狂人の新天地異世界開拓神話
わたしは起きた後魔法の成功を噛み締めた。
「生きてる」
きちんと感覚がある。と言うかむしろ冴え渡っている。わたしは変化にすぐ気がついた。
「元々の黒髪が白髪でところどころに黒が混じっている。体は引き締まり、砂を撫でる波の音、海の香り、鮮明な砂浜、五感が隅々まで冴え渡り、体力が溢れてくる」
生命に関する豊富な知識があるわたしが一歩間違えたら死ぬようなことをしたのだから他の人は出来ないだろう。
実験の成果を試したくなった。試しに魔法でも使うか。
「島を広げてみよう」
『大隆起』
水平線から一気に地平線へ変わる。
「地形がどうなっているか知りたいな」
『森羅万象』
半径10キロメートルの円状に地形が現れたことを察知してわたしは走ってみたが、スタートにクレーターができたのですぐやめた。もっとこの星全体を見てみたい。
『星ノ記憶』
脳に情報が流れ込んでいる。しかしわたしはその莫大な情報を素早く処理していく。実験で全体的に能力が天元突破したようだ。
「これがこの星の記憶か」
わたしはアカシック・レコードに従ってこの星の軌跡を見る。
わたしは知ってしまった。この星は人類が存在しないことを。
わたしは知ってしまった。この星は神が見捨てた地であると。
わたしは知ってしまった。この星は生命の進化が生まれなかった世界であるということ
etc.
・・・
わたしは出来たての島で黄昏ていた。
「この世界にはわたししか人間はいないのか。あれだけ邪険にしてたのにいないとなると何か寂しいな」
突然この世界に来る前の世界のわたしの師匠の言葉を思い出した。
「この世の生命は不完全な欠陥ばかりだ。みんな神みたいに全能だったら争いも起きないし病気にだってかからない。でもわたしはそれでも生命は素晴らしいと思うよ。だってもし生命が完璧だったら、
それは、何も楽しくない人生だと思ったからね」
わたしは神でも喧嘩しますよ。と返したら殴られたが、そうか。
科学での名声に取り憑かれていたときはわからなかったが、今少しわかったかもしれない。
確かにいないと悲しいし、楽しくない。
「いっそ、この世界の神にでもなってしまうか」
人類の始祖、アダムとイブどころか生命の始祖なんてなったら面白いかもしれない。
「じゃあ、そうなったらせっかく魔法のある世界なんだから。それっぽい仕組みを取り入れてみるか」
『概念生成 :スキル』
『概念生成 :ステータス』
『概念生成 :生命』
『概念生成 :世界樹』
『概念生成 :アカシック・レコード』
『スキル生成』
スキルを取得
・魔法攻撃無効
・物理攻撃無効
・状態異常無効
・貫通無効
・即死攻撃付与
・必中付与
・魔力無限
・貫通無効無効
・アカシック・レコード
・全魔法適正
・スキル付与
・天罰
・攻撃無限
・絶対防御
・創造
・神のオーラ
・狂気の職人技
・etc
「このくらいかな。じゃあ、魔法で大陸を作って」
『大陸隆起』
「みどりも豊かにしたいかな」
『豊穣ノ神』
「自分用の研究は邪魔されたくないからこの島の周りの空間を歪ませて来れないようにしよう」
『神の遊戯場』
「ついでに世界樹を大陸の地脈に設置して」
これで大体終わったかな。これであとは
「生命を生み出せば終わり」
早速準備に取り掛かる。
「地球のときは失敗したが、今は違う。魔法を組み込めばいける」
・・・
『生命創造』
まばゆい光が辺りを包み込む。
その日、木間伊月は異世界の神になった。




