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第7話・イタ飯(中編)

ショウ「イタ飯の『イタ』、もしかして人物に関わることじゃない?」


ハン「人物?」


ショウ「そう。『たくあん』とか『ハヤシライス』とか、人の名前が食べ物の名前の由来になってる説があるじゃん?だからイタ飯の『イタ』も人物から来てるってのは一説としてアリだと思うのよ」


ハン「なるほど……どんな人物が該当しますかね」


ショウ「板垣退助」


ハン「イタガキタイスケ……って、あの、政治家の板垣退助?」


ショウ「そう」


ハン「板垣が料理を考案したなんて話、聞いたことないっスよ?……あ、板垣にゆかりのある土佐のご当地名物とか?」


ショウ「いや、『自由』をモチーフにした料理だよ」


ハン「自由?」


ショウ「板垣退助といえば自由民権運動で有名だけど、自由を求める意思が食文化に及んでいても不思議じゃない。なんてったって明治は文明開化で食生活が大きく変化した時代だからね。食文化の発展を求めて、自由な形式の食事が流行した……なんてこともあるはず!すなわち食のフリースタイル!」


ハン「……で、フリースタイルだと具体的にどんな料理になるんスか?」


ショウ「え?……えー、ほら、ドリンクバーの全種類の


ハン「そのくだりは第6話で既にやってるんスよ」


ショウ「ダメ?」


ハン「却下。暴論がすぎるっス」


ショウ「じゃ、板垣やめて『イタコ』なんてどう?霊能力者の人ね」


ハン「霊能力者ってことは、お清めの塩でも使って料理するんスか?」


ショウ「ううん、黄泉戸喫」


ハン「ヨモツ!?んなもん出す店あったら保健所に怒られますって!……あれ、保健所の管轄でいいのか?……んん?……いや、とにかく、友達は『イタ飯』食った上でちゃんと帰ってきてるんで、絶対『イタコ』ではないっス」


ショウ「じゃ、『異端者』」


ハン「次から次へと適当言いやがって……誰っスか異端者って」


ショウ「板垣」


ハン「もういいんスよ板垣は」


ショウ「のぶかた」


***


ナレーション「突如現れた謎の女『ミハラ』。彼女の助太刀のお陰で、ネクラはクロスレンチを押さえ込むことに成功する。ミハラの提案により、ネクラとメガネは反政府組織『中央レジスタンス連合』に加入することになったのであった」


ミハラ「とりあえず一旦、うちの仲間と敵兵の様子を見てくるから、ちょっとここで待っててもらえるかな?」


ネクラ「あ、それなら私もついて行っていいですか?動けない敵兵がいるなら、この機会にどんな装備を持ってるか確認して、少しでも情報を集めておきたいんですが……」


ミハラ「ん、いいよ。ついといで」


メガネ「……」


ネクラ「ほらメガネさん、行きますよ」


ナレーション「ネクラがクロスレンチと交戦した場所から約500メートルの地点。そこには縛り上げられた敵兵の1人と、ミハラの仲間らしき人物がいた。その人物に向かって、ミハラが手を振る」


ミハラ「おーい」


ネクラ「……!あ、あの、ミハラさん、近くに誰がいるかもわからない状況で大きな声を出すのは、流石に無警戒すぎでは?」


ミハラ「大丈夫大丈夫。こーゆー場合コソコソしてるとかえって怪しまれるから。さっき君らに声かけた時もこんな感じだったけど、現にこうやって君らから攻撃されることなく打ち解けてるだろ?堂々としてた方がうまくいくもんだよ」


ネクラ「なるほど……勉強になります」


ミハラ「いい姿勢だ。私を見習って、どんどん勉強したまえ」


ネクラ「はい、是非見習わせてください」


メガネ「……」


ナレーション「ミハラに連れられて、連合軍の仲間と合流するネクラとメガネ」


ミハラ「こいつが私の部下の『モモ』ね」


モモ「どうも」


ミハラ「で、この2人はさっき意気投合してうちの組織に来ることになった、三つ編みおさげの『ミッちゃん』とサラサラセミロングの『セミちゃん』」


ネクラ「よろしくお願いします」


ネクラ(……ミッチャン?)


メガネ「……よろしくお願いします」


メガネ(……蝉ちゃん?)


