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マッドサイエンティスト異世界で神をやる  作者: 竹馬の友
神と紙の遊戯編

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狂人は負けイベントをやり過ごしたい2

 「札音!正気に戻って!」



 そこには札音の姉、札花が目を覚ましてアスタロトの目の前に立っていた。アスタロトは札花に向かって言う。



 「これは!妾の宿主の姉か!これはこれは、妾の宿主は妾がこれからも有効活用していくから、お礼を言わないとな!」



 その言葉に絶句しながら、狼狽えずアスタロトに反論する。



 「わたしの妹を、札音を返して!」



 その言葉にアスタロトは聞き返すように手を耳にやりながら言う。



 「はて?なんのことやら?僕はこんなにも大好きなのに、そんなひどいこと言うなんて、お姉ちゃん。あはははははは!」



 アスタロトは札音の真似をしてニタニタを笑みを浮かべる。そして思い出したように言う。



 「と言っても、この身体、妾の受肉に形を保って耐えきれる数少ない適合者なのに妾はまだ完璧に掌握仕切れていないのだよ。どうやら宿主はまだ諦めていないらしいな。・・・何はともあれこのままでは邪魔で仕方がない。この器を妾のものに完全にするためには、まずは宿主を屈服させない。あとはわかるな?」



 そう言いながら札花に近づいて言った。



 「札花さん!危ない」



 わたしは警告をするが、もうすでにアスタロトはドス黒いオーラを纏い、拳を振るおうとしていた。札花は手を前にやり目を瞑る。



 「っ!」




 しかし、この拳はいつまで経っても到達しなかった。



 「うぐっ!」



 そこにはアスタロト自身が自分の首を絞めている光景があった。咄嗟にアスタロトは衝撃波を放ち、札花を吹き飛ばす。わたしは吹き飛ばされた札花にかけより、札花を抱えて定位置に戻る。アスタロトは先ほどの出来事に驚いていた。



 「体が拒絶した?まさか!宿主の自我までもが!」



 アスタロトは独り言を展開する。



 「宿主がこの状況にたってもまだ、ここまで制御能力があるとは、これほどまでの執念が宿主にあると言うのか!?」



 そしてある結論に辿り着く。



 「妾の完全なる適応のためには、宿主の関係者を全て殺してまわるしかないようだな。あははははは!まあ、まだこのままにしておいてやろう。宿主を絶望させ、抵抗する力を削いでいこうじゃないか。まずは木間伊月、うぬから殺そう!」



 その言葉に札花が反応する。



 「負けないで札音!」



 しかしそれも虚しく消える。アスタロトは落ち着きを取り戻し、そしてまたバトルは再開される。



 「グラシャ=ラボラスで攻撃」



 木間伊月 ライフ 5→4



 「カードを一枚伏せ、ターンエンド」



 アスタロト   墓地 0

         山札 25

         手札 5

        ライフ 7

フィールドの待機カード 1 (0)

   フィールドカード 2



 木間伊月    墓地 1

         山札 22

         手札 11

        ライフ 4

フィールドの待機カード 1 (0)

   フィールドカード 1



 そしてわたしのターンに入った。



 木間伊月    墓地 1

         山札 22

         手札 10

        ライフ 5

フィールドの待機カード 1 (1)

   フィールドカード 1



 「ドロー。くっ!エリートクローン兵士を召喚! ターンエンド」



  木間伊月    墓地 1

         山札 22

         手札 10

        ライフ 5

フィールドの待機カード 0

   フィールドカード 2



 わたしは勝つことができないので、とりあえず、防御を選択する。他は特に何も行動せず、ターンエンドを宣告した。



 パニックカードのターンだ。前のパニックカードで召喚されたクリーチャーサルガタナスがアスタロトのライフを攻撃しようとする。



 「契約に縛られたメロディーガールでブロック」



 鎖が首輪を引っ張り、強制的に動かされメロディガールは凄惨に破壊された。



 「あはははははははは!妾の趣味はいいと思わないか?おおっ!妾の中の宿主も騒いでる。やはりこれこそ、この瞬間こそ、最高にすばらしいと思わない?あはははははははははははは」



