勇者は準備期間
日向迅視点
「オレは少し出かけてくるから」
オレはそういうと部屋を出る。変わらず少女はカウンターに座っていてヨボヨボの爺さんもカウンターでお茶を飲んでいる。
「あの! 聞きたいことが・・・」
オレは少女に鍛冶屋について聞いてみる。
「それなら、クラフの鍛冶屋がおすすめですよ」
少女はここから鍛冶屋へ行く道を教えてくれる。
「ありがとう」
「いえ、それとヒューマンは最近は珍しいので行く時は気をつけてくださいね?」
そうしてオレは宿の外に出る。
オレは道順通りに進むと鍛冶屋が見えてきた。
「ここが鍛冶屋か・・・」
オレは中に入っているとドワーフが中にいた。ファングロアでは初めての獣人じゃない人だ。
「客か。それとも強盗か?」
「客だよ」
「ならよかった。強盗と答えたらぶん殴ってるとこだったよ」
「ここに来てから前にもそんな返しがあった気がするんだが流行りか何かか?」
オレはドワーフのおっさんに聞いてみる。
「いや? ただ生きづらい街ってことだ。客なんだろ何かして欲しいことがあるんじゃないか?」
ドワーフのおっさんはオレに向かって問いかけてくる。その言葉はどこか冷たい雰囲気だった。
「剣が今状態が酷くてな。見てもらえないか?」
オレはそう言って守護の剣を取り出す。
「これっ! 守護の剣じゃないか! どうしたら守護の剣がこんな状態になるんだ?」
「少々強敵と戦って無理させてな。それに海水に浸ってトドメを刺されたってところだ」
「これは酷いな・・・それに海水に使ってからも使い続けてただろ。おそらく今の今まで剣としての機能を保ててたのは守護の剣だったからだろう。他の剣だったら使い物になってないだろうよ」
ドワーフのおっさんはオレの剣をジロジロと見て口を半開きにする。
「なるべく早くできないか? できれば二日で」
「二日! 剣をこんな状況になるまで放っておいて二日で何とかしろだと? まったく・・・この酷さだと時間がかかると思うが・・・そうだな、そんなに言うなら銀貨五枚は払ってもらうぞ」
「特別価格ってことか」
オレはが考えるとそれを了承する。
「それで頼む」
オレは守護の剣をテーブルに置いた。
「はいよ。二日後の朝に取りにきな」
オレはドワーフのおっさんに守護の剣を預けた後、店を出る。
気分的にもどこか寄る気にはなれなかったのでオレはそれから特にどこにもよることなく宿屋に帰っていった。
・・・
「おかえりなさい」
周囲が薄暗くなってきた。どうやらもう夜が近いようだ。宿屋に着くとカウンターから少女が出迎えてくれる。
「ただいまでいいのか?」
オレはそれから少女と何気ない会話をした後、部屋に戻る。
「ただいま」
オレが部屋に入るとそこには何か食べている二人の姿があった。
「何を食べているんだ?」
フォルトゥナがこちらを振り返ると頬がパンパンに膨れていた。
「ジンもたびゆ」
フォルトゥナは口に含みながらオレに向かって棒に刺さった何かを渡す。
「なんだこれ? 芋?」
それにはぶつ切りに切られた蒸し芋が串に刺さっているような形状だった。
(食ってみるか)
そうしてオレも食べてみるとやっぱり芋だった。それも焼き芋みたいに甘くない芋だ。オレが食べているうちにフォルトゥナの口の中身が無くなったのか喋り出す。
「食べ方が違うよ。もっと一口を大きくしないと」
オレは試しで食べたので一口は小さかったがそれは本来の食べ方じゃないってことか。
「球体みたいになっているところをまとめて口に入れるの」
串に刺さっている芋は二対で一つの球体のように重なったやつが三つあって串刺しになっていることででかい三色団子のようだ。
一つの球体となる部分はそれなりにでかく食べるのは一苦労だ。
(だからフォルトゥナはあんなに頬が膨れていたのか)
オレはフォルトゥナに教わったやり方で口にしてみる。
「・・・っ!?」
そうしてオレはしばらく大量の芋を口の中で踊らせていると口の中に変化が現れる。
(これは・・・味わい草か)
味わい草の味がする。どこにでもあり、地域ごとに個体差がある味わい草だがこれは今までの味わい草よりは優しい味だった。オレは口の中の食べ物を胃の中に流し込む。
「でも味わい草なんてどこから」
表面を見る限りただの芋だ。そして最初に齧ったときも芋だった。
「もしかして中に味わい草が?」
芋の下半球と上半球を串で融合することで球体のくり抜いた中心に味わい草をいれ旨味を閉じ込めるのか・・・。オレはその構造を見て感嘆する。そしてその球体ごと口の中に入れることで旨味が口の中で解放される・・・何とも合理的な食べ方だ。
「ジンが好きな味わい草が入ってたでしょ?」
「面白い料理だな」
「どうしたら安くおいしく食べれるかって考えた結果できたらしいよ。最近流行り始めたんだって」
確かに芋に比較的広く分布している味わい草できているからな。味わい草がちょうどいい調味料となっていていい塩梅だ。
フェリシアは無言で食べ物を貪っている。
「案外腹持ちがいいな」
フェリシアは頬がしぼみ喋りだす。どうやら食べ終わったようだ。
「さて、作戦会議を始めるとするか『ウィンドエリア』」
そして今日の話合いが始まった。
・・・
「今日はこれくらいにしておこう」
それからしばらく経ってオレたちの会議は終了する。今回話されたことは領主についてだった。聞き込みを行ったところ、どうやらクーデター前と領主は同じだったようで作戦は実行に移せそうだった。それ以外の話も行い。ドラゴンズチルドレンのことやアナシスのことなど慎重に話し合っていった。オレたちはそこから明日に備え就寝に入るがそこで問題が発生する。
「オレ、同じ部屋だけどいいのか?」
「別にどうにかなるわけじゃないしいいでしょ?」
「いや、危機感とかないのかって話だよ」
オレはヘタレなのでどしたん? 話聞こか? なメンタルは発動できない。
「本人にその自覚があるなら大丈夫じゃない?」
フォルトゥナはどうやら問題なさそうだ。
「別に襲われたら斬り殺せばいいだけだ」
フェリシアの方も物騒だが大丈夫そうだった。
「端で寝るか」
オレは誰にも邪魔にならないように眠るのだった。
・・・
オレは寝ていると突然目が覚めた。
「ギシッ!」
(誰かが動いてる?)
オレはその音で起き上がると誰かがこちらに向かってくるのがわかった。
「誰・・・」
「しっ! 静かに」
オレは口を抑えられる。そこにいたのはフェリシアだった。だが、結構寝てから経つがどうして起きているのだろうか。
『ウィンドエリア』
「これでいいだろう」
フェリシアはウィンドエリアを展開した後オレの口を抑えるのをやめるとそのままオレの手を引く。フェリシアはそのままことの経緯の説明に入った。
「宿屋の少女に動きがあった」
「何?」
フェリシアから唐突に告げられる。
「この時間に?」
「ああ。もしかしたらわたしの正体の告げ口をする可能性があるからな。時間がない、追跡をするぞ」
そうしてフェリシアとオレの二人による尾行が始まった。
ダンジョンの遺物⑧
名前 魔法戦技4
分類:娯楽品
兵を動かして戦う戦略的ボードゲーム。魔法により臨場感が加わり名勝負にはドラマが生まれる。君は生き残ることはできるか。シリーズ第四作目。




