勇者、父親に逆襲される③
日向迅視点
『アースクラッシュ』
魔法で出来た壁はオレを押し潰そうと迫ってくる。
(壁を吸収? いや、この壁を防ぎ切れるか?)
オレは思考を巡らせる。風も放出してしまったし、吸収したものは残ってない。今から大気から空気を集めて見るか? いや、そんな暇はない。
そうしているうちにも壁はオレの方に近づいていった。
「大体、普通の高校生に地面の壁を素手で壊せって言われても無理だけどな」
異能を使えば話は変わってくるかもしれないがオレの異能ではここは突破できそうになかった。
「一か八か、試して見るか」
たとえ、物量をかばい切れなくとも少しは効果があるかもしれない。
『空気吸収』
オレはとりあえず異能グレーホールを発動し、空気の準備をすることにした。オレは迫りくる壁を見る。高さが約6メートルくらいの壁が差し迫ってきていた。その壁は上に行くにつれてそりかえっていて、まるで鼠返しだ。オレはさらに案を考える。
(オレがここから生き残る手段は三つ。一つはオレの魔法吸収でアナシスの魔法を突破すること。だがそれはオレの一度に吸収する量に限度があるため、無理そうだ。何かまかり間違えて急成長とかしたならその限りじゃないがそんな都合のいいことが起こるとも思えない。第二の方法はこの壁を破ること。擬似ウィンドブラスターができれば結構いい線行くと思ったがあいにく今はグレーホールの中は空だ。そしたら残りは一つ)
「この高さ6メートルの壁を飛び越える!」
残りの方法はズバリ、迫りくる六メートルの壁と飛び越えることだ。オレは咄嗟に行動を開始した。オレは足に部分的に魔法吸収を発動した。そして迫りくるが壁に自ら向かっていく。
『魔法吸収』
オレは壁に向けて飛び掛かると足の部分に部分的に発動した魔法吸収で壁を部分的に削り足場を作る。
(壁は上に行くほどそり返ってる。だから勢いのままいくしかない!)
オレはその勢いのまま足場を作っていき迫りくる壁の上部を掴む。
「行けた!」
だがもう時間もない。手は頂上を掴んだが這い上がる間に壁に押しつぶされてもおかしくない距離だった。
「最後の悪あがきを見せてやるよ! 『リリース』!」
オレはそこで『リリース』を発動する。放出するのは空気だ。その空気により、オレは下から押し上げられる。そして壁の外に出た。
「何?!」
アナシスはこのことに驚く。
「さあ、お返しだ!」
オレは風で空に投げ出された後またリリースを発動する。放出するのは足場を削ったときに吸収した土だ。土でも押しつぶされて硬くなった土なので硬さはばかにならない。オレはアナシス目がけて土球を放った。
『アースボール』
アナシスはそれを障壁で防ぐ。オレは地面に着地した。
『衝撃吸収』
オレは地面に着地したときの衝撃を吸収する。本来なら衝撃を放出しないといけないのだが、オレはこのままにしておく。衝撃が中にいる状態が続き痛みが駆け巡る。
「くっ!」
オレはそのままアナシスに突撃した。
「フォルトゥナのお父様ってことならこうする気持ちもわかるがオレが死ぬのは許容出来ねぇよ。だからなぁ!オレの話を何がなんでも聞いてもらうぜ」
オレは近づくとアナシスに向けて拳を放つ。
『障壁』
「魔法吸収」
オレはその障壁に魔法吸収を発動すると障壁は吸収される。そして拳と同時にオレが痛みに我慢しながら溜め込んでいた衝撃を解放する。
『発勁』
オレのパンチはアナシスに当たる。それはアナシスを吹き出し、アナシスは地に伏せた。
「少しは話を聞く気にでもなったか?」
オレはアナシスにいう。
「貴様はどこまでもしぶといのだな」
オレはそれに回答する。
「まあ、ここに来る前に大怪我なんて何回も経験してるしな。オレの痛み耐性がバグってるだけだ。あと、頑丈に産んでくれた母親に感謝かな?」
「・・・そうか」
「ヒナタさん!大丈夫ですか・・・」
ちょうどマルタ様も到着したようだ。隣にはテオがいて、さらにフォルトゥナも一緒にいた。マルタ様はこの光景に絶句していた。
「まさか・・・アナシスを倒すなんて・・・」
「お父さん!」
フォルトゥナはアナシスの方に向かっていった。
「おお、フォルトゥナ! わたしは無事ぶぶぉ!」
フォルトゥナはお父様に殴る蹴るの暴行を加える。
「お父さんのバカ! 恥ずかしいから何回もやめてって言ってるでしょ!」
「ぶへっ!」
アナシスは気を失った。
「ふんっ」
どうやらフォルトゥナはお父様の行動にうんざりしたらしい。そしてオレを見るとオレに話しかけてきた。
「ジンだったよね。たしか。父親が随分と迷惑をかけたようね。まあ、私の裸を覗いたのはまだ許してないけど。この件は覗いた分をチャラにしましょう」
そう言うとそのままこの場を後にする。アナシスは大丈夫だろうか。フォルトゥナが追撃したことでかなりダメージを負っているが・・・。
『神聖魔法』
だがそれはマルタ様が解決する。マルタ様は神聖魔法を使い。オレの傷とアナシスの傷を癒す。
「まあ、このくらいでいいでしょう。迷惑をかけましたね。ヒナタさん」
「いえいえ、マルタ様は気にしなくても・・・」
オレはマルタ様を気遣う。
「いえ、部下がしたことは上司の責任です」
(この優しさ、マルタ様は女神なのか・・・やはりマルタ様は美しい。だがなぁ。もう結婚しているんなよなぁ)
オレはマルタ様の子供であるテオを見る。その視線に気づいたのかどうか知らないがテオは話し始めた。
「大丈夫だった? ジン」
「ああ、なんとか生きてるよ!」
オレはテオに手を挙げながら無事なことを示す。その光景にマルタ様は微笑ましそうにする。
「ふふっ!いつのまにそんなに仲良くなったの?」
オレとテオが話している光景を見てマルタ様は嬉しそうにしていた。
キマが売っている商品③
名前 封印されし思い出のキーホルダー
分類 娯楽品
かっこいい感じがするキーホルダー。身につけたものの厨二心を無償にくすぐる。なぜかそれなりの需要がある。




