初の目的地の港街ラピスを森を抜けた先で見る。味がある風景で漁師の港という感じだった。



 「ここにオレらが乗る船があるのか?」



 ここ数週間旅を共にし、少しはお互いのこともわかってきた。



 「ああ、教会の船を借りる手筈だ」



 「そうか」



 街が見えたことでオレは気分が高揚するのを感じる。しかし、オレもよりも気分が高い奴がいた。



 「これでやっと食料も補充できそう! 時給自足も大変だからね」



 フォルトゥナは街を見つけたことにどこか嬉しそうだった。



 オレたちはうきうきとした気持ちで街へ走っていった。



 ・・・



 街に着くと門がオレたちを出迎えた。



 「身分を証明できるものは?」



 門に入ろうとすると門番が検問をしていた。



 「これを」



 アナシスはあるものを差し出すと門番の態度は変わる。



 「これはこれは・・・」



 門番の人もそれを見て敬語となる。アナシスと少し会話したあとアナシスは通れるようになったようだ。そしてアナシスの次はさらにフォルトゥナときてフォルトゥナも許可をもらいオレの番だ。オレの番になったときアナシスは口出した。



 「このものは何か身分を証明するものを持っていないですが、身分の保証はわたしがしましょう」



 アナシスがそういうとオレも入ることを許可される。そして入る前に注意事項のようなものを言われた。



 「罪を犯すと身元を保証している人にも責任がいくから街で揉め事を起こさないように! あと身分証代わりになるから冒険者ギルドに入っておくといい」



 「わかりました」



 オレは門番に会釈をすると街の中に入っていった。



 「それで? この街で船の確保以外にすることはあるか?」



 オレはアナシスに聞く。



 「まあ、それ以外とすれば食料の備蓄とかだろうな。あとはジン、お前が不運がどうとか言っていたから。船を補強するための魔道具をトレド商会で受け取ることだな」



 じゃあ、それをさっさと済ませようぜ。門番がちょっと気になったこと言ってたからよ」



 これまでは聞かなかった冒険者ギルドという言葉。どうやらこの世界にも存在したようだ。全然話を聞かなかったからてっきりないものかと思っていたが。世界樹周辺になかっただけか。



 「トレド商会に行くのは私が話をつけよう。フォルトゥナ、心配ではあるが二人で食材の買い出しを頼む」



 アナシスはどこか悔しそうな顔をしてオレたちに頼んだ。



 「ああ、任せた!」



 オレはアナシスに頼むと各自の行動にうつった。



 ・・・



 「結構面白いのがあるな」



 やはり海が近いからか海鮮が豊富だった。



 「海に出るわけだし、野菜とかがあれば助かるんだけど」



 フォルトゥナはキョロキョロと周りを見渡している。



 「あっ! 味わい草あったぞ!」



 「本当に味わい草好きね・・・」



 フォルトゥナはオレの興奮具合に呆れる。オレは味わい草の他に並んでいる野菜を見た。



 「バナナにマンゴー。なんか見たことある果物があるな」



 この世界はオレの元いた世界とは違うはずなのに同じ名前の果物がある。



 「バナナ一房ください」



 「はいよ」



 オレはバナナを買うと一房をちぎって皮を剥く。



 (やっぱりバナナの味だ)



 でも不思議なことには変わりがなかった。



 (バナナって確か品種改良して今の形になったんじゃなかったっけ)



 この異世界でも品種改良してこのバナナになったのだろうか。そもそもオレがいた世界よりも科学は進んでいなさそうだが品種改良とかの技術がそもそも確立しているのかすらもわからない。このバナナはこの世界の不思議を体現していた。



