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第23話・ノンアルコール(中編)

ハン「オイラの名前はハン=ライス。思いつきでキャバクラをオープンした姉に付き合わされ、半ば強制的にウェイターをやらされてる世界一不幸な妹っス!でもある日、お客さんからの指名をいただいて、まさかのキャバ嬢デビューを果たすことに。この機会に嬢としての格の違いを見せつけて、姉のプライドを完膚なきまで叩きのめしてやるっス!そしてあわよくば店の権利を奪い取って、今度は逆に姉をウェイターとしてこき使ってやるっス!!」


***


ハン「お・ま・た・せ~!」


スズネ「!?」


ハン「最近忙しかったんスか~?ご無沙汰だったんで寂しかったっスよ~!」


スズネ「……あの、初見なんですけど」


ハン「あら、こりゃ失敬!反省反省~!」


スズネ「……」


ハン「では、自己紹介させていただきます。オホン……夜の街にビッグウェーブを巻き起こす!眉目秀麗、新進気鋭の風雲児!!源氏ネーム『ヨシツネ』とはオイラのこと!!!以後お見知り置きを、っス!!!!うっふ~ん」


スズネ「……お姉さん、さっきのウェイターの人ですよね?無理してキャラ作ってません?」


ハン「え?オイラは最初からこうっスよ~。嫌だな~、もう!それはさておき、何ご注文されます?」


スズネ「……そうですね。初見ですし、おすすめの酒いただけます?できれば刺激が強いヤツで」


ハン「おすすめの()()っスね!?お任せくださ~い!ついでにオイラもいただいてよろしいスか?」


スズネ「ええ、どうぞ」


ハン「ありがとうございます~!バックヤードに置いてある()()の中から良さげなのを見繕って持ってきますんで、少々お待ちくださいね~!うっふ~ん」


スズネ「……」


スズネ(変な店に当たってしまったかもしれない。客は私しかいないし、店員は急にはっちゃけるし。店の内装も……チープというか……ごっこ遊び用のセットみたいだ)


ハン「どうされました?そんなにキョロキョロして?」


スズネ「うわっ!」


ハン「当店に何かご不満でも?」


スズネ「いや、『こんな店あるんだなー』って、待ってる間に眺めてただけです。……脅かさないでください」


ハン「なんだ、そういうことですか~!お待たせしてすいませんね!これ、選りすぐりの()()、ヨシツネセレクションっス!ひとつずつ紹介しますね!」


スズネ「ああ、はい、どうも」


ハン「まずはこちら!デデン!『アラ汁』っス!』


スズネ「……ん?」


ハン「皮や骨だけじゃなく、大きめに切ったカマとハラスをブチ込んであるんで、具の食べ応えにも自信がある一品っス!アラで取った出汁と白味噌の相性の良さもポイントっスよ~!」


スズネ「んん?」


ハン「お次は『ルイベ』!北部地区・アバ尻港で水揚げされた()()を新鮮なうちに冷凍した保存食っス!いっぺん何もつけない状態で口に含んで、素材の風味と食感を楽しんでみてほしいっス!」


スズネ「あの」


ハン「最後は『激辛ぼだっこ』!()()には違いないっスが、とにかく塩辛くて、塩の塊を直接食べているかのような激ヤバ料理っス!一欠片で大盛りのごはんを


スズネ「ちょっと!」


ハン「はい、なんスか?」


スズネ「さっきから料理紹介してもらってるところ悪いんですが、これって『酒』じゃなくて『鮭』ですよね?」


ハン「はい!()()っスよ!」


スズネ「いや、そうじゃなくて……。これって、魚の『鮭』ですよね?私がオーダーしたいのは飲み物の『酒』なんですけど……」


ハン「さ、()()?」


スズネ「えーっと……『シャケ』じゃなくて『お酒』」


ハン「しゃけ……車検?」


スズネ「まいったな……」


ショウ「お客様、失礼いたしました!誤ったものをご提供してしまい、大変申し訳ありません」


ハン「あ、姉上!?」


スズネ(あ、最初に出てきたキャバ嬢の人だ)


ショウ「未熟なキャストを現場に座らせた当方のミスです。お酒は後程改めてお出ししますので、もう暫くお待ちください。ヨシツネは速やかに回収させていただきます!」


ハン「姉上!指名を貰えなかった分際で出しゃばるんじゃないっス!!店の隅っこに突っ立ってウェイターやってろっス!!!」


ショウ「わきまえろ妹!『酒』と『鮭』の区別もつかないお前ごときがキャバ嬢になろうなんざ100万年早いんだよ!!おとなしく下がれ!!!」


スズネ(ええ……内輪で揉め出した。なんなんだこの店!)


ハン「よーし!そこまで言うならキャバ嬢としての接客を姉上に見せてもらおうじゃないっスか!」


ショウ「いいだろう!今から嬢のあるべき姿ってもんを見せたる!お前はサービスを受ける側の気持ちに無頓着すぎるから、客の役をやって学べ!」


ハン「望むところっス!非の打ち所がないお客様ムーブかまして返り討ちにしてやるっスよ!」


スズネ「……あのー、私はどうすれば?」


ショウ「ああ、勝手に盛り上がってしまってすみません。ウェイターの役が余ってるので、そちらをお願いします。はいこれウェイターの衣装」


スズネ「あ、はい」


スズネ(……あれ、私、客だよな?なんでウェイターやらされるんだ!?本当になんなんだこの店!!)

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