 その光景を見て札花は絶望する。



 「わたしのせいだ。わたしのせいで・・・、わたしがあんなことしなければ・・・」



 札花は自分自身を戒める。その様子を見てアスタロトも調子にのって煽りだす。



 「全てお前のせいだ。東山札花、全てはうぬが弱いのが、原因だ。弱ければ奪われる。当然だろう?それに原因を作ったのはうぬだ。違わぬであろう?」



 「いや・・・わたしは・・・」



 札花はその言葉に動揺する。



 (いったい何があると言うんだ)



 わたしはそう疑問に思うがアスタロトが語ってくれた。



 「うぬの記憶は妾は読みっとったから知っているぞ? うぬは母親が死んだことに自責の念を覚えているだろう」



 「!?」



 その言葉を聞いて札花はビクンッと跳ねると動揺しだす。そしてアスタロトは話を続ける。



 「うぬは母に花を頼んだ。そして出かけていった。その日は父親の誕生日だったか?」



 「もうやめて!」



 札花はその言葉にうずくまるようにして背く。



 「次に会った母はもう冷たかった」



 「いやっ!」



 札花は耳を塞ぐ。その言葉一つ一つが札花のトラウマを刺激した。



・・・



 場面は病院にうつる。



 「手を尽くしましたが・・・」



 それを聞き泣き崩れる父親。そしてまだ幼く、物心もついていない札音と一緒に札花もいる。札花は父親に尋ねる。



 「お父さん・・・「嘘だろ? なあ! 嘘って言ってくれよ! おい!」」



 そのあと父親は医師に殴りかかろうとし警察に連行された。



 ・・・



 「母親の死んだ場所は花屋だったよね。花屋に突っ込んだ車に巻き込まれてそのまま。あれ? でも花屋に行かなければ母親は死ななかったのではないか?」



 札花はそれから出来事がフラッシュバックしていく。



・・・



 母親が死んでから、父親は徐々に荒れ果てていった。酒に溺れて、ギャンブルにも・・・。借金もここでのものだ。



 「クズが! なんでお前たちが残るんだよ!」



 わたしは札音を庇う。身体中傷だらけでも構わない。だってわたしが悪いんだもん。母さんが死んだのだって、わたしが花を買ったらいいって提案しなければ。それに母さんが死ななければ、お父さんだってきっと・・・。



 「えーん」



 そして札音は雰囲気を感知して泣き出す。



 「うるせえんだよ!」



 わたしはその暴力を必死に肩代わりした。だって全てわたしが悪いんだから。



・・・



 「全てはお前から、そう、お前から全てが始まったのだ。お前のせいだ。お前が生きているからだ。死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」



 ニタニタの笑いながら呪文のように吐き捨てる様は不気味さを際立たせる。そしてそのトラウマは札花のメンタルはボロボロと崩れ落ちる音が聞こえそうなほど限界へと達せさせた。



 空中にぶら下がる一本のロープがそこにはあった。アスタロトはそのロープへ札花を誘っていく。



 「死んで償えば?」



 アスタロトはニタニタと笑みが溢れ出ていた。その笑みは邪悪で悪意に満ちていた。ただその殺意を隠した笑みの真意は札花には伝わらない。ただ導かれるままいくようにロープに手をかけていた。



 (自分で殺すことができないなら自分からと言うことか!?)



 わたしはそれを察知し走り出した。



 「もう・・・これで札音にもお母さんにもお父さんにも償え・・・」



 そうしてロープをかけようとした瞬間、わたしは札花にタックルをかましてそれを阻止する。



 「くそっ」



 アスタロトは阻止されたことに悔しがる。隙があれば別の策をうたれるとは・・・。全く油断ならない。



 「離してっ! わたしは死ななくちゃならないの!」



 札花はわたしの拘束を振り解こうとするが、わたしは説得を試みる。



 「札花さん! 聞こえるか? 話を聞いたが、札花さんが気を負う話では・・・」



 「いや! わたしのせいなの! 全部わたしのせいで・・・」



 駄目だ。やはりトラウマとなると根深いな。部外者のわたしでは根本的な解決はすぐとはいかないか。ならば、逆に利用させてもらうまで。



 「札花さん。ならば! 本当に罪を、償うなら! それは死ぬことではない! 札音はそんなこと望んでいない。それに生きてこその贖罪だ」



わたしの説得にアスタロトは被せてくる。



 「聞くな! うぬの罪は生きることの贖罪では到底償えぬ。死こそが贖罪に相応しい」



 その声を聞いて札花は抵抗を少し強めるがわたしはさらに説得をする。札花さんには話が通じる。これならいける!



