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5.悪役令嬢はいなくなる②

アリシア・ローデンブルクが失踪した翌々日、世間を騒がせる手記が新聞の一面に載せられていた。其は失踪した令嬢が失踪前に新聞社に宛てた手記であった。

本来なら断罪された令嬢の言い訳みたいな手記など載せる事はしない。アリシアも半分諦めて送ったようなものであった。

だが、アリシアが失踪したことで話が変わった。

今を騒がせる失踪した令嬢の手記だ。これ程のスクープはないと新聞一面に大きく失踪した令嬢の真実と称して彼女の手記が載せられていた。手記の内容はこのような感じであった。


『私、アリシア・ローデンブルクはパーティー会場にてハミルトン第一王子から断罪をされることでしょう。

先ずは私ごときが世間を騒がせる事となり申し訳ございません。ですが、全て私が悪しと裁かれる事に納得がいかず今回手記と言う形で皆様に知って頂こうと思いました。

断罪の1つ、彼女を階段から突き落としたと言う内容ですが彼女とぶつかり彼女が階段から落ちたのは事実でありますが突き落としたりはしておりません。私は手を差し伸べようとしたのですが間に合いませんでした。

次に彼女のドレスにワインを掛けたとはありますが、これも私が彼女に苦言を申している際に給人がワインを持ってきたのでワインを掴もうとしたところ後ろから誰かに押され彼女にワインを掛けてしまいましたのでこれも事実でありますが態とではありません。その証拠に彼女にはドレス代の弁償をしております。

ですが残りの二つである彼女の私物を壊した事と彼女を叩いた事は事実であり、この二つは故意によるものでございます。この故意により前の二つも偶然から必然へと変わり私の断罪は厳しいものとなるのでしょう。

ですが、私は無実を述べたいのではありません。私は自身の罪を認めております。認めている上で言いたいのです。私だけが悪いのでしょうか?

婚約者と言う者がいる事を知りながら一線を越える二人は悪くないのでしょうか?私が王妃教育をしているとき二人は王家の保養地で男女の関係を結ばれました。私が外交の準備をしている時に生徒会で二人は楽しんでおりました。婚約者よりも先に夜の営みを行い昼間も愛し合う二人を見て嫉妬しては行けないのでしょうか?

二人は知らないのです。二人が夜も共にしている事を私が知っている事を。だから苦言を言う度に「生徒会の打合せだ」と見え透いた嘘が着けるのです。

私の嫉妬が罪と言うならば断罪を受けましょう。ですが、二人が全く罪がないと言うのは納得いきません。ですので、ここに私の本当の言葉を残したいと思います。アリシア・ローデンブルクより』


この手記により世間は朝から大騒ぎであった。

アリシア・ローデンブルクの婚約者は第一王子ハミルトンであることは誰でも知る事実であった。

ここに書かれている事が正しければアリシア令嬢よりもハミルトン王子の方が悪い事が解る。


この手記により民や貴族の婦人達が怒りを露にしていた。また、パーティー会場に残されたアリシアの手紙らしきものに書かれていた『好色王子』と言う言葉が記事内容に書かれていたため世間からも好色王子と呼ばれるようになった。

ただ王家もこのまま黙りを決める事は出来ない。

何らかの返答をしなければ行けなかった。


─ 王の間 ─


新聞の記事が掲載後、直ぐに王室にに第一王子ハミルトンを始め王家の者が集まった。


「息子よ呼び出された理由は解っておるな?」


ハミルトンは元気ない返事を返すが父であるガルディア王はハミルトンに冷たい視線のままであった。


「お前はアリシア令嬢に非があるように述べていたが、ここに書かれているが真実だとすると非があるのはお前のように思えるのだが?」


父上の目は父親としてではなく国王として問い掛けていることが解った。なぜ、私が罪人扱いされているのかとハミルトンは理解が出来ないでいた。


「これはアレの言い訳でございます。アレは往生際悪く己の罪を逃れようとしているのでございます」


「その証拠は?」


「はい?」


「アリシア令嬢が罪を逃れようとしている証拠はあるのかと聞いているのだ」


「アレが行った罪の証拠ならございます」


「では、あの手記を否定出来る証拠はないのだな?」


「・・・はい」

 

確かに階段転落事件はその場にアリシアがいた証明は出来るが実際に押したと言う証言はない。また、ワインの事件も故意がないと言われれば其を否定する根拠はなかった。そして私とリーファの関係だが何時アリシアにばれてしまったのだろうか・・・


「では、どちらの言い分が正しいとは言えず。アリシア令嬢を裁く事は出来ない。アリシア令嬢は公爵家の令嬢だ。公爵家の令嬢を簡単に裁ける事は出来ない事はお前も知っているな?」


「ですが、アレは公爵から除籍されるはずでした」


「それは、此度の断罪があってこそであろう。順番が違うと思うが?」


「・・・はい。」


「それで男爵令嬢との関係はアリシア令嬢が書かれた通りなのか?」


「それは・・・」


「ハミルトンよ。ここが一番大事なところだ。次の議会で確実に問われる事になるだろう。間違えるでないぞ!男爵令嬢と一線を越えたのか?」


「リ、リーファとは生徒会の関係でそれ以上はございません」


「ですが兄上、学園の生徒会室の使用書を調べましたらその日確かに使用されていたようでした。そしてその日は兄上と件の令嬢の二人だけだったようですが?」


「それはリーファと一緒に生徒会の仕事をしていただけでアレが誤解をしているだけだ」


「では保養地ですが、確かに兄上は保養地に数日行かれていた時がありましたよね?調べましたら件の令嬢も馬車の迎えが来て何処かに出掛けていたようです。帰りは兄上と同じ日だったようですよ」


「それは・・・」


「もう良い。アズベルトとよこれ以上の詮索はするでない。ハミルトンも黙っておれ。後日にナイル医師にてその令嬢が純潔であるか調査する」


「そんな、そこまでする必要は・・・」


「必要はあるであろう。男爵令嬢が純潔であれはアリシアの手記は全面的に否定出来るのだからな」


「リ、リーファが純潔出なくても、其は私と関係を持った事にはなりません」


「お主はそのような尻軽女をパーティーでエスコートしたのか?」


「それは・・・」


「それと先程から件の男爵令嬢は名前で呼ぶも婚約者のアリシア令嬢に対しては『アレ』と一貫して名前で呼ばないのだな。これは学園内でも同様であった事は調査済みだ。アリシア令嬢の言う通り一線を通り越したかどうかは解らないがお主の心は既に婚約者から件の令嬢に移り変わった事は理解した。もう良い、結果が出るまで外出は禁止とする」


私が王の間から出ようとした時、父から『こんな愚息とは思わなかった』と言う呟きが聞こえた。

私が愚息!?

私の何がいけなかったのであろうか!?


後日、ナイル医師によりリーファの純潔の調査を行った。リーファはかなり抵抗したが、王家の騎士に囲まれ従うしかなかった。

結果は『純潔であらず』であった。

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