 「まあ、この世界には神がいるんだし、神が何かしたんかな? 知らんけど」



 オレは独り言を発するとフォルトゥナがオレの買ったバナナを見て叱りあげる。



 「何勝手に買ってるの!」



 「食うか?」



 「もらう」



 フォルトゥナはオレを叱りながらもバナナを頬張る。そして食料について話す。



 「船旅なんだから保存の効くものにしないと。ほら、そこにあるジャガイモとか」



 フォルトゥナは隣にあるジャガイモを指差した。



 「確かに長期保存できるものを探してたのか」



 オレはバナナを食べながらいう。フォルトゥナはバナナを見ながら食料について考えていた。



 「まあ、これも水分を魔法で抜けばなんとかなるかな? あとでお父さんに聞いてみなくちゃ」



 「アナシスってそう言うとこ結構詳しいよね。船が操作できるって言ったけど結構船旅の経験があるのかな?」



 オレはフォルトゥナに聞いてみる。



 「もちろん、布教のためとかで遠出するときは特に」



 「本当にアナシスって頼りになるよな」



 「たまにアホになるけど」



 「確かに」



 オレはフォルトゥナの意見に同意する。アナシスは親バカなところがある。



 「じゃあ味わい草も乾燥させて保存用にしようぜ!」



 「全く・・・はぁ」



 味わい草への愛が変わらないオレにフォルトゥナはため息を吐くのだった。



 ・・・



 「お! アナシス!」



 オレとフォルトゥナはアナシスと合流した。アナシスは袋を担いでいてどこか重そうだった。



 「マジックバックを貸してくれ」



 アナシスにマジックバックを渡すとその袋をまるごとマジックバックに入れる。



 「これでこちらは準備は済んだが、フォルトゥナの方は準備は済んだかい?」



 「済んだよ、お父さん!」



 フォルトゥナは完了の合図をするがオレは待ったをかけた。



 「一応は済んだが、オレが一つやっておきたいことがあってな。いいか?」



 「ああ。いいぞ」



 オレは了承を得るとある場所に向かっていった。その場所は買い物している途中に見つけていたのでもう知っている。オレたちはすぐに辿り着く。



 「これは・・・冒険者ギルドか」



 アナシスはつぶやいた。



 「知ってるのか? てっきり何も話さないから知らないものだと思っていたが・・・」



 オレはそう言うとアナシスはあるものを取り出した。



 「いや、世界樹のところは結界とかの影響で冒険者ギルドはないが他のところだと割と普及しているからな」



 アナシスの手には冒険者だと言うことを示すカードが握られていた。



 「Cランク?」



 「そうだ。Cランク以上は大規模な試験が必要だからな。旅先の合間でやれる限界だ」



 アナシスはそう言うとカードをしまった。



 「確かに冒険者ギルドのカードは身分証にもなり得るし、二人なら教会の推薦があれば、おそらくDランクからのスタートになるだろうとっておくのも悪くないかもしれないな」



 「えっ?わたしも?」



 「フォルトゥナもあって損はない」



 「そんなんだ」



 そうして二人からの理解のもと冒険者ギルドに入る。中に入るとまさにファンタジーに出てくる冒険者ギルドのようだ。オレたちが入るとこちらに視線がめぐる。あるものは興味を無くしたのかすぐに視界を離れて。あるものはこちらをジロジロと見る。オレたちは受付に向かった。



