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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
世界でたった1人の勇者 旅立ち編

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勇者の旅立ち

日向迅視点

 世界樹から去った後、屋敷へと戻る。オレは部屋の窓から外を見た。外は雨が降り出していた。



 「マルタ様が言ってたけど本当に降ってくるんだな」



 ここは巨大な世界樹の下だ。葉っぱに雨粒は遮られ、雨粒同士が重なり合い、融合したことで雨粒が大きくなっていた。オレが窓の外を見てると扉を叩く音が聞こえる。



 「なんだ?」



 「失礼します」



 そこには使用人がこちらをうかがっていた。



 「旅立ちのご用意はすみましたでしょうか?」



 使用人の人がオレに向かって聞いてくる。



 「ああ、 いつまでもここにお世話になるわけにはいかないからな。どっちにしろ出ていくつもりだった」



 「『キマの加護』を持っているならここでは優遇してもらえるも思いますが・・・」



 「えっ、そうなの! ・・・いや、でもやっぱりなんか悪い気がするしいいよ。それに色々と迷惑もかけたからな。この世界に来てからお世話になったってだけでもう十分だ。それにオレはこれと言ってこの世界に来たとしてやることがあるわけでは無かったしな。オレはもうすでに一度人生が終わった身だ。もう一度の人生を楽しまないと損だし、何より安泰な人生なんて、オレに合わねぇ。それにオレは不運も幸運も引き寄せるから元々人生の起伏も激しいんだよ。いざってときぬくぬく暮らして言ったら不運が来たときに対応出来ねぇからな!」



 オレの言った言葉に使用人の人はとても驚いた表情をする。



 「そのようなお考えがあったのですか・・・」



 「ばあちゃんがよく言ってたんだがな。人間ってのは動かないとダメになるんだ。ほら、なんかストレスが溜まったとき運動したらいいってよく言うだろう?オレはそれをただ実行しているだけだ」



 使用人は微笑む。そして窓の外の雨を眺めて言った。



 「動くことが大事・・・ですか。そうですね。確かに動けば気持ちがスッキリし、たくさん物事を知れるようになるでしょうね。例えば、今降っている雨とか・・・」



 オレは窓越しの雨を見る。大粒の雨が少ない感覚でポツポツと降っている。使用人は部屋の窓を開ける。



 「おい、それじゃ雨が部屋に・・・」



 オレは閉めようとするが使用人の人はオレの手を掴む。



 「この雨を見てください。一見すると普通の雨でしょう。でもこの雨は少し違うんです」



 そう言うと果物の皮を切る用の小さなナイフを取り出して使用人は自らの手のひらを薄く傷つけた。



 「何をして!」



 しかし、その傷はすぐに変化を見せた。窓の外に差し出された手に雨の粒が当たる。手の指先から伝い、そして雨は傷口へと流れた。そして雨がふれた部分の傷口がみるみるうちに回復した。



 「これは・・・」



 「驚きましたか? 実はこの雨水には微量の回復効果があるんですよ。世界樹の葉から滴る過程で世界樹の成分が少し雨水にうつるんですよ」



 その言葉にオレは驚く。そしてさらに使用人は話し始めた。



 「この雨だって、外が雨だからって出てこなかったらこの雨に回復の効果があるなんて分からなかった。外は新鮮なことだらけです。外に出たら知れることはたくさんあります」



 使用人はオレに優しく語りかける



 「でも、外はいつも危険を孕んでいると言うことも忘れないでください。おせっかいな使用人のアドバイスです。それともう一つ、私は小さい頃、あるスラムにいました。そんな行き場のない私をキマ教の人たちは拾ってくれました。きっとあなたももしどうしようもなくなったとき、帰ってきてもここはあなたをあたたかく迎えてくれるでしょう。居場所はここにあります。だからそんなに重くみることも、心配することもありませんよそれにここには結界もありますから」



 「そうか・・・」



 オレはその言葉を聞くと時間を思い出し、扉に向かう。そして扉に手をかけたとき、使用人の人からエールをもらった。。



 「頑張ってきて下さい」



 オレはその励ましを胸にしまいこみ、部屋を出た。



 部屋を出た後はオレはマルタ様のところに向かう。向かう最中の雨粒の音が無性に大きく聞こえた気がした。



 ・・・



 「失礼します、マルタ様」



 「どうぞ」



 オレはマルタ様が待っている部屋に入った。そこにはマルタ様の他にフォルトゥナとアナシスもいた。オレを見たアナシスがオレを睨む。



 「うっ!」



 「やめなさい!アナシス」



 「・・・すみません、マルタ様。少々気が張っていたようです」



 マルタ様に注意されたアナシスは睨むのを辞めた。



 「さて、これで全員揃ったようね」



 マルタ様はそう言うと喋り出した。



挿絵(By みてみん)