 「札花さん。思い出せ。札音との生活を! そして札音は今、得体の知れない者に身体を乗っ取られている。償うとかはまずは札音を助けてからだ。どうやら札音はやつの中で生きてるからな。それに札音は絶対に札花さんのせいだなんて思ってないよ。札音と本音で話し合ってそれでまた決めればいい」



 わたしの言葉に札花は反応する。



 「札音はまだ、助かるの?」



 「ああ、わたしたちが諦めない限り」



 その言葉を聞いた瞬間、札花は憑き物が落ちたように涙をこぼしていた。



 「お願い! 札音をどうが」



 言葉が涙でぐちゃぐちゃになり呂律もめちゃくちゃになりながらもわたしに思いを託す。



 「あーあ、あともうちょっとだったのに」



 アスタロトはつまらなそうにしていた。そしてこの場面を断ち切るように盤面に戻った。アスタロトのターンに入った。



 「温まってきたがそろそろフィナーレだよ。それにもう託されてもこの勝負はもう勝てないでしょ?」



 そう言うがアスタロトの言っていることは正しかった。託されたがもう勝つことは難しい盤面まで来ている。ただわたしが勝つが託すことだとは言っていない。



 「わたしは託された想いをまた他の者に託すとするよ」



 「ふっ! 痩せ我慢か? うぬが一番強いことは分かっている。 それも圧倒的にな。うぬさえ倒せば、妾に敵う可能性となるものはもう存在しない!」



そしてある事象カードを場に出す。



 事象カード

 名前 不平等契約

 この呪文を使用したターン自分以外のフィールドにある表向きのクリーチャーは全て自分のカードとしてカウントする。 (自分カードとしてカウントするだけで操作はできない)



 アスタロトは言う。



 「知ってる?悪魔とは契約を重んじる生き物。そしてそれと同時に契約の中でどれだけ悪知恵を働かせるか考える生き物なんだよ。地獄の支配者たる妾の悪知恵をとくとみるがいい」




 テキストの内容的に勝手に契約を結ばされているがそれはどうなのだろうか。わたしは色々と考えているとアスタロトが動く。




 「妾はグラシャ=ラボラスと裏返していたウァレフォルを召喚」



 クリーチャーカード

 名前 グラシャ=ラボラス

 種族 悪魔

 攻撃 1500

 防御 1000

 召喚コスト 0

 このクリーチャーの攻撃は防御されない。



 クリーチャーカード

 名前 ウァレフォル

 種族 悪魔

 攻撃 1700

 防御 2000

 召喚コスト 1

 このクリーチャーがフィールドに出たとき相手の手札を一枚選ぶ。相手は選ばれたカードを墓地に送る。このクリーチャーは一回の攻撃でライフを2つ攻撃できる。



 アスタロト   墓地 1

         山札 24

         手札 4

        ライフ 7

フィールドの待機カード 0

   フィールドカード 4



 新しく召喚されたウァレフォルにはライオンの頭にガチョウの脚、兎のしっぽなどチグハグについていた。わたしはウァレフォルの効果でアスタロトが選んだ、装備カード実験失敗薬品を墓地に送る。そして最後にアスタロトは切り札を繰り出す。、