 「冒険者ギルドへようこそ! 本日はどのようなご用件ですか?」



 「冒険者登録をしにきた」



 「冒険者登録をご希望ですね?では、こちらに記入をお願いします」



 そうして受付嬢から書類が渡される。



 「あっーと?名前は・・・日向迅で・・・」



 それは書類を読むと記入をしていく。



 「わたしも!」



 フォルトゥナも書類をもらうとオレと同じく記入を済ませた。



 「ちょっといいかな?」



 オレが記入をしている間にアナシスが受付嬢に話何かを渡した。



 「少々お待ちください」



 受付嬢は特に驚きもせずに奥の方に引っ込んでいった。



 「書き終わったが、受付嬢がいないな」



 そうこうしているとオレたちの対応をしていた受付嬢がある男を連れて戻ってきた。



 「おー、エルフの神官がここにくるのは久しぶりだ。もともとそんなに来るようなものじゃないけどな。がはははは」



 そのおっさんはスキンヘッドであり頭には船の錨のタトゥーが刻まれている筋骨隆々の男だ。



 「内容を見たがこの二人がDランクの素質があると?」



 その男はオレたちを見定めるように見る。



 「ああ、私は二人はD以上の力を持っていると考えている。ギルドマスターオルカ」



 その答えを聞き少し考えたあとそのスキンヘッドの男オルカは語り出す。



 「それなら少しは実力を見せてもらいたいね」



 ギルドマスターであるオルカはそう提案する。だが・・・



 「悪いが時間はそんなに無いんだ」



 「いや、時間はそんなかからない。ただ的に当ててもらうだけでいい」



 アナシスが時間がかかるのを嫌がったがオルカは時間がかからない提案をする。



 「確かに・・・それなら」



 「なら決まりだ! 早速空いているからやろう! 早く済ませたいんだろう?」



 オレたちはギルドマスターオルカに連れられて場所を移動するのだった。



 「あれが的か」



 オレたちが移動した先には的が置かれていてそれに向けて攻撃を放つようだ。



 「二人とも何を使うんだ?」



 オルカはオレとフォルトゥナに聞いてみる。



 「オレは剣だな」



 「私は回復かな」



 「剣はまあこれで測れるが回復か。じゃあこうするか」



 オルカは自身の腕に少し傷をいれた。



 「これを治せるか?」



 オルカはそれをフォルトゥナに差し出すとフォルトゥナは神聖魔法を唱える。



 『神聖魔法』



 傷はみるみるうちに回復していった。



 「これは・・・きちんと回復しているな。これならDランクにしても問題ないだろう」



 フォルトゥナを見てオルカはDランク合格をフォルトゥナに告げた。



 「次! お前は確か剣と言ったな。それならあそこの的を剣で切りにいけ」



 フォルトゥナが合格したら次はオレの番になった。オレは守護の剣を握る。オレは野営の間で習得した成果を捻り出す。まずは・・・



『身体強化』



 オレの身体の機能が向上していく。異能で取り込んだ空気を放出する準備をし構えた。



 『ウィンドソード』



 オレの身体強化プラス風がなった剣は無慈悲に的を粉々にした。オルカはオレの攻撃を見て拍手した。



 「確かに瞬間火力はDランク以上、合格だ」



 オルカはその技を見て拍手を送る。そうして無事二人とも合格を告げられたのだった。



 ・・・



 「登録の続きを行いますね」



 それからの作業は受付嬢が引き継いだ。



 「あっ、この装置知ってる」



 受付嬢はある魔道具を持ってきた。それはオレが見たことがあるものだった。そうこれは・・・



 「持ち物を無くしても帰ってくる魔法のやつだ」



 オレの剣にその魔法を付与した道具と瓜二つだった。



 「その通りです。よく分かりましたね」



 受付嬢は驚いた反応を見せたがどうやらこの装置はオレが知っているもので間違いないようだ。



 「最後にこちらのカードに血を垂らすことで登録は完了です」



 オレとフォルトゥナは手を差し出す。針が刺されて血が少し出た。



 『神聖魔法』



 その少しの傷はフォルトゥナがすぐに塞ぐ。



 「ありがとう」



 「『神聖魔法』、どういたしまして」



 オレたちは登録を済ませると教会所有の船を取りに向かうのだった。

冒険者カードについて



 冒険者カードは冒険者の階級を表すカード。カードには見習いのFから最高ランクのSまである。最高ランクのSとなると国を動かすレベルの実力とされる。持ち主が紛失しても戻ってくるように念じれば戻るようになっている。その魔法の性質から道端に落ちていた冒険者カードはなるべく拾ってギルドに届けるようにギルドは促している。なぜならば死人に口無しだからだ。

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