ミハラ「はいよろしく~【パチパチ】……で、私の部下のモモ君よ、もう1人の方の敵はどうなったかね?」


モモ「リミットの480秒到達を以て追跡を断念しました」


***


ショウ「あ、妹!さっきお前が言ってた板垣退助の考察いいかも」


ハン「なんか言いましたっけ?」


ショウ「『ご当地名物』だよ。名前に地名がつく料理って結構あるし。『ジャーマンポテト』とか『トルコライス』とか」


ハン「それはどっちも和製の洋食っス」


ショウ「え、そうなの?まあ、それはともかく、一旦『イタ』のつく地名で考えてみるのはどうかな?」


ハン「地名ねぇ……イタ……イタ……『イタ』のつく地名ってあります?」


ショウ「イタ……伊丹は?」


***


ミハラ「ん、残念。惜しいな」


ネクラ「え、まさか、逃げられたんですか!?」


モモ「逃げられました。申し訳ないです」


ネクラ「な、なら、すぐ追いかけないと!まだ追いつくかもしれません!敵はどっちに行きました!?」


***


ハン「イタミ?どこっスかそれ?」


ショウ「兵庫県伊丹市」


ハン「何か有名なものがあるんスか?」


ショウ「わかんないけど、名物料理のひとつでもあるんじゃないの?」


ハン「『わかんない』って……それだと話が進まないじゃないっスか。伊丹はひとまず置いといて、ここはもうちょっと知名度のある場所で考えましょうよ」


ショウ「知名度のある地名ってか?プッ」


ハン「……」


ショウ「じゃ、大分。『大分の飯』を略して『イタ飯』。どう?答えとしては結構近くなってきたんじゃない?」


***


ミハラ「いや、だいぶ遠ざかってると思う。追うのはよした方がいい」


ネクラ「で、でも、敵が孤立してるうちに確実に仕留めておくべきですし、それに、敵側に顔が割れるのはまずいんじゃないですか!?私たちは東部で既にバレてるからもう手遅れですけど、ミハラさんたちは敵兵1人にバレただけですし、その1人を抑えて


ミハラ「落ち着きなって。大事なのは、さっき言った通り、堂々とすることだよ。ほらほら、ミッちゃん、まずは肩の力を抜いて、深呼吸して」


ネクラ「え、あ、はい【スーハー】」


メガネ「……!」


ナレーション「ネクラの両肩に手を置き、深呼吸をさせるミハラ。その様子を凝視するメガネ」


ミハラ「いいかミッちゃん。敵を仕留めんとする意気込みと、敵側に顔が割れたことを懸念する姿勢は評価する。ただ、実際のところ、敵は私らの顔をはっきりとは把握してないと思うんだ。そもそも私らは敵の注意が君らに向いてるタイミングを狙って奇襲した。敵も混乱しながら逃げただろうから、多分、顔なんてよく見えちゃいない。ここまでオッケー?」


ネクラ「……はい」


ミハラ「で、さっきモモに敵を追跡させたけど、モモは時間切れで戻ってきた。これはうちの組織のルールに則った行動で、間違いはない。うちの組織はあらゆる作戦に制限時間を決めるようにしていて、その時間内に作戦を完遂できなければ速やかに引き上げるようにしてる。敵との接触を最小限にして情報を与えないため、それから、敵を深追いして返り討ちに合うのを防ぐためにね。要するに、しっかり顔を見られた可能性は低いし、追跡の末に逃げられたけど、危険を犯さないようにこれ以上は関わらない。……それが、うちのやり方だ。オッケー?」


ネクラ「……はい」


ミハラ「納得してくれた?」


ネクラ「はい。理にかなっていて、反論の余地もないです。安易に追いかけようなんて言い出して、すみませんでした」


ミハラ「うんうん、物わかりがいい子は可愛くて好きだよ~。組織のルールはこれから学んでもらえればいいからね~【ナデナデ】」


メガネ「……」


ナレーション「血気盛んに行動しようとするネクラ。大らかに諭すミハラ。むくれるメガネ。淡々とそこにいるモモ。そして、蚊帳の外の縛られた敵兵。それぞれの思惑がある中で、仮初の穏やかな時間が流れていた。次回、『コウノトリの野望』第8話に続く!」


***


ハン「大分?大分なら理屈的に『オオ飯』じゃないんですか?」


ショウ「いや、『オオ飯』だと大阪との区別がつかないじゃん。『大飯食らい』みたいで下品だし」


ハン「まあ略し方はともかく、大分の何が『イタ飯』なんスか?」


ショウ「わかんない。多分しいたけ焼いたやつとかじゃない?県の形がキノコみたいだし」


ハン「やっぱりいい加減じゃないっスか!『わかんない』ばっかりじゃ困るんスよ。地名から考えるにしても、もっとこう、わかりやすい……フランス料理とか、中華料理みたいにメジャーな


ショウ「あっ、それだ!」


ハン「えっ……それって?」


ショウ「それは……次回発表します!」


ハン「3話もかけてやるネタじゃないですって」

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