 「そして妾は不平等契約により妾のクリーチャーと判定された三体、サルガタナス、クローン兵士、ビッグアメーバを生贄に地獄支配者アスタロトを召喚」



わたしのクリーチャー二体はわたしの墓地に送られてわたしのフィールドには何もなくなる。そしてアスタロトが解き放たれた。



 クリーチャーカード

 名前 地獄支配者アスタロト

 種族 悪魔

 攻撃 20000

 防御 19000

 召喚コスト 6

 このクリーチャーはこのターンフィールドにある自分のクリーチャーを破壊した数×2召喚コストが少なくなる

このクリーチャーは一回の攻撃でライフを3つ攻撃できる。このカードがある限り、自分のカード以外のカードの効果で自身のクリーチャーを効果対象にすることはできない。



  木間伊月    墓地 1

         山札 22

         手札 10

        ライフ 5

フィールドの待機カード 0

   フィールドカード 2→0



 容貌はさながら黒い翼を持った堕天使と言ったところか。



 アスタロトはそのまま攻めに転ずる。



 「妾のフィールドには四体のクリーチャー、対してうぬのフィールドには何もない。このまま行かせてもらう!」



 「グラシャ=ラボラス」



 木間伊月 ライフ 4→3



 「さらにグラシャ=ラボラス」



 木間伊月 ライフ 3→2



 「ウァレフォル」



 木間伊月 ライフ 2→0



 ライフがゼロになるとアスタロトはわたしの前までくる。そして宣告する。



 「これで終わりだ」



 その直後一人がわたしとアスタロトの前に割り込む。そこには札花の姿があった。札花がわたしの前に立つとアスタロトは強い口調で札花に言う。



 「そこをどけ!」



 アスタロトが言うが札花はどかない。



 「これ以上踏み込んだらダメ!札音!もう戻ってきて!」



 それを言った直後札花の言葉が聞いたのか、アスタロトは苦しみだした。アスタロトは首元を抑える。



 「うっ!妾、妾、わら僕の中から出ていけ!」



 「札音!」



 札花は叫ぶ。



 「妾の中の宿主が暴れている!?」



 その反応に札花はさらに声を上げる。



 「札音!そんなやつに負けるな!」



 札花の声が響き渡る。そしてアスタロトに変化が・・・



 「僕の中から出ていけ・・・

















 なんてね。茶番は面白かったかな?」



 「茶番!?」



 その言葉に札花は驚く。



 「全く。妾がなんか苦しんだ演技したら本気で信じちゃって、ほんとにそんなことが起こるとでも思った?順序を間違えなくちゃこんなヘマしないよ。あはははははは!やっぱり愚かだね。妾の演技にまんまと乗せられてさぁ!ずっと妾を応援してたんだよ?ねぇ。今どんな気持ち?そうだよね。わかるよ。惨めだよね〜。仮にも何年も一緒にいたはずの妹と妾の区別がつかないなんて可哀想だな〜」



 「ちがっ!ただわたしは・・・」



 その瞬間アスタロトは衝撃波を飛ばす。



 「殺すのは出来ないけど、どこまでなら大丈夫かはあるみたいだね。衝撃波で飛ばすくらいだとまだ大丈夫かな。さてと・・・」



 アスタロトはわたしの方にせりよる。



 「これで本当に終わりだ。さようなら、先生」



 そうしてわたしの終わりが近づいてくる。だが、その思惑をうまくいかせはしない。



 「札音に人を殺させはしない!」



 わたしはそう言うと自分自身を貫いた。



 「何!?」



 わたしの奇行にアスタロトは驚く。



 「何のつもりだ」



 アスタロトには何故自死を選んだのか理解できないらしい。それにわたしは答える。



 「わたしは・・・自ら死を選んだのだ。だから、札音はわたしの死とは関係ない。わたしを手にかけてなんかもない。ただ、ちょうど死にたくなっただけだ。・・・だから気に負う必要はどこにも必要はない。・・・大丈夫だ。霊太と龍太郎なら・・・きっとやり遂げてくれる。わたしの自慢の弟子だ。心配・・・する・・・な・・・」



 木間伊月 0→death



 わたしは死んだ。アスタロトの中で抗っているであろう札音に言葉を残して。

カード図鑑⑤


 パニックカード (クリーチャーカード)

 名前 サルガタナス

 種族 悪魔

 攻撃 9000

 防御 7500

 このカードはプレイヤーが使うことはできない。

 このクリーチャーがフィールドに召喚されたとき、先行と後行の順番を入れ替える。このクリーチャーは先行のプレイヤーから交互にプレイヤーのストックを攻撃する。このクリーチャーはブロックされない。



パニックカードはルール上後行が不利になることが多いので後行に有利なものが多い。 (もし、パニックカードによってフィールドの守りが無くなったときに不利だから)

 なお、このカードで先行と後行の位置が変わっても、カード効果上の先行と後行は変わらない。

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