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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった1人の勇者 旅立ち編

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勇者と魔法

日向迅視点

 人ざらいが蔓延っている世界樹周辺の地域を抜けたオレたちは順調に港町の方に進んでいた。



 「ここで一旦野営をするか」



 アナシスは日が傾いてきていることを確認して野営の準備に入る。オレたちは食事の準備をする。食べるのは保存が効く干し肉だ。少し塩辛く水が欲しくなる味をしている。



 「ジン!」



 アナシスはオレの名前を呼ぶと容器を手渡した。中にはスープが入っていた。



 「ありがとう、アナシス」



 「気にするな。ただ沸かした水に味わい草を入れただけだ」



 アナシスの言うとおりそのスープは味わい草の残骸がポツンと浮かんでいるようなスープだった。だが、味わい草は良いだしとなり、舌に満足感を与える。



 「体に染み渡る・・・」



 オレは塩辛い干し肉をスープにつけて食べて見る。干し肉は水分を取り戻し、塩辛さをスープへと排出する。オレは干し肉に齧り付く。悪くない。



 オレは干し肉を噛み締めながら今日の出来事を振り返った。



 (人を殺してしまった)



 オレの中でその考えがぐるぐると頭によぎる。所詮は高校生なのだ。異世界に来たからといって価値観がすぐに変わるわけがない。人を殺す経験がなかった今までの生活から急に転換できるはずがないのだ。この世界に来てから色々と経験したからわかるがこの世界の死の価値観、人の価値は案外軽い。まるで人は罪を犯すと価値をなくし罪に問われなくなるような。そんな価値観だ。



 「なあ、人を初めて殺したときってどう言う気持ちだったんだ」



 オレは何がなんだかわからなくなり聞いてみる。オレが殺したときあのときの感情がおかしくないか。自分がおかしくなったんじゃないか。それを確かめたかった。



 「ジンはあれが初めての殺しだったの?」



 フォルトゥナはオレに疑問を投げかけた。



 「ああ」



 「そうなのか。・・・確かに様子もどこかおかしかったし・・・。でも気にしない方がいいよ。私もそんなにぶり返すようなことはしたくないけどね、そもそも人攫いの方が悪いから」



 「でも・・・」



 オレはそれを肯定するのを躊躇う。実際に手にかけるという重みはオレの想像以上に重かった。



 「人を殺したくないって思ってるね」



 フォルトゥナはオレの感情を見破った。



 「確かにこの世界には人を殺すと裁かれるよ。だけどね、殺さなければやられるってときもこの世にはあるんだよ?」



 フォルトゥナは真剣な面持ちで話す。



 「私も虐げられてきたものだからね。マルタ様が助けてくれるまでは私は地獄にいた。法律は確かにある。だけど弱肉強食がこの世の中の根底にあることも事実だよ」



 「・・・そうか」



 フォルトゥナの真剣な言葉を聞きオレは考える。きっとオレはこの先まだまだ人を殺さなくてはいけない場面に出くわすかもしれない。オレは今日の出来事を振り返る。猫の獣人、あいつのパワーは確かにオレより上だった。オレは技量でカバーしたけどもしあいつの方が技量が高かったら? オレはなすすべなく負けていたかもしれない。もし負けたらオレが死んでいた。



 (死にたくないな)



 理不尽に殺されるのはごめんだ。オレはそこでまた殺さなければならないジレンマに行きつく。



 「結局どうすればいいのかな?」



 オレは悩んでいるとアナシスがオレにアドバイスをくれた。



 「ならば、強くなればいいと思う。 強ければ負けない。そして強ければ相手を殺さずに制圧できるようになるかもな。マルタ様はよく、情報を聞き出すためによく一人だけ生け取りにしていた」



 「強くなる・・・か」



 オレは強くなるということを考える。オレの弱さは今日の戦いでもうすでに浮き彫りになっている。オレは自身の弱点を補うためにアナシスに頼み込んだ。



 「アナシス。オレに魔法を教えてくれないか?」



 オレはアナシスに前のめりになりながら告げる。



 「あれ? 魔法っぽいの使えてなかった?」



 フォルトゥナはオレの異能のことを言った。



 「いや、あれは魔法じゃないんだ」



 オレの異能による風攻撃は実際は空気を圧縮して放つ技だ。魔法を放出する技も魔法の吸収が必要であり、そのどちらも放出するだけでコントロールはできない。さらに言えば、魔法でできた岩は吸収できるのに実物の岩は吸収できず、毒物の吸収は体に影響がないのに衝撃の吸収はすぐ放出しないと体に影響があったりとよくわからない性能をしていた。さらには勝手に幸運も不運も引き寄せる。どう言う基準でできているのかがはっきりとしていないし、元の世界でも運を引き寄せる現象はなぜ起きるかなどは分からなかった。



