狂人はアジトを観察する①
ガブリエルとハミンが止めを差したことで決着がついた。わたしはガブリエルたちに歩み寄る。ガブリエルはわたしを見るなり詳しく説明を求めてきた。
「我が君!説明不足すぎてわかんないよ!」
確かに一年連絡がつかなかったのに急に呼び出されてこの状況なのだ。すぐには理解できないだろう。わたしはガブリエルたちにこうなった経緯を説明した。
・・・
「つまり、神々に認められるための試験を受けていると?」
大まかな説明としてはこんな感じだろう。わたしの説明を聞いてガブリエルは納得はするがそれでもやはり不満を漏らす。
「理由はわかったけど、もっと早く知らせることは出来たよね?やっぱり我が君は説明不足だよ!」
まあ、そこは何もいえないが、このゲームを開催したやつらを考えるとそんなゲーム開始早々に助っ人が入るなんて面白くないとでも思ってルール違反判定してくるかもしれないからな。だから召喚しても問題ないように辻褄が合うような場面を活用したのだ。この一年で色々と調べたが、奴らは楽しければ何でもいいらしいからな。わたしはガブリエルたちを呼ぶとデッキを取り出した。
「ああ、ガブリエル!このデッキの自分のカードに入っていてくれ、今から闇のフィールドを出る」
「えー、このままでいいんじゃない?我が君」
ガブリエルは納得がいっていないようだ。しかしこれには理由があった。
「ガブリエル、お前は現在魔素を放出しているだろう。あの世界ではいいがこちらの世界で魔素はあまり放出しない方がいい。この世界の住民は魔素に耐性がない。完璧な魔素操作ができない限りこの世界にお前は悪影響だ。お前は大雑把だからそんなに魔素の操作が得意じゃないだろう?それにもうすぐにラスボス戦に入る。少しの間だけだ」
そういっているがガブリエルは誇らしそうな表情をしていた。
「ふん。実はボクは変わったんだよね」
そう言うと、ガブリエルは完璧に魔素を制御してみせた。前のガブリエルにはできなかったレベルだ。これくらいならこの世界でも問題ないだろう。ガブリエルはそのあと自慢げに言う。
「我が君がいなかった間、地上にいましたが、そのときに鍛えたんだ。新しい技も作ったんだ!天覇拳!かっこいいでしょ」
どうやらガブリエルは地上での生活でものすごく成長したようだ。そういえばさっきのバトルで使ってたな、天覇拳。ハミンも使っていたが、地上での特訓の成果というわけか。まあ、あの威力のものを地上で開発したというのは少々気がかりだが・・。ただ、制御できているならこのままでもいいだろう。まあ、全ての天使を外に出すわけではないが。わたしはハミンとガブリエルを連れて他はカードにしまい、外に出た。
わたしが外に出ると闇のフィールドの結界は崩壊していく。見渡すとあたりには審問官が倒れていた。わたしが神のオーラで倒した奴らだな。そうして辺りを見ていると、サイレンの音が聞こえた。このサイレンは警察か。警察が来たなら気絶しているだろうし審問官は捕まるだろう。わたしは念の為倒れている札花に防御魔法を施すと、病院を後にした。
・・・
「ここまで来れば大丈夫だろう」
わたしは現在裏路地にいた。ガブリエルは横で不思議そうにこちらを見ている。
「我が君、こんなところで何をするんですか?」
その質問にわたしは答えた。
「いや、警察の事情聴取が面倒だからここに退避しただけだ」
もうアジトでの戦いは始まった頃だろう。わたしはあるものを発動する。
『千里眼』
この上に『万里眼』があるのだが、アジトは万里眼を使うほど遠くないし、そもそも無限に魔素を使えるわけでもないのだ。わたしは千里眼でアジトの様子を観察した。
「我が君!わたしにも見せてください!」
「ああ、そうか!」
わたしは千里眼で映した情報を空中に映した。
・・・
「龍太郎!こっちだ」
霊太は地図を参考に進んでいく。龍太郎は霊太に話しかけた。
「いやー。すげーな師匠って。こんな情報どこで手に入れたんだ?」
「わからない。でもそもそも、プロのカードプレイヤーがこの街に長期休暇来ることがおかしかったんだ。でも審問官を調べていたとならば説明がつく。師匠言ってたでしょ?おそらくそれ以外の何者でもないんじゃないかな」
龍太郎は納得したようで首を縦に振る。
「ふむふむ、やっぱ師匠すげー」
そんなことを言っていると大きな扉がある大きな部屋にたどり着いた。大きな扉の前には、ある男が立っている。それを見て霊太が叫んだ。
「黎明!」
「黎明って・・・あれが!」
