勇者と夜街
日向迅視点
オレとフェリシアは宿屋の少女のあとをつけていた。
「どこにいっているんだ?」
オレとフェリシアは現在フードを被って顔を隠している。完全に不審者だが夜なこともあって闇に紛れている。宿屋の少女は角を右に曲がる。
「この先はっ」
フェリシアは何か思い当たる節があるようだ。オレたちはさらに進むと何か賑やかな声が聞こえてくる。オレたちもバレないように後をついていくと獣人たちがたくさんいる場所にたどり着いた。
「これは・・・夜街か」
「夜街?なんだ?」
オレはフェリシアに夜街が何か聞いてみた。
「ジン、獣人というのは動物の特徴を持っているというのは聞いているだろう?」
「まあ、そうだな」
「この夜街はまさにその、習性的に夜を好む者たちの集う場所のことを言うんだよ」
つまり夜行性の街ってことか。オレは周囲を見渡して見る。狼、蝙蝠、狸など様々な夜行性の獣人が集まっている。
「昼とは大違いな賑わいようだな」
そうこうしているうちに宿屋の少女は遠くなっていく。
「いいか、ジン。平然を装うんだ。相手に隙を見せるとつけ込まれるぞ」
そう言うとオレの手を取り夜街を平然と歩き出した。
「おおっ」
「いいか?今から夜街について説明する。この内容はウィンドエリアを駆使してジンだけに聞こえるようにしているのでジンは喋るな。夜街の者は耳の良いものが多い」
オレは黙ってそれに了承した。
「夜街は夜行性の街と同時に風俗街の面もある」
それって宿屋の少女が一人でいて大丈夫なのか?まわりを見ると獣人がこちらを見ていた。オレは小声でフェリシアに伝える。
「おい! なんか獣人が見てるぞ」
「だから、喋るなと! いや、後をつけてきてるな。もう避けられなそうだ」
フェリシアがそう言ったように獣人が後をつけてきていた。
「おい、それがどうしたんだ?」
獣人はオレの肩を掴んできた。どうやらオレの会話が聞こえていたようだ。
「女を連れてるじゃねえか」
獣人の男はニヤニヤと笑いだす。するとフェリシアが予想外の行動に出る。
「ちょっと、ジン、もういくよ!」
フェリシアは突然腕を絡めると恋人繋ぎをしてくる。そしてそのまま立ち去ろうとした。
「おい! 待て!」
「っ!」
「っ!?」
フェリシアは肩を触れられた後、その獣人に振り向くと殺気を飛ばす。
「お、おう、これくらいで勘弁してやるよ」
そう言うと獣人は去っていった。
「ジン! いくよ?」
フェリシアはオレに腕を絡めて恋人繋ぎをしたままだ。
「この場を凌ぐ演技だ。許せ」
フェリシアから話が届くが長くやっていると心臓が持たない気がする。そうしてオレはドキドキしながら夜街を歩いた。
・・・
「宿屋の少女はこの建物に入っていったのだな」
そこでオレたちと追跡を阻むものに出くわす。
「入り口に警備・・・正面突破は無理そうだ」
オレたちは裏に何かないかと裏手に回る。
「あそこから入れそうじゃないか?」
オレは2階にある窓が開いているのを発見する。
「そこからなら入れそうだが、どうやって入るか・・・」
オレはそう考えているとフェリシアが突然準備運動を始め、その後オレをお姫様抱っこする。
「少し揺れる」
そう言うとフェリシアは空中への一歩を踏み出した。
『スカイウォーク』
『スカイウォーク』
空気の足場を踏んでいき窓から侵入に成功した。
ダンジョンの遺物⑨
名前 操剣ポルターガイスト
分類 魔剣
めちゃくちゃ貴重な剣。カラクが集めた剣コレクションの一つ。使用者の意思によって剣が浮遊し、自在に操作も可能。操作は難しいが慣れれば常に二体一に持ち込める。出し得の武器。




