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第18話 50年の眠りから目覚め

 −−−−−−−−


『何かが落ちてくる………

 空!? から白い何かが……

 このままだと当たる……俺に!? 

 あー、当たる、当たる………』


「うわっ!!」


 と叫びながらダイスは上半身をガバっと起こした。


「夢!? どこだ!? 俺は…… どうしたんだっけ………」


 ダイスが横になっている台の傍らに三匹の魚のようなロボットが浮遊していて、何やらゴチャゴチャ話をしている。


「あれ!? こいつ記憶ない感じか?」


「お前、頭ん中でミスったんじゃねーの?」


「いやいやお前が俺らの動き制御してんだからさ」


「とにかく、でかい声も出たし、元気そうで何よりじゃないか。

 細けーことはよしとしよーぜ」


「そーだな」


「そーしよう。

 朱里に連絡だ」


 どうやら自分のことを話しているらしい。

 ダイスが魚達に話しかけようとした時、天井からガコンという音と共に階段が現れ、髭面の大男と自分と同い年位の男女がドタドタと慌ただしく降りてきた。


「おーーーっ! 目ぇ覚めたか、調子はどーよダイス?」


 髭面の大声が響く。


『『ダイス』!? 俺のことか!? 

 この人たちは誰だろう……… 調子!? は悪くない…気がする………』


「俺はダイスって名前? 

 調子は…… お腹が空いてるくらい。

 あなた達は誰? 

 色んなことが上手く思い出せないんだ………」


「朱里さん失敗じゃないっすか? 

 記憶喪失らしいっすよ」


「んー、ほとんど死んでた様なもんだから大成功だろこれ! 

 記憶はそのうち戻ることに期待しよーじゃないの。なぁダイスっ! 

 俺は朱里だ。

 ここのパン屋の店主にしてお前の命の恩人だ。

 ウハハハハッ!」


「私はレイ。

 よろしくね。

 一時はどうなるかと思ったけど大丈夫そうね、良かった。

 何にも思い出せないの?」


「うーん……… ダメだ、空っぽの中を覗いてるみたいだよ」


「もともと空っぽなんじゃねーの?」


 いま一つ面白くなさそうなスマがからかった。


「やめなさいよスマ。

 感じ悪いわよ。

 気にしないでねダイス。

 いつもこんな感じよ。

 スマ、自己紹介くらいしたら?」


「ハイハイ、俺は堂寺須磨、スマな」


「まぁまぁ、とにかくだ、飯でも食いながら話そうや。

 スマっ、洋服貸してやれ! 

 スバルちゃん達の完璧な仕事のおかけで、もうしっかり動けるだろダイス。

 着替えたら上がってこいよ。

 スバルちゃん、ありがとな。

 もう休んでいーぞ」


「それじゃ、朝ご飯の準備しとくわね」


 朱里とレイはそう言うと上階に上がっていった。

 さっきの魚達が「お安い御用よ。」と言いながら壁の小さな格納庫に入っていく。

 髭面の朱里とほとんど同じ口調だった魚達はスバルちゃんというらしい。

 そして、不服そうなスマだけが残った。


「あのー…… 何かごめん………」


「いーよ、朱里さんはいつもあんな調子だしな。

 んーーー、とりあえずこれでも着ときな」


 −−−−−−−−


「で、シェフ。

 今日のブレックファーストの味付けは? って、お前何でダイスにコックコート着せてんだよ。

 つまらないぞっ! 

 全然つまらないっ! 

 センスなしっ!」


「センスとかじゃなくて、ダイスもここに置くならすぐ店の手伝いしますよね? 

 効率化っすよ、効率化」


「それにしたって……

 でも意外と似合ってるわね。

 うふふふ。」


「あー、言われてみればそうかもな、

 ウハッ、ウハハハハッ! 

