第1話 アーキノイド
初めて投稿します。本日中に6話を一挙に投稿しますので、是非、読んでいただけると嬉しいです。
読みづらい点など色々とあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
砂漠にある大きな町。
中心部は円形に大きく開けた砂地で、様々な店が輪を作るようにずらりと外周に立ち並んでいる。
しかし、どの店の扉も堅く閉じられ、人々は息を殺して外の様子を窺っている。
その視線の先には一人の少年がいた。
両腕はまるで金属のように光沢ある黒に染まっており、その眼は赤く、淡い光を放っている。
少年は全速力で砂地を駆けだした。
その先には2メートルはあろう人間!? によく似ているが人間ではない者が3体。
人間を支配している人型ロボット『アーキノイド』だ。
その内の1体が、足下でぐったりと倒れている二人の人間に、ブレイドと呼ばれる高電圧を帯びた長剣を振り下ろしている。
― ― ― 刹那、十数メートルの距離を少年は瞬きのうちに詰めた。
・・・ッ!?
速い!
人間が出せる速度ではなかった。
ブレイドが二人に届くより早く、少年は黒く染まった素手でブレイドを掴んだ。
凄まじい電撃が体を走ったがそのまま砕き、もう一方の黒い拳をそいつの顔面に直撃させた。
その頭は金属で出来ているにもかかわらず、「バンッ!」と激しい破裂音をたてて粉々に砕け散った。
と同時に斬撃音が鳴り響く。
ズバンッ!!
もう1体が少年を斜め上から切り裂いた。
少年はあっけなく肩から胴にかけて真っ二つ・・・
いや!? ・・・残像だ!
少年は紙一重でそれを交わしながら黒い拳に力を込め、相手の腰にアッパーカットを突き刺さした。
黒い拳はそのまま斜め上に振り抜かれ、紙きれのように引きちぎられた上半身は回転しながら吹っ飛んだ。
それを見た最後のアーキノイドが逃げ出そうと身を翻して走り出した。
少年は追わなかった。
殺されかけていた二人の人間を早く手当しなければならない。
少年は肺腑の細胞一つ一つに届くような深呼吸をつくと、落ち着きを取り戻そうとした。
― ― ― その時、
一瞬空間が歪んだかと思うほど張り詰めた気配が辺りを席巻した。
「!?ッ 何かがいる!!」
圧倒的な威圧感を放つその主は、少し離れたところでこの戦いの様子をずっと見ていた。
白いマントに身を包み深いフードを被っている。
「・・・人!? アーキノイド!?」
次の瞬間、視界から『謎のフード』が消えたかと思うと、逃げ出したアーキノイドの横に突如現れ、その肩にそっと手をかけていた。
すると、猛烈に走っていたアーキノイドの動きがピタリと止まり、そのまま惰性で勢いよく前のめりに転がった。
「・・・・いつの間に!? 目を離していなかったはずなのに、、、 動きが全く見えなかった!」
『謎のフード』は、ゆっくりと少年の方に向き直った。
フードの奥からでも見入られているのが刺さるように伝わってくる。
「・・・うぅっ!?」
途端に体が重くなる。
砂の中に埋められているようだ。
毛穴という毛穴から一気に汗が噴き出る。
潜在能力を覚醒させている今の状態でなければ意識は乱れ体は硬直していただろう。
少年は反射的にこの『謎のフード』は敵だと悟り、この得体の知れない圧に飲み込まれ、体が動かなくなる前に飛び掛かった。
「うぉぉぉーーー!!」
― ― ― 今は2100年。
50年前に、人間は自我を持つAIロボットの開発に成功し『アーキノイド』と命名した。
アーキノイドとはギリシャ語で『最初』を表す『アーキ』と『アンドロイド』を合わせた造語だ。
アーキノイド達は驚異的なスピードで進化を遂げ、高い知性を獲得すると、後に淘汰戦争と呼ばれる戦争で人類を絶滅寸前まで追い込んだ。
淘汰戦争終結後、アーキノイド達を統率していた元凶のAIロボット『ガンマ』は、10個の独立したコロニーを作り、そこで生き残った人間を支配した。
人々は頭にガンマチップと呼ばれる小さな機器を埋め込まれ、思考や行動は常に参照されていた。
反逆行動が抽出されれば即座にデリート(遠隔で殺されること)される。
人類に一筋の光も見えないそんな世界でも、希望を捨てず、ガンマの支配に抗おうとする人間もいた。
強改造者と呼ばれる者たちだ。
彼らは『脳波』をコントロールし潜在能力を覚醒させることができる。
また、自らの体を改造し機械化している。
これにより、身体能力が人間のそれを遥かに超え、アーキノイドとも互角以上に戦うことが可能になる。
― ― ― 今、戦っている少年の名は『神馬 ダイス』
彼もまた強改造者となった一人だ。
いかがでしたでしょうか?皆さんに少しでも楽しんでもらえているかどうか、ドキドキ、ワクワクです。これからの投稿は、基本、週2回程度の投稿予定にしようかと思っています。
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