第35話 戦う理由
今回は少し短めでした。
遂に氷雨を倒したダイス達!!
現れた炎怒とは!?
………その沈黙を破りゆらりと立ち上がったのは氷雨だった。
生命線でもあるチップが破壊されれば脳波制御が不十分となりデバイスをコントロール出来ない。
すなわち動くこともままならないはずだ。
にもかかわらず、なおも立ち上がってくる。
もはや誰も抗うことはできなかった。
氷雨はダイスに近寄ると、凍りかけたダイスの肩にスッと手を置いた。
一秒もたずに凍結してしまうだろう。
全員が絶望を意識した。
………しかし凍ることはなかった。
「なぁダイス………お前は何故戦う?」
氷雨が口を開いた。
問いかけるその声は穏やかだった。
見上げたその表情からは先程までの凍てつくような殺気はなく、笑みすら浮かべているように見えた。
「俺達は世界がアーキノイドに支配されるのをくい止めたかった。
もう一度兄貴と一緒に釣りに行きたかった。
ああ……… 俺達は失敗したんだな………知りたくなかった………
ざまぁねぇ、まさかガンマに操られ新世代の障壁になっているとは……… 俺達が最も望まなかった世界………」
「記憶が………戻ったのか?」
「ああ、お前達のおかげだ。
ありがとな。
仲間達……すまねえことをした。
そこで固まってるネオメタルの女、凍る瞬間にネオメタルで身を守ってる。
いい判断だ。
今なら間に合うから助けてやれ。
ガンマチップが破壊されたことで、俺がやられたことは既に共有されちまった。
すぐに新手が来るから再生次第早くいけ」
「あんたは……… 氷雨はどうするんだ?」
「へへっ、ガンマチップを破壊された俺はほっといてもいずれ死ぬ。
まぁ、記憶を戻したからには、それより前に他のヤツが殺しに来るだろうけどな。
それと俺を殺さずガンマチップだけを破壊したってことはもう情報を掴んでいるんだろうが覚えておけ。
ガンマの居場所は鍵がかけられた空間の歪の中だ。そこへ辿り着くには鍵が必要なんだが、その鍵が俺達10人のオーバーズなんだ。
解錠方法は、殺さずにガンマチップを破壊すること。
殺してしまえばその時点でその鍵の発動は無効にされてしまい永遠に鍵は失われる。
一つでも欠けてはならない。
オーバーズを相手に、はっきり言って成功する可能性はゼロに近い。
そしてダイス。
お前はガンマに狙われている。
生死問わず捕獲しろとのことだ。その昔、ガンマを追い込んだエクスクルーダーの情報を持っていると考えているからな。
………俺達はこんな時代しか繋いでやれなかったが、刻々と変わる未来はお前達次第だ」
「ああ、狙われてるのは知ってる。俺もガンマに用があるからこっちからぶっ飛ばしに行くさっ!」
「ふふっ、威勢だけはいいな。だが、バリアマンとアーキノイド使いに比べてお前達は弱すぎる。
戦いを選ぶなら鍛えろ。
それもすぐにだ。
ナレッジという男を探すんだ。
どこかに身を潜めて生きているはずだ。そいつは………」
氷雨が突然話すのをやめ、鋭いが、どこか悲しそうな表情になった。
「どうしたんだ?」
「………」
すると、今までの凍りつくような寒さが一転し、息が詰まるほど急激に気温が上がりだした。
「まずい、炎が来た。今の名は………炎怒か……… 俺の兄貴だ」
スカイモービルで現れたのは、屈強な体躯と剥き出しに融合された赤黒いデバイス。
燃えるような赤い髪と目の男だった。
その目からは、何人たりとも生きて返すまじという意思が伝わってくるかのようだった。
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