 「ともかくあれは魔法じゃない」



 「へー、そうなんだ」



 フォルトゥナは不思議そうに相槌を打った。そのあとアナシスは喋り出した。



 「教えること自体は問題はない」



 どうやら教えてくれるようだ。



 「ただし、適性があるかどうかはわからないぞ」



 「適正?」



 オレははてなマークを浮かべた。



 「魔法がどれくらい使えるかの基準だよ。私の場合は闇魔法とマルタ様から学んだ神聖魔法の適正があるって言えるかな」



 「私の場合はある程度は魔法は使えるが一番の得意魔法は風魔法かな」



 どうやら適正によって使える使えないがあるらしい。



 「魔法の適正がないと威力が大幅に落ちたり無理に発動すると暴発が起きたりすることがあるから慎重にやっていかないとな」



 オレはアナシスの話を聞いていると早速講義に入った。



 「では早速初めてみよう」



 アナシスの講義が始まった。



 「ではまずは魔法の説明からだ。ジン、魔法とは何かわかるか?」



 アナシスが問題を提起する。



 「んー、わからないな」



 それにアナシスは答えた。



 「魔法とは外付けの頭脳のようなものだ。術中の発動者の想像に反応して現実を壊して再構築する力と言われている。そうして現象を発現するわけだ」



 「そうなんだ」



 オレは関心する。魔法ってそう言う原理なんだ。



 「元々はただ現象を創造するものとされてきたが、数年前に魔法の力の素を取り出す技術が見つかってな。現在ではこの説が主流だと言うものが多い」



 オレはアナシスの話に聞き入る。



 「前述したとおり、魔法は術者のイメージが必要でそれが魔法のあり方を決める。あともう一つ大事なものは適正だが、それは運次第だ。つまり魔法はその二つの要素により威力が決まると言うことだ。どれだけイメージが完璧でも適正がなければダメだしその逆も同じだ」



 「アナシス先生! 質問!」



 オレは質問をする。



 「イメージってどうしたらいいですか?」



 「ジン、お前には精霊が見えているだろう。精霊は魔素の高まりだから少し特徴を掴めば魔素を見ることができるはずだ」



 オレはアナシスの助言から魔素を見ることができるか確かめてみる。



 目を凝らすと近くにはボッーとしているぷにぷにした物体が浮いている。小精霊だ。オレはさらに目を凝らす。



 「見えた!」



 アナシスの周りに何かオーラのようなものが見えた。



 「これが魔素か」



 「魔素の流れを見たら魔法も使いやすいだろう」



 そこでアナシスは風の魔法を起動した。微風程度の魔法だ。魔素の流れが見えたためオレはそれを操ろうとする。



 「あれ? 風が起こらないな」



 オレは魔素の流れを見る。確かにオレは魔素を動かしていた。だが魔法は起こらなかった。



 「いや、魔法は発生している」



 アナシスは風が発生していることを見抜く。



 オレは咄嗟に手をかざす。



 「あっ! 風だ」



 アナシスが起こした風ほどではないが確かに風はあった。



 「他にもやって見るか」



 オレはその日アナシスの指導のもと魔法を教わるのだった。




 ・・・




 「案外扱いも上手いんじゃないか」



 オレは魔法の練習をしていた。しかしオレは魔法を教わったがお世辞にも役に立つとは言えなかった。アナシスの魔法と比べたら天と地ほどの差があった。だがそんなオレでも一つだけ伸びが良かったものがある。



 『身体強化』



 オレは身体強化をした状態で剣の素振りをした。剣は風を切り以前よりも滑らかに動く。



 「少しの間に伸びたな」



 オレはどうやら身体強化魔法の才能があったようだ。オレは素振りを軽くしたあと魔法の試しを終える。



 「これでパワーはましになったか」



 以前とは間違えて力がみなぎっている。猫の獣人が身体強化が使えなかったオレを侮っていたのも納得の効果だった。



 「そろそろ終わりにしよう。明日も早い」



 アナシスは頃合いを見て訓練を終えることを提案する。確かに結構な暗さだ。



 「交代で見張りだ。オレが先に言ってるから休んでいろ」



 アナシスはそう言うとあかりの方に戻っていく。オレも寝ておかないとな。オレはとりあえず寝る準備に入るのだった。

 キマが売っている商品④


 名前 空飛ぶ剣

 分類 武器

 空を飛ぶ剣。鍛えれば何本も操れる。百本操れるように頑張ろう。たくさん購入してね。

 

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