 「それじゃあ話をしましょうか。さて、旅の内容ですね。今回の旅の目的地はアッシュ大陸。魔族たちが住んでいる大陸です。現在の主戦場はグレートエッジ大陸ですが、一応は全世界と戦争中と言うことになっているのでアッシュ大陸行きの船は途絶えていますね。まさに陸の孤島と言えるでしょう」



 その話を聞いてフォルトゥナは質問した。



 「お姉ちゃん。じゃあどうやってアッシュ大陸に行くの?」



 「アッシュ大陸は今のところは船を手配する予定だよ、フォルトゥナ」



 オレはその答えに難色を示す顔になる。



 「どうかしましたか?」



 オレの様子にマルタ様は気づいたようでこちらに話しかけて来た。オレは懸念点を話す。



 「その・・・言いづらいんですけど。実はオレ、不運を引き寄せる体質でして・・・」



 オレはそこで異能について、色々と話した。



 「それくらい大丈夫なんじゃない?」



 フォルトゥナはそう言うが、前いた世界からこの異能と付き合ってきたオレからしてみれば、これは死活問題だった。船上で不運が降りかかった日にはもしかしたら沈没もあり得るしな。オレは元の世界でも公共交通機関は使わないように気をつけていた。そのくらいオレの不運は本当に来てほしくないときにくる。幸運だけきてくれればいいのに。



 (さらに異世界にきて、能力も上がっている節があるからな)



 さらに油断はできなかった。オレは辛抱強く説得した。



 「・・・わかりました。なるべく対策は取りましょう。これでいいですか?」



 オレは譲歩の案に渋々了承した。



 「じゃあ次に旅の準備ですね。ヒナタさん、おそらく旅の最中で戦闘もあると思いますが、あなたは何か得意なものとかありますか?」



 オレはマルタ様に得意なものを聞かれるオレは元の世界では、異能を使った武術というものを習っていた。オレの元いた世界では異能戦闘術、通称イノセントと呼ばれていたんだが、異能を使った戦闘ならどんなものでも使っていいという純粋な戦闘力が重視される競技だった。中でもオレの異能は今のように威力もそんなになかったし、補助的なものとして使って武器のによる異能の強さにそんなに差がなかったから様々な武器を使えるようになっていた。



 「素手でもいけるけどやっぱり一番しっくりくるのは剣ですね」



 オレがそう言うとマルタ様は移動して部屋の奥の方に行く。そして奥に置いてあった箱を開けていた。その後オレに向かって手招きをする。



 「こっちに来て下さい!」



 手招きをするマルタ様は可愛かった。マルタ様・・・美しい。でも・・・結婚してるんだよな・・・。



 オレはマルタ様の手に引き寄せられる。アナシスやフォルトゥナもそっちに行くようだ。オレはマルタ様の元に着くと中のものを目にする。マルタ様はそれを取り出す。手招きをしたマルタ様の手の反対の手にはにはある袋が掴まれていた。



 「袋?」



 箱にはでかい袋が入っていたようだ。



 「ただの袋じゃありませんよ。ダンジョン産、特大サイズマジックバックです。国宝級の逸品です」



 オレはそれに関心する。マジックバックといえば、容量を無視してものを入れられるとか、そう言う奴だよな。オレはそれに目を輝かせているとあるものを取り出した。



 「おお! ありました! これです」



 そう言って取り出したのは一振りの剣だった。マルタ様は鞘から剣を抜き出して見せた。刀身は大きめで黒っぽくとても頑丈そうだった。



 「ヒナタさん、剣を使えると言うならこれをあげましょう」



 そう言ってマルタ様は鞘にしまうとその剣を差し出す。オレはその剣を丁寧に受け取ると刀身を抜き差ししながらジロジロと見た。



 「どきなさい」



 オレが剣を見ているとアナシスがそこにくる。そして何かのスキルを発動した。



 『鑑定』



 その瞬間、青いホログラム状のものが空中に出現した。それはオレに向けて飛ばされる。



 「これは?」



 「鑑定だよ。貴様が見ている剣の情報、ステータスが書かれている」



 オレはそう言われてそのホログラム状のものを見た。



 名前 守護の剣

 分類 武器 (剣)

 スキル 頑丈 我慢

 ダンジョンで超低確率で宝箱で入手。この剣にはどんな鎧も砕く敵でも所有者を戦い切って戦いが終わるまで折れなかったという逸話があり、所有者を守るという意味で守護の剣だという説がある。



 「これはすごいな」



 オレはステータスを見た後お礼をする。



 「ありがとうな・・・アナシス」



 「気にするな。これから旅の仲間になるのだ。気に食わんが仲良くしなければやっていけないだろう」



 ・・・っえ? 旅の仲間?