 でももっ回着替えてこい」


 目が覚めたばかりで記憶もない。

 不安しかなかったが、この楽しそうなやり取りをする彼らと居ると不思議と落ち着いた。


「じゃあダイスよ、今何年だと思う?」


「んー、2050年?」


「ブーっ、今は2100年ピッタリよ。」


「ッ!?………」


「驚くのも無理ないわね。

 あなたは50年ポッドの中で眠ってたの」


「えっ、50年も!?」


『あーそうだ。

 お前が覚えてる世の中はまだ人間が沢山いる時代だったろ?」


「覚えてるかって、そりゃ人は沢山いたと思うけど………」


「何となくは昔の事を覚えてるんだな。

 残念ながら人間が闊歩していた時代は終わり、今はアーキノイド共の時代だ。

 丁度お前がポッドに入った後だろう、淘汰戦争と言われる人間対機械の戦争があった。

 それに人間は負けてほとんど殺されたんだ。

 生き残った人間もアーキノイドに支配されててな。と言っても徐々にその数は減ってきていて、いずれ人間は全滅させられる。

 そんな時代よ。

 だがな、強改造者の俺様はそんなことは許さねえ。親玉のガンマをぶっ倒して、また人間の時代を復興させてやるよ!」


 ダイスは静かに聞いていた。

 記憶がない分、衝撃的な話でも素直に受け入れられた。


「結構人間にとっちゃ瀬戸際な時代なんだね。

 でも朱里さんはどうやってアーキノイドと戦うの? 流石に機械に人間は敵わない気がする」


「だから俺は強改造者だって言ったろ? 

 強改造者とかノーマルズとか、そこら辺も覚えてないのか?」


「うん、覚えてない」


「あちゃー、記憶がないって厄介だな。

 あれだなレイ、どこまで何を覚えてるか分からんが、基本的な最近の知識を色々教えてやってくれねーか」


「いいわよ」


 レイは、淘汰戦争の事、今の時代の事、レイ達の事、色々な事をダイスに話した。


「ありがとう。

 世界は色んなことが変わったんだね。

 じゃあ俺の家族ももういないんだろうか………」


「…… タウラスに頼まれたのはあなただけだった……

 すぐにアーキノイドが攻めてきたから、なぜあなただけだったのか、しっかり経緯も聞けず仕舞いだったの。

 そこんとこ聞ければよかったのに、ごめんなさい………」


 ダイスは自分が空気を重くしてしまったことにハッとして声を明るくした。


「いやいやいや、レイ、君が謝る必要なんてこれっぽっちもないよ。

 助かっただけラッキーだよ俺はっ! 

 朱里さんが言ってたようにそのうち記憶も戻るだろうし、家族ももし生きてればいつか会えるさ、ま、俺以外みんなジジババかもだけど、うんっ!」


「朱里さんだけで間に合ってるってのに楽観主義者がまた一人誕生かよ。

 先が思いやられるぜ」


 スマも場を和ませるようにトゲのある冗談を言った。

 根はいい奴なのだ。


「そんな事言わずに仲良くしようよスマ!」


「とにかくだ、お前ら、特にダイスはガンマに間違いなく狙われちまってる。

 ひとまずはここを引き払って新しい場所でパン屋を再開するぞ。

 ダイス、お前はうちで雇ってやるからスマパイセンに色々教えてもらうんだぞ。

 スマパイセンはなぁ、今ではほぼ見ることのできない超レトロなレジの打ち方からパンの品出し、更には脳波の操り方まで何でも教えてくれるからな」


「ありがとうございます。

 でも起きたら俺も強改造者になってたなんて、世界の変化より結構そこが驚いたな。

 まぁ昔の自分も望んでたみたいだし、ちょっとスーパーヒーローみたいでカッコいーから結果オーライだけどね」


「おぅ、お前のアイロニックは使いこなせれば派手さはねーがかなり無敵仕様だぜ。

 しかしまずはリミッター解除もろくにできなかったら自分のことすら守れねーからな。

 頼んだぞスマっ、ウハハハッ!」


「マジっすか、脳波操るって、センスあるやつでもリミッター解除できるようになるまで最低一年はかかりますよね? 

 普通に無理っすよ」


「大丈夫、ダイスはできるはずだ」


「『できるはず』って、パパ何か知ってるの?」


「ウハハハっ!」


 朱里はレイの問いには答えずいつも通り不敵に笑っただけだった。


お待たせしました!!

18話目にして遂にダイス始動!

アイロニックの能力はいかに!!!

ちなみに、この時代、基本的に店での支払いは頭のチップでするから、お金を支払ったたりしませんか、朱里のパン屋では大昔の手打ちのレジにこだわっています。だからお客さんはお金を持ってこないといけないのですが、それでも朱里のパン屋は繁盛しています!


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