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第41話 決着

新佐が操る反発がなければあっという間に決着が着いていただろう。

 間合いを詰められる度に反発の力でギリギリかわし、爆壊の拳や蹴りが空を切る。

 玄になる前は反発の力で爆壊も吹っ飛んでいたが、今や何の影響もないように詰めてくる。


 新佐は逃げながら砂を抉って爆壊に投げつけた。

 それは砂鉄の塊となり爆壊にドコンッとぶつかると、更に砂鉄の繭となって爆壊を包みこんだ。

 しかし、一瞬たりとも動きを止めることが出来ず、ぶち破ってくる。


「鬼ごっこもお終いにしようか」


 爆壊はさっき飛び回った時と同様に爆発を起こして加速を付けた。


 玄での加速は凄まじいものだった。


 新佐が反発で逃げる間もなく爆壊の拳が振り抜かれる。一度ダメージを受けた脇腹だ。


 ドバンッ!!


 物凄い音と共に新佐が爆発しながら吹っ飛び、岩に激突してズルっと崩れ落ちた。

 寸前でガードした左腕はもげ、胴体はほとんどちぎれてしまっている。

 2度にわたる致命傷のダメージ受け、自己再生は遅く回復しても最早戦えないだろう。


 息も絶え絶えの新佐は残った右手を爆壊に向けた。


 爆壊もトドメを刺すために近づいて手の平を向けた。


「何だ? 回復するまで待ってほしいのか? それはできないな。

 危険なお前はここで終わりだ………」


「がふっ…… あ… ああ、終わりだな………」


 死を意識させる殺気が張り詰めた。


 爆発がくる。


 新佐は爆壊に向けたブルブル震える手をギュッと握りしめた。


 すると突然、爆壊がうめき声を出しながらガクンっと膝をついた。


「ぐぬぬぅーー……… こ…これは……… 地面に捻じ伏せられるような感覚。磁力か!?」


 更に新佐が握りしめた拳に力を込め、最後の力を振り絞って地面に振り下ろすと、何かが物凄いスピードで飛んでくるキィーンッという音が辺りの上空一面から聞こえてきた。


 空を仰いだ爆壊の目に映ったのは、空を覆い尽くすほどの槍だった。

 それが全て爆壊めがけて降り注いでくる。


 ザザザザンッザザンッ!!


 爆壊は磁力に抑えつけられながらもなんとか飛び退いてかわす。しかし、無数の槍は尽きることなく爆壊を襲い続ける。


 ザザザンッザザザザザンッ!!


「一番初めに放ったサンドウォール……… あれは俺の最強の技なのさ。

 相手の動きを封じ、そして遥か上空には気付かれずに砂鉄の槍を大量に仕込む。この槍は何でも貫く。時間をかけて特別硬く結合させるからな。

 更に広範囲の地面にも磁場を利用した磁石を作ってダメ押しの引力。

 これでダメならあんたの勝ちだよ………」


 爆壊は槍をかわしながら大量の小型爆弾を空に発射した。

 ドゴゴゴゴンッと物凄い音を発しながら槍を迎撃するが、遂に槍が爆壊の足に刺さった。

 身動き出来ず避けられない。

 小型爆弾の迎撃だけで凌ぎ切れるのか。


「おおおーーーっ!」


 ドゴゴゴンッ! ドゴンッ!!


 爆壊の底力は凄まじく、大量にあった槍もあっという間に数える程度になってしまった。


「クソッ…… なんて奴だ… これでもダメなのか………」


 新佐が諦めかけたその時、


 ザンッ! 


 爆発を掻い潜って一本の槍が遂に爆壊の分厚い胸の装甲を上から貫いた。

 爆壊は苦悶の表情で片膝を落とす。


「ガフッ… お前、玄でもないのに、たいしたやつだよ… 終わりだな………」


 迎撃が途切れた。

 途端に残っていた槍が爆壊を貫く。


 ザザンッザザザザザザンッ!!


 全ての槍が放たれ、爆壊は砂埃に包まれた。


 ………少しづつ砂埃が晴れる。


 現れたのは、いくつもの槍に貫かれてもなお倒れていない爆壊だった。


 しかし、赤く光っていた目は元に戻りリミットしてしまったことを意味し、もはや戦う以前に自己回復もほぼ機能していない様子だった。


 なんとか動けるようになった新佐は、ガンマチップを破壊する為の小型電磁パルスを握りしめながらよろよろと爆壊に近づいていく。


「…お前の勝ちだ……… とどめを刺せ……」


「ああ、あんたをガンマの悪夢から解放してやるよ………」


 新佐が爆壊のこめかみに手を近づけると、小型電磁パルスがパチンッと音を立てて光った。


 すると、それまで新佐を見据えていた爆壊の視線がゆっくりと遠くに流れていった………



 


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