 「旅の仲間?」



 「旅の仲間だ」



 その言葉に反応したのかマルタ様は話し始めた。



 「ああ! 今回の旅はアナシスとフォルトゥナとヒナタさんの三人だからね」



 「えっ!」



 オレはその事実に呆然とする。じゃあ、アナシスが行くならマルタ様は?



 「マルタ様は?」



 オレは聞いてみるが色よい返事は返ってこなかった。



 「残念だけど、わたしは業務で忙しいので。それに子供がいるのに長期間離れることはできませんから」



 オレはそれにがっかりした。



 「お父さんは船の操作ができるからね。わたしもお父さんに習っているんだけどまだ未熟だし・・・。でも別にお父さんじゃなくても良くなかった?」



 フォルトゥナはアナシスがついてくることが嫌そうだ。マルタ様はそれに気まずそうに答えた。



 「それは・・・アナシスの押しが強かったのと無理からねじ込んだせいもあるかも・・・本来ならダメなのに。ヒナタさんと仲良くすることを条件にして旅の仲間に加わったというところですね。全く親バカですね。数十年前とはえらい違いです」



 どうやらアナシスは影で色々と画策したらしい。



 「あっ、あとこれ! フォルトゥナに!」



 マルタ様は思い出したかのようにフォルトゥナにあるものを渡した。



 「あっ、これって! もしかしてマジックバック?」



 マルタ様から肩にかける感じのバックをフォルトゥナはもらった。どうやらマジックバックらしい。



 「その中には世界樹の葉が数枚入っています。旅の路銀に使うなり、回復用にとっておくなり自由に使いなさい」



 「ありがとう! お姉ちゃん!」



 フォルトゥナはマルタ様に抱きつくとマルタ様はフォルトゥナを撫でる。



 「ああ、あとこれもしておかないと」



 そう言ってどこからともなく道具を取り出す。



 「二人とも、手を出して下さい」



 オレとフォルトゥナは指示通りに手を差し出した。



 「まずは、ヒナタさんからでいいですか?」



 オレは何をするかわからなかったがとりあえず了承した。



 「じゃあ、その剣をそこに置いて・・・少しチクッとしますよ」



 「痛てっ!」



 オレの指先が針で刺されて血が出る。そして下に血が滴ると道具が動作し始めた。



 「『神聖魔法』これで血も止まりましたね。驚きました? これは魔道具と言って魔法が込められた道具なんですよ。ちなみにこの魔法は持ち物をなくしても返ってくる魔法です。持ち物が壊れない限り無くしても手元に帰ってきますよ。これで泥棒対策はバッチリですね。ちなみにこれを売っても自身のところに帰ってきてしまうので悪用とかは厳禁ですよ」



 オレが忠告を聞いたあと、今度はフォルトゥナの番になる。フォルトゥナはマジックバックに魔法をかけてもらった。



 「さて、これで準備は万端ですね」



 マルタ様の声にオレは肯定をしめした。フォルトゥナやアナシスも同様だ。



 「じゃあそろそろ出発しますか」



 そうして玄関と扉の前まで移動した。



 ・・・



 「フォルトゥナ・・・元気でね」



 「お姉ちゃんも!」



 二人はハグを交わす。



 「アナシスも、フォルトゥナをお願いね!」



 「かしこまりました」



 「それと、ヒナタさんと仲良くしてね」



 「うっ! わかりました」



 アナシスは釘を刺され、嫌そうに了承する。



 「ヒナタさん、世界樹が言っていたことはわたし自身もよくわかっていないけど、頑張ってきてくださいね。同じキマ様に加護を持っているもの同士として応援してますから」



 オレもマルタ様からエールをもらう。そしてとうとう旅立ちが訪れる。



 「では、みなさんお元気で!」



 マルタ様の声は優しいながらもオレの背中を押してくれる。そうしてオレたち三人の長い旅は始まった。

キマの不思議な生物図鑑③



 名前 なし

 種族 スライムもどき

 スライムに化けて油断した相手を捕食する。スライムとは違い強力であるが足がものすごく遅いため基本的に近づかなければ害は無い。見分け方は単純でスライムもどきはスライムの中に目玉が一つある。滅多に出没しないのとスライムを狩るものが初心者なことが多いため、スライムもどきの知識がなく、被害が出ることがある。スライムもどきの対処法としては近距離にはめっぽう強いが足が致命的に遅く遠距離への攻撃手段を勿体無いため遠距離から石を投げ続ければ次第に倒せる。

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