その言葉を聞いて龍太郎も身構える。そして読札黎明は霊太に向かって話しかけてきた。
「おやおや、感動の再開なのに、どうやら穏やかじゃないようだね」
「ふざけるな、黎明。おれは今日までお前を殺すためだけに生きてきた。そんな相手との再開が感動の再開になるわけないだろ!」
その言葉を聞いて黎明は額に手を当てて困ったそぶりをする。
「まったく、モルモット風情が、なんだその口の聞き方は、元々研究のために子供を作ったのいうのに親子揃って逃げ出したときは、失望したよ。でも、お前はそのときは小さかったからまだ、わたしは許せた。でもこれは違うだろう。まったく、母親と兄はモルモットとして立派に死んだと言うのに・・・」
「お前っ!」
霊太はその言葉に声を荒げようとするが、龍太郎の大きな声が響き発言を止める。
「お前に霊太の何がわかる!」
「っ!」
その言葉に霊太は驚く。そしてさらに龍太郎は話し始めた。
「霊太はなぁ!優しいんだよ!自分が辛いめにあったことも全然言わないで、抱え込んで、まわりに自分を心配させないように気をつかってたんだよ!俺は霊太に話して欲しかったけど、とにかく霊太は心根の優しい奴なんだよ!お前のように人をモルモット呼ばわりする外道が・・・霊太をこれ以上バカにするんじゃねえ!」
その言葉は広い空間に返ってくるように響く。それに返すように黎明は淡々と言った。
「で?結局何が言いたいのかな?わたしにはお前の言っていることが負け犬の遠吠えにしか見えないが。子は親の所有物だ。物をモルモットと呼んで何が悪い。むしろがこちらに感謝するべきだろう。物がモルモットという、生き物として扱っているのだからね」
そう言うと指を鳴らした。すると隠れていたのか、審問官が出てくる。
「お前!」
「さて!モルモット。お前は殺処分だ」
審問官に幹部黎明が道を塞いでいる。
「おい、どうする?霊太」
「くっ!」
二人は身構えていると黎明が話し出す。
「ああ!そういえば。お前たちはアスタロト様のところに行きたいのか?」
その言葉に二人は止まった。
「だったら何なんだよ」
龍太郎は言うがそれに黎明は答える。
「アスタロト様はこの扉の向こうにいらっしゃる」
「っ!?」
二人はその扉を見る。大きな扉であり、押して開けるのは苦労そうだ。敵と戦いながら開けられるものじゃない。
「もちろん、逃げないだろう?モルモット」
「ああ!」
そして霊太と龍太郎はデッキを握りしめる。
「龍太郎。雑魚は任せる」
「ああ!しっかり家族の仇討ちを果たしてこい!」
龍太郎は霊太の背中を叩くと各自行動に入る。
「「バトルスタンバイ」」
こうしてラスボス前の戦いが始まった。
グレートオールドワンズについて④
相手はフィールドの裏返したカードを攻撃できる。作中ではそんなに裏返しのカードを攻撃することはないがそれは理由がある。その例として失敗作Gがあげられる。
クリーチャーカード
名前 失敗作G
種族 ラボクリーチャー
攻撃 100→50
防御 100→50
召喚コスト 10
このカードが破壊されたときクリーチャーに攻撃されて破壊されたなら、相手の攻撃したクリーチャーを破壊する。
このカードは通常の召喚が想定されていない。つまり、このカードは待ち構えるトラップなのだ。裏返しのカードはどんなカードか攻撃するまでわからない。クリーチャーカードは裏返し状態のまま攻撃したら攻撃と防御が半分の状態で召喚され、バトルになる。しかし、このカードは破壊されることにより効果を発揮する。他にも裏返しのカードには装備カードがあるが装備カードは相手の妨害を引き起こすことが多いためわざわざ裏返しのカードを壊す意味がないのだ。だが相手の主力のクリーチャーカードが表になる前に攻撃して破壊できたら相手の戦力を大幅に削ぐことができる。登場したなかだとサーチや鑑定師の目利きがある。
事象カード
名前 サーチ
相手のフィールドの裏返しのカードを全て見る。
事象カード
名前 鑑定師の目利き
相手の裏向きのカードを全て見て、その中から一枚を墓地に送る。
それらを使うことで盤面を有利に進めることもできるだろう。また、裏向きのカードが攻撃されないことを見越したカードも存在する。
装備カード
名前 キャプテン・グリーディの財宝
このカードはデッキに1枚まで入れられる。パニックカードのターン中に発動したときカードを3枚山札から引いて手札に加える。
このカードは無視すると相手が多くのリターンを得てしまう。裏返しのカードを見極めながら戦うと強くなれるのだ。




