僕と君
「あの、言い難いんですが僕友達がいないので、そもそも共通の友人なんていないと思います」
この言葉を言うまでにあれから高橋さんが水を4杯飲み、カフェでもないカレー屋に長時間居座る僕達を珍しいと思ったのか追加注文あるか店員さんが聞きに来て、高橋さんの友人が書かれた紙に僕が一向に丸をしないのを怪しみだすまでに時間がかかった。
高橋さんは弄っていた携帯を置き背筋がピシッと真っ直ぐになった。
「は?あ、え?え、あ、なるほど...。そうなんですね」
何か良い言葉はないか頭をフル回転させているであろう高橋さんを見ているのは忍びなかった。
しまいには、
「先程、店員さんが聞きに来ましたが何か追加の注文します?!」
と言う始末である。
今さっき食べたばかりだよ?僕はというとラフな格好をしているとはいえお腹が出てズボンの上に乗っている状態である。
そして、僕が思ったより動揺させてしまっているようだ。申し訳ない。
僕自身は実を言うと友達が欲しい。本音を言い合えて素を見せられるそんな友達が。
僕にとってその人という存在が変わらず傍にいて欲しいと思うように、相手にとっても僕という存在が必要とされる、そんな友達が欲しいのだ。
でも、現実は厳しくて上手く行かないと分かっているから無意識と相手と自分との間に線を引いてしまう。
きっと高橋さんみたいな明るくて友達が沢山いる人には僕の気持ちなんてこれっぽっちも分からないのだろうけど。
僕は静かに咳払いをして、元々良かった喉の調子を再度整えると
「とりあえず、親族から当たってみるのはどうでしょうか?」
と提案したのだった。
「...そうですね!近い存在こそ怪しそうですもんね!」
高橋さんは自分自身に言い聞かせるようにうんうんと首を縦に振り続けた。その様子はさながら福島県で有名な赤べこという玩具のように見えた。
”親族から当たってみるのはどうか”というセリフが幼なじみの予想した通りその調査もすぐ終わりそうで、何だか癪に障った。
自分自身の親族1人1人を思い浮かべても誰も死期が近い人や病気を患っている人なんていないことに改めて気づき、難航しそうな予感しかしない。




