調査①
あの後、僕達はまた来た道を引き返しそれぞれの部屋に戻った。
僕はというと、すぐに行動を起こした。いつもは何か行動するまでに時間がかかってしまう性分なのだが、誰かと一緒の場合は遅いとその人に迷惑がかかることもあるため早めの行動を心掛けたいと思っている。
と言っても、そんな相手今までいなかったに等しい。だから、そんな僕が誰かに迷惑をかけないよう早めの行動を心掛けるなんて妙な感覚だ。少しだけ口元が緩む。
とりあえず、何か情報を得るなら母親に頼るのが1番と考えた僕は着信ボタンを押す。
休日とあってか2コールで出た。母親がよく観ている韓国ドラマの俳優さんばりに電話に出るのが早かった。
「あんたから電話なんて珍しいじゃなあい。何?何!友達か彼女でも出来た?!」
幼なじみの斗和兄といい母親といい2人の目には僕は一匹狼にでも見えるのだろうか。というか、友達か彼女出来て電話する大学生って悲しくないか?
「残念ながら友達も彼女も出来てません。って言わせんな!」
「フッ、ダハハハハハ!!ごめん、ごめん。で、本当はどんな用事?」
「うん、周りの親戚とかで死期が近い人とか今疾患持っている人とかいるかなって」
「は?え?死期が近い?疾患を持っている人?なになになになに怖いこと聞くね。大学のレポートの課題に困ってたりするの?」
例え大学のレポート案に困っていたとしても母親にだけは頼りたくない。
「いや、違うけど。で、どうなの?何か知ってることある?」
「うーん、そうねぇ…。んーー…。あっ、孝彦叔父さんいるじゃない。最近、高血圧になったって!私、聞いた時驚いたわあ。まあ、でも独り身だからインスタント系の物よく食べてるってお盆の時に言ってたし気をつけて欲しいわ」
高血圧になるに至った答え既に出てるじゃん。
「いや、そういうんじゃなくて。話聞いてた?もっと、重い病気に罹っている人とかは?」
「ますます怖いわ。なんの調査なのかだけ教えてよ。とりあえず、ぱっと思いつく人はいないわよ。それに、病気云々関係なく事故とか事件に巻き込まれて死ぬ確率は誰にだって突然訪れるんだから一概には言えないと母さん思います」
それもそうかもしれない。そう思えてしまう母親の言葉って偉大だ。
「なんの調査かは守秘義務があるから言えない。けど、ありがとう」
「そう。それなら仕方ないわね!友達か彼女出来たら真っ先に母さんに教えてよね!」
「ハハッ。うるせえ〜。とりあえず、もし他にも分かったらメールとかでも良いから教えて欲しい」
「はいはーい、了解。じゃあね」
「ん、じゃあ」
こうして短い母と子の会話は終わった。手掛かりらしい手掛かりは掴めず、"孝彦叔父さんが高血圧"しか分からなかった。 母がそういった人を思いつかないということは本当にいないのだろう。第1回目の報告が高血圧なら、今後の報告もあまり期待しないでおこう。うん